料理教室&BistrotRIANTのメールマガジンです。
料理人・川名克典の料理セミナーでは伝えきれない
技術の裏に隠されているものを書いています。


それは、料理と人生をおいしくする秘密そのもの・・・。



  暑い暑いとぼやいていても暦は刻一刻と時を刻む。
  平和な世の中でも、滅茶苦茶な時代でも、いきなり十五日には
  ならない。


  カレンダーをじっと見つめれば、紛れもなく十五日だ。
  いつの間に十五日なんだろう。

  僕は十四も、十三も、十も、八も、四も・・・。
  経験したと言うのに。



  土建屋稼業時代の親父は、「寝ている時は死んでいる時だから」
  と教えてくれた。
  働くことが総てだった、もの凄く働く人だった。


  とすると、起きている時間がずっとつながっているから、長い
  一日というか、日付の変わらない様を感じるのだろうか?


  どれとして同じではない一日が続き、長い時間が過ぎている。
  長い生きている一日が過ぎてゆく。


  繰り返す毎日ではなくて・・・。
  過ぎてゆく時間。

  子どもの頃は確かにこうだった。

  暦など気にせず、与えられた時間を生きていた。
  今日が明日になるのは感じ無かった。
  今日が昨日になるのは解ら無かった。 
  暦が自分を作るのではなく、自分が暦を作っていた。



  二階の窓の手すりに置いた小鳥の餌にスズメの子が群がって
  いる。
  本当に小さい。ニワトリの卵より小さい。
  此処なら鳩に追い立てられることもない。
  精一杯食べて大きくなれば、今より身の危険は減るだろう。
  
  


  二十九度・・・。
  勿論室内だけれど、三十度を下回るとこんなに涼しい。
  中目黒は夕べ大雨が降って空気が乾燥している。

  空気と身体がサラサラとすれ違う。
  まとわりつかない心地よさをしばらく感じられる。

  こんな料理は、何だろう。


  例えば、人参、アスパラ、蕪、いんげん、・・・。
  そういった野菜を小指ほどに切りそろえ面をとって、少し、
  ほんの少しだけ固めに塩ゆでする。
  コリコリしては固すぎる。

  もう十秒茹でたら柔らかくなってしまうくらいに・・・。


  小鍋に水を少し沸かしてバタを加えてゆく。
  トロッとしない、でもシャバシャバじゃないほどにバターを
  加えたら小さなホイッパーでかき立てる。


  ほんのりと塩を加えたら、茹であげた野菜を入れ一度鍋を、
  フイってかえす。
  フライパンだと上手く行くけれど手鍋だとなかなか戻って来
  てはくれない。


  それでも薄いバタの溶けた水分のベールがはがれそうでまと
  わりついている。


  温めたお皿に盛り付けたら、少し固めの・・・。
  シャリシャリした部分の入っている程のパルメザンチーズを
  薄くスライスして散らす。


  野菜の温度でとけ始めるモノ、皿のハジッコに落ちたモノ、
  少し厚めにスライスされたもの・・・。
  てんでバラバラの方向を向いたそれらがよそよそしい。



  粗塩と粗挽き黒胡椒を少しふりかける。

  タイムの穂先をほんの少ししごいて散らすか・・・。
  ローズマリーの小さな葉をふたつ、みつ。
  ディルの針先のようなひと枝をそのまま。
  セルフィユの葉を小さなボール状にまとめてゴロリと真ん中に
  置くか・・・。


  野菜のサラサラした料理が出来る。
  只の塩ゆでではない。
  グラッセの様な強引な濃厚さはない。

  レモンをかければサラダにもなる。
  カレーを添えれば極上な野菜カレーに変わる。
  トロトロになるまで赤ワインで煮込んだ牛ほほ肉を添えれば、
  貴婦人のようなつけ合わせになる。


  でも、本当はサラサラした茹で野菜。


  マニュアルでなく作る時の気持ちが、料理を変えてゆく。
  家庭料理はそれが出来るから・・・。
  料理する楽しさを知ることは、君の人生を変えるかも知れない。

  只、食事の為だけでなく・・・。 
  自分の「感性」をカタチにするために・・・。



  その瞬間、君の人生が変わる。
  自分で作った料理が、君に何かを語り始める。


  そんな気がする。

 




今日も、新しいインスピレーションを求めて・・・。
引き寄せる一日でありますように。 (^ー^)v


そして・・・

いつも 「ありがとう」

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