【麗しの69期】〜高嶺ふぶき編〜 | 銀橋Weekly

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宝塚歌劇研究者、銀橋のアカデミックでミーハーな宝塚ブログ。


短くも美しく儚き青春!

実力のある美形という意味では、彼女は宝塚99年の歴史の中でも屈指の存在!


私はあまりこういうことは言わないのですが、高嶺ふぶきの顔が好きです。
単純にイケメンだと思いますし、顔立ちだけでなく、その奥にあるセクシーな色気も含めて、これほどの美形はいないと思います。

愛嬌がありました。

それも、尋常じゃないほど愛すべき愛嬌。

美形のイケメンでもツンとして鼻につく人もいますが、彼女はその愛嬌がゆえ、エンターティナーであり、観客を楽しませるセンスも持っていました。

しかも実力も申し分なく、情熱的な演技、個性的であるものの声量、表現含め一級品の歌唱力、顔だけにとどまらない美しいダンス・・・雪組のトップスターに相応しい質実剛健さもありました。


トップスターとしての就任期間は短く、大劇場主演も2作という、その実力からしてみればあまりにも勿体ないように思いますが、それでも「不足感」がないのは、残した主演作の密度があまりにも濃かったためだと思います。


ハイライトの1つは「エリザベート」のフランツ・ヨーゼフ。

以前にも書きましたが、私は「エリザベート」におけるフランツ・ヨーゼフの歴代ベストキャストは高嶺ふぶきだと思います。

初演を成功させたという功績もありますが、もしかするとトートよりも難しい歌の数々を見事にこなしたその歌唱力と、マザコンな青年時代から晩年の貫禄までの役作りの徹底を考えると、やはり高嶺ふぶきに軍配が上がると確信できます。

フィナーレの銀橋ソロも圧巻でした。


2つ目は、彼女のクライマックスでもあるサヨナラ公演「仮面のロマネスク」のヴァルモン子爵。

当たり役とはまさにこのことで、特に冒頭のメルトゥイユ侯爵夫人との銀橋対決とラストシーンのダンスは「未来に残したい名場面」に間違いなく入ると思います。

私が女性なら、もしあんな美男子に誘われたら、トゥールベル夫人のように悩むことなくすんなり受け入れてしまいそうです(笑)。


3つ目は同じくサヨナラ公演「ゴールデン・デイズ」。

ショースターでもある高嶺ふぶきの実力と色気が爆発したショーです。

とにかくオープニングが凄いですよね。

今の演出家は絶対できない金色一色の舞台。

その舞台のセンターの高みに高嶺ふぶきが君臨し、歌い上げるその姿の輝かしいこと!
あの金色な舞台に耐えきれるのは高嶺ふぶき以外いないと思います。

また、黒燕尾が最高に似合い、着こなしも粋だった男役の1人であることは間違いないでしょう。

黒燕尾を着て踊る、その颯爽とした姿もまた美しく、短すぎたトップ就任期間を考えるとその儚さに涙が出てきます。



麻路さき同様、高嶺ふぶきを観ずして質実剛健な雪組王国の歴史は語れません。

雪組の歴史に美しき紳士が刻んだ盤石の舞台、こちらも是非スカイステージでご賞味あれ!


【麗しの69期】~麻路さき編~