ついに始まりました新シリーズ、飲食店(メシヤ)珍道中です。私が今までに行ったあの店やこの店、おすすめの店、一度だけ行った思い出の店などを語るシリーズです。続くかもしれないし、続かないかもしれません。とにもかくにも新しいシリーズを始めたかったので、始めちゃいます。
それでは、よろしくお願いします。
記念すべき一店舗目は、新宿西口地下にある、そばとうどんの店「梅もと」です。梅もとは、私の中では、最高峰のそば屋、いわばキングオブそば屋に位置しています。ここの「たぬきそば」340円プラス大盛100円の計440円は、私にとって最も意味のある「440円の使い方」です。梅もとは、駅そばにありがちな「食券制」スタイルで、食券を買い、それを店員のおばはんに渡すとき(たまにおっさんのときもある)、口頭で「そば」か「うどん」かを伝えるシステムとなっています。おなじみ「富士そば」や「箱根そば」と同じシステムですね。
しかしながら、新宿西口の梅もとには富士そば箱根そばに比べて明らかな違いがあります。それは「そば強制力」の強さです。
富士そばや箱根そばは、食券を出した時「そばですか?うどんですか?」と聞いてくるのがデフォルトなのですが、梅もとのおばはんは「そばですね?」と聞いてくるのです。心理学でいうところの「ダブルバインド」が仕掛けられていますね。人は、わざわざ「ノー」とは言いたくないものです。だから、梅もとではうどんが注文しにくいのです。勢いのあるおばはんに「そばですね?」でと押し切られたら、後ろに客が並んでいたりするのもあいまって「いえ、うどんです。」とは言いにくく、「は、はい」と言うしかありません。
いつもそばを食べながら店内の様子を伺っているのですが、気の弱そうな人や、田舎から出てきたような人は、ほぼ全員がそばを注文しています。いや、させられています。こうなったら徹底的に調査して、「梅もとのおばはんはなぜ『そば』を出したがるのか?」という新書をだそうとしたいくらいです。「さおだけ屋はなぜつぶれないのか?」や「世界のエリートはなぜ瞑想をするのか?」みたいな感じで。
ちなみに、私は東京に来て19年、梅もとに通って14年になりますが、未だに「梅もとのうどん」を食べたことがありません。
 「梅もとのうどん」が食べられるようになった時が、本当の意味で東京人になった時だと思っています。