本所の七不思議 87 | 郷愁倶楽部

本所の七不思議 87

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$郷愁のイラストレーション-本所
歌川国輝による浮世絵より


本所は江戸の外れ、
当時はお化けが出ても不思議のない辺鄙なところだったらしい。

「本所の七不思議」は、言ってみれば都市伝説で、
他にも、麻布、深川、八丁堀、吉原などなど、
あちらこちらにあったらしい。
いつの時代も、この手の話は好まれるようです。





$郷愁のイラストレーション-おいてけ
$郷愁のイラストレーション-本所1

思わぬ大漁に気を良くして

帰る頃には日が暮れてしまった

暗い池のほとりを通りかかると

「おいてけ、おいてけ」の声

足早に通り過ぎ

家に帰ってビクをのぞいてみると

中は空っぽだった





$郷愁のイラストレーション-無灯
$郷愁のイラストレーション-本所2

しんしんと更けた道筋に

ぽつんと屋台そばの灯りがひとつ

近寄ってみると誰もいない

待てど暮らせどそば屋の主は来ない

これはいたずらかとその灯りを消すと

その人の家に災いが起こる

これは狸の仕業と言われている





$郷愁のイラストレーション-片葉
$郷愁のイラストレーション-本所3

留蔵というならずものお駒という女に片思い

お駒には他に好きな人があったらしく

なかなか良い返事がもらえない

業を煮やした留蔵はある夜お駒を連れ出して

池のほとりで無惨にも片手片足を切り落とし

池の中に投げ込んでしまった

それからというもの、ここにはえる芦には

葉が一枚しかないという





$郷愁のイラストレーション-狸
$郷愁のイラストレーション-本所4

月などを愛でながら夜風に当たっていると

どこからともなく聞こえてくるお囃子の音

お囃子に浮かれて歩き回りつかれて寝てしまう

夜露に目を覚ますと

そこは荒れ果てた原の中だった





$郷愁のイラストレーション-足洗
$郷愁のイラストレーション-本所5

人の寝静まった頃

天井から突きだす泥だらけの大足

驚きあわてながらも足をきれいに洗ってやると

おとなしく引っ込むが

そのままにしておこうものなら

家を壊さんばかりに大暴れ





$郷愁のイラストレーション-送り
$郷愁のイラストレーション-本所6

しの突く雨の中の夜回りは辛いものだ

「火の用心」一声だしたとたん夜番は思わずぞくっとした

まだ拍子木を鳴らしてないのにカチカチと音がする

気のせいかと気を取り直し拍子木を打とうとすると

どこからもなく拍子木の音がまたカチカチと鳴る

夜番のあとを拍子木の音だけがついてくる





$郷愁のイラストレーション-ちょうちん
$郷愁のイラストレーション-本所7

おぼろ月の夜、

ほろ酔いきげんの武士が供を一人連れて

家路に向かっていた

と、前方にポツンと灯りが見える

怪しく思い近寄るとすーっと消える

怪訝に思っているとまた灯がつく

こうして夜道を送ってくれるのだという






こうして七つの不思議を見てくると、
片葉の芦以外はおおらかな話が多いですね。


落語「本所七不思議」の舞台を歩く
http://ginjo.fc2web.com/45nanafusigi/nanafusigi.htm









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$郷愁のイラストレーション-No
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