前作はこちら→Trick
いまだにハロウィンネタΣ( ̄ロ ̄lll)
*******************
「どうぞ」
「お邪魔、します…」
敦賀さんと約束をした私は、夜になったら直接お宅にお邪魔するつもりだったのに、わざわざ敦賀さん自身が私の今日終わりの現場まで迎えに来てくれた。
「迎えに来たよ、さぁマンションに帰ろうか」なんて言われてしまっては、きっと現場にいた皆さんに誤解されてる。
次回この現場に来るときは質問責めだわ、と思いながら、敦賀さんの車に乗り込みマンションに到着した。
マンションに着いてからも、敦賀さんはさりげなくスマートにエスコートしてくれて。
私は車のドアにも、敦賀さんのお宅のドアにも、マンションのエレベーターのボタンにさえも触れることなく自宅へと案内された。
「靴も脱がせてあげようか、お嬢さん?」
「うひゃあ!!じ、自分で脱げますぅ!!」
敦賀さんのスマートな様を見ていたまま動かなかった私に、敦賀さんの意地悪な部分が顔を出す。
私は慌てて靴を脱ぎ、敦賀さんのあとを追った。
***
「実は、最上さんにハロウィンのプレゼントがあるんだ」
今までのエスコートだけで、もう既に十分な"おもてなし"を受けている気がするのに、敦賀さんは更にプレゼントまでくれると言う。
「気に入ってくれると良いんだけど…」
そう言って敦賀さんがくれたプレゼントは、まさに私が今朝想像していたものだった。
「うわぁ…!可愛い…!」
それは、私の好みど真ん中の、キラキラとしたカボチャの馬車の形をした掌サイズの硝子のキャンディポット。
乗り込むカボチャ部分には色とりどりのキャンディが数個入っている。
「最上さんなら、カボチャと言ったらハロウィンよりも馬車かと思って」
「ありがとうございます!!凄く可愛いです…!」
今朝の私の想像が、現物になって現れたよう。
「気に入ってもらえたみたいで、良かったよ。
ほら、キャンディも食べて?」
私の手に乗るキャンディポットから敦賀さんがキャンディを一粒取りだし、私の口許に近付ける。
唇に押し付けるように差し出され、私はそのまま口で受けとるしかなかった。
「んむ…」
「どう?美味しい?」
「おいひいれす」
口の中でカラン、と音をたてながら頬張る。
ピンク色のキャンディは、甘酸っぱいイチゴの味がした。
「……ねぇ、"Trick or Treat? "」
「…………はい?」
「うん。"Trick or Treat?"」
キャンディを口内で転がし暫くすると、敦賀さんが『魔法の言葉』を唱え出した。
もしかして、敦賀さんも食べたいのかしら…?
「えっと…、
あのぉ、敦賀さんも食べますか…?」
実際は敦賀さんから頂いたキャンディだけれど…。
おずおずと敦賀さんにキャンディポットを差し出す。
「うん、俺はこっちが欲しいかな」
敦賀さんの手は私の差し出したキャンディポットを通りすぎて私の腕をつかむと、そのまま引き寄せるように腕を引いた。
「つ、敦賀さん!?」
「こっちをくれる?」
敦賀さんはそう言うと、私の唇を人差し指の先でツンと指差し、顔を近づけた。
「ちょ…!
敦賀さぁぁぁぁん!?
イチゴ味ならまだありますからぁぁぁぁ!!」
唇が触れあうギリギリのところ。
そのすんでのところで私は自分の口をガードするように手で覆った。
私の手の上からキャンディポットが落ち、床に転がる。
「なっ、何をしようとしてたんですか…!」
「ん?"おもてなし"してもらおうと思って。
"おもてなし"、してくれないの?」
「だ、だから、キャンディ差し出したじゃないですか!!」
「うん。でも違う"おもてなし"を受けたかったんだよね」
「私の食べてるイチゴ味なら、まだ同じものが中に入ってましたから!
