空軍の鈴木御水 177 | 郷愁倶楽部

空軍の鈴木御水 177

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空軍の鈴木御水

鈴木御水は明治31(1898)年に秋田市に生まれる。

琵琶や大和絵を学ぶが、のちに美人画の伊東深水に師事。

昭和2年より挿絵を描き始め、昭和4年に「少年倶楽部」の挿絵を描く。

翌年より空軍ものを手がけ、下の「世界一の大飛行機」はその頃のもの。

海軍(船)の樺島勝一に対し、空軍(飛行機)の鈴木御水と呼ばれた。

昭和57(1982)年没


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世界一の大飛行機
鈴木御水画 少年倶楽部 昭和5年2月号掲載

$郷愁のイラストレーション-御水01


ツエッペリン伯號を造った独逸人は、

今度は世界一の旅客機ドウ・エックス號を造って、世界の人々を驚かせました。

百五十九人の旅客と十人の乗組員を一時に乗せることが出来ると云ひますから、

まるで汽船に翼をつけたやうなものですね。







ドイツの新戦術
落下傘部隊
鈴木御水画 少年倶楽部 昭和15年7月号掲載

$郷愁のイラストレーション-御水02


こんどのヨーロッパ戦争で、

ドイツ軍の落下傘部隊は、世界の人々をあっといはせました。

これは、敵陣地の後方に落下傘で、たくさんの部隊をおろし、

そなへの手うすなところをかきまはすといふ新しい戦術で、

ヒットラー総統が、自分で考へだしたものだといふことです。


オランダが、あんなに早く攻めとられたのは、

この戦術のためともいはれ、イギリスなどはひどくおそれて、

國中で落下傘部隊にそなへてゐるといふことです。







ドイツ空軍のロンドン空襲
鈴木御水画 少年倶楽部 昭和15年11月号掲載

$郷愁のイラストレーション-御水03


ヨーロッパ戦争がはじまって一年目の、去る八月末から、

ドイツ空軍の大編隊はイギリスの首都ロンドンの空襲をつづけてゐます。

これは、ドイツの新鋭爆撃機が夜のロンドンをおそひ、

テームズ河上空で急降下爆撃してゐるところです。

バッキンガム宮殿や目ぬきの建物を爆撃し、

なほ時計じかけの爆弾やはげしい音を出す爆弾で、市民をおびやかし、

どこまでもロンドンをたたきつけるのだといきごんでゐます。







長距離飛行機の新型
親子飛行艇
鈴木御水画 少年倶楽部 昭和12年2月号掲載

$郷愁のイラストレーション-御水04


特に長い長い距離を飛ぶ飛行機は、燃料をどっさり積み込むので

飛び上がるのがむづかしい上に危険がともなふのです。

そこでイギリスでは、この絵のやうな珍しい方法を考えてゐます。

先ずすばらしく大型の飛行艇が、長距離用の水上機を背負って飛び上がります。

かうして大小二つの飛行機が、重なったままある高さまで上がると、

上の長距離用の水上飛行機は、下の飛行艇から離れて目的地に向かって飛び

下の飛行艇は帰って来るのです。
(以下略)



*鈴木御水は戦後、南洋一郎作の新ターザン物語「バルーバの冒険」の挿絵で
 好評を博したそうです。平和の時代の挿絵も見てみたいと思います。










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