グイン・サーガ82 アウラの選択


「餓鬼だな、といったのだ。
お前はまだ若い、お前が餓鬼であったことろでそれは当然かもしれん。
だが国王がそうであるのはそれは罪だ。
レムス、おのれが小僧であるのは仕方がない。
力がないものを責めようとは俺は思わぬ。
だが、そのおのれの無力に甘んじて、おのれの国をあやうくし、
おのれの姉をあのようなありさまにし、
そしておのれの宮廷をあのようなカナンの石像に変えてしまうような愚かな王は、おらぬほうがましだ。
どうあってもおのれの力でそこから抜け出す力も意思もないのであったら、
永久にそこにいるがいい。
俺はお前に用はない。」


「どうやってかは知らん。
俺はただ、やってみるだけだ。
それが大人の男、一人前の戦士のやることだ。
四の五のやる前からさわぐのは餓鬼のすることだ―――
だからお前はついに餓鬼のまま餓鬼の落ちる地獄に堕ちることを選んでしまったのだというのだ」






アウラの選択―グイン・サーガ(82) ハヤカワ文庫JA/栗本 薫

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