【娘役部門】
第4位
星組 礼真琴 4票
「ガイズ&ドールズ」アデレイド役に対する得票で4位に。
1作、1役ですが「娘役(女役)」としてきちんと演じきった点が高い評価と支持を得ました。
快挙と言える成果だと思います。
役になりきったことで、純粋に「大人の可愛さ」がにじみ出ていたと思いますし、歌もキャラクター作りの大きな武器となりました。
公演レポートでも書きましたが、「女性性」(女性らしさ)を無理に強調しすぎるのではなく、人としての魅力、愛嬌、かわいげのようなものを上手く演じた結果、元々の「女性性」と相まって可愛さに説得力が生まれたのだと思います。
(つまり、誤解を恐れずに言えば「アデレイドみたいな性格の男性」もいると思うのです)
「人の愛嬌を自然な芝居の中で醸し出すことに成功した」という点において、アデレイドの好演は今後の「男役 礼真琴」にとってもいい影響をもたらすはずです。
この経験を経て、「男役 礼真琴」の魅力の幅がより一層広がることを期待します。
(また適当な時期と機会があれば、女役も是非観てみたいです)
第4位
星組 妃海風 4票
礼真琴の同期で星組娘役トップスターの妃海風が同数の得票で仲良く4位に。
歌唱力への評価、「ガイズ&ドールズ」サラの演技(特に酔っ払う芝居)への支持が集まりました。
そういえばアデレイドとサラのデュエット「今日こそ結婚」という曲がありましたが、本当に可愛さの波状攻撃のような場面でした(しかもそれぞれ歌の上手いこと!そしてアンサンブルも素晴らしい)。
彼女は役や演技に対する柔軟性、役への真っ直ぐな集中力があると思います。
トップ就任後の作品への評価が多く挙げられていましたが、今年の舞台で言えば「黒豹の如く」のアルヴィラも非常に良かったです。
メラメラと燃える嫉妬心と独占欲。
アントニオ、アラルコン、アルヴィラ、この3人の秀でた芝居によって、作品の骨格が保たれたのだと思います。
器用というより、豊かで鋭い感性の持ち主に見えます。
理屈っぽく悩むより、感性を磨いて舞台で発散した方がその役の魂が息づくタイプで、そういう時の妃海風は歌、ダンス、芝居の全てが劇場一杯に広がっていくように感じられます。
北翔海莉の相手役になったことは運命であり、本人も気づかない可能性の扉を開くチャンスだと思います。
2016年は歌がメインになる公演が控えています。楽しみな限りです。
北翔海莉の最高の相手役として、ゴールデンコンビへの道を着実に歩んでもらいたいです。
第3位
雪組 咲妃みゆ 10票
芯のある芝居と早霧せいなとのコンビネーションが好評で3位になりました。
多くの方が投票の候補に挙げていたのも印象的です。
役の色をしっかりと出すことができ、なおかつ相手役との息が合い、登場人物の中での関係性構築も絶妙。
スイッチが入ったかのような「役の降り方」で、演じているように見えないのが彼女の魅力でしたが、今年は芝居、ショー共に娘役トップとして「積極的に押し出す」術も見出しました。
特に「星逢一夜」の泉は演出にぴったりハマる役になったと思います。
淑やかな中の頑固さ、気持ちの強さを的確に表現していました。
泉の感情がどれだけ入るかで紀之介、源太との芝居の質がかなり変わってくるところでしたが、彼女の芝居は毎回新鮮で深いところをえぐっていました。
年の取り方も自然で、極端にし過ぎないところも上手かったです。
「ラ」で魅せた発散する情熱、中詰を始めとするオラオラは新たな発見で、今後違う形でも構わないのでラテンのショーやお芝居を観たくなりました。
謎めいていて、ずっと観ていても正直未知数(可能性のベクトル含め)なスターですが、早霧せいなとの相性はバランスも取れていて非常に良いと思います。
基本的には早霧せいながリードしていますが、局面に応じてお互いカバーし合い、フォローし合いながら高め合っているように見えます。
これからもしっかりとコンビ愛を育み、長く濃く活躍してもらいたいです。
第2位
宙組 実咲凜音 19票
「王家に捧ぐ歌」のアイーダ、その圧倒的な歌唱力と演技力で多くの票を集め、堂々の2位に。
ずっと鍛えられ、溜まっていた力が一気に爆発したようなアイーダだったと思います。
組や彼女のファンだけでない得票で、(過去の否定という意味ではなく)「こんな実咲凜音が観たかった」「実咲凜音が歌で演じる役を観たかった」というような願いや期待に、しっかり応えてくれました。
スカイステージで妃海風が彼女のことを「武士のように成し遂げる人」といったニュアンスで語っていましたが、なんとなくわかる気がします。
芸名通り「凛」とした佇まいと美しさ、華がありますが、同時に一気に仕留める瞬発力や攻める力もあるカッコ良い娘役だと思います。
(瞬発力と言っても実力は一過性ではなく、高いレベルで安定しているのは皆さんご存知の通り)
「エリザベート」への期待も多く寄せられました。
コメントで来年(2016年)への期待値がこんなに集まったのは初めてかもしれません。
アイーダ同様、いや、そのレベルをはるかに越え、人生を賭けて取り組むであろうエリザベート。
彼女がエリザベートという役を「成し遂げる」姿、必見です。
そして娘役部門の1位は・・・
第1位
月組 愛希れいか 33票
圧勝で三連覇達成です。
今年も得票数に価する舞台での活躍、結果を残しました。
しかも1位をキープしたのではなく、彼歌、ダンス、芝居、相手役との組み方などあらゆる面で昨年より大きく成長しました。
守った1位ではなく、攻めて、さらに駆け上がった1位だと思います。
「ベルばら王国」宝塚において、1789で描かれるマリー・アントワネットを演じるのは本当に難しい挑戦となりました。
奔放な青年(少女)、王妃、女性、母親・・・様々な立場をこまやかな心情表現で演じ、「ベルばら」ではない「1789」のマリー・アントワネットを確立させました。
「娘役トップ」である愛希れいかをオランプではなくアントワネットに配役させた小池先生の戦略は見事だと思います。
その結果、彼女は独特の風格と貫禄のあるアントワネットに仕上げ、惚れ惚れする完成度の高さを魅せてくれました。
この作品ではトップスター龍真咲と直接絡む場面は少なかったですが、彼女は芝居、ショー共に龍真咲との組み方が非常に上手いと思います。
どこで相手を立て、どこで自分が前へ出て行くか(出て良いか)、あるいはどこで2人のコンビとしての魅せ場を作るかの状況判断が的確で、バランスよく動き、表現できるのです。
退団イベントではない形でのミュージック・パフォーマンス出演(主演)も画期的で、歴史的にも大きな実績になったと思います。
後進の娘役に道を開いたことは間違いありません。
状況から察するに、愛希れいかは今後もこのキャリアを続けていくと思われます。
私は本人の判断や気持ちを尊重します。
その上で、彼女には龍真咲とのトップコンビでの最高のフィナーレを迎えてもらいたいと願います。
そして、その後も月組や宝塚、娘役のために様々な形で活躍し、輝き続けることも期待します。