だからイチゴ味が欲しかったからって、私に"イタズラ"するのはやめてくださいぃ!!」
私の発言に、敦賀さんは一旦キョトンとした顔になり、それからクスクスと笑いだした。
「………何が可笑しいんですか?」
少しムッとした声で質問する。
「いや、ごめん。
最上さんの勘違いが可笑しくて…」
「勘違い?」
「俺が欲しかったのは、口の中のキャンディじゃなくて最上さんだよ」
敦賀さんは私の頬を、さっき唇にしたように人差し指でツンと指差した。
私の思考が、固まる。
「…………は…?」
敦賀さんは話を続ける。
「うん、ここまで言ったらもうわかってくれるよね?
俺が欲しいのは最上さんだから、"おもてなし"してくれる?
もちろん今日はハロウィンだから、くれなきゃ"イタズラ"することになるんだけど」
どっちがいい?と聞く敦賀さんは、とても楽しそうで。
私は、その楽しそうな表情を見れた喜びと、突然の敦賀さんの発言への驚愕と、後から気付いた逃げ場のない困惑とで、しばらくそこで何も言えなかったのだった。
おわり
*******************
一日3行ペースで、こんな時期外れなことに…!((((;゜Д゜)))
もう時期外れもいいとこなので、続きませんwww
いまだにハロウィンネタΣ( ̄ロ ̄lll)
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「どうぞ」
「お邪魔、します…」
敦賀さんと約束をした私は、夜になったら直接お宅にお邪魔するつもりだったのに、わざわざ敦賀さん自身が私の今日終わりの現場まで迎えに来てくれた。
「迎えに来たよ、さぁマンションに帰ろうか」なんて言われてしまっては、きっと現場にいた皆さんに誤解されてる。
次回この現場に来るときは質問責めだわ、と思いながら、敦賀さんの車に乗り込みマンションに到着した。
マンションに着いてからも、敦賀さんはさりげなくスマートにエスコートしてくれて。
私は車のドアにも、敦賀さんのお宅のドアにも、マンションのエレベーターのボタンにさえも触れることなく自宅へと案内された。
「靴も脱がせてあげようか、お嬢さん?」
「うひゃあ!!じ、自分で脱げますぅ!!」
敦賀さんのスマートな様を見ていたまま動かなかった私に、敦賀さんの意地悪な部分が顔を出す。
私は慌てて靴を脱ぎ、敦賀さんのあとを追った。
***
「実は、最上さんにハロウィンのプレゼントがあるんだ」
今までのエスコートだけで、もう既に十分な"おもてなし"を受けている気がするのに、敦賀さんは更にプレゼントまでくれると言う。
「気に入ってくれると良いんだけど…」
そう言って敦賀さんがくれたプレゼントは、まさに私が今朝想像していたものだった。
「うわぁ…!可愛い…!」
それは、私の好みど真ん中の、キラキラとしたカボチャの馬車の形をした掌サイズの硝子のキャンディポット。
乗り込むカボチャ部分には色とりどりのキャンディが数個入っている。
「最上さんなら、カボチャと言ったらハロウィンよりも馬車かと思って」
「ありがとうございます!!凄く可愛いです…!」
今朝の私の想像が、現物になって現れたよう。
「気に入ってもらえたみたいで、良かったよ。
ほら、キャンディも食べて?」
私の手に乗るキャンディポットから敦賀さんがキャンディを一粒取りだし、私の口許に近付ける。
唇に押し付けるように差し出され、私はそのまま口で受けとるしかなかった。
「んむ…」
「どう?美味しい?」
「おいひいれす」
口の中でカラン、と音をたてながら頬張る。
ピンク色のキャンディは、甘酸っぱいイチゴの味がした。
「……ねぇ、"Trick or Treat? "」
「…………はい?」
「うん。"Trick or Treat?"」
キャンディを口内で転がし暫くすると、敦賀さんが『魔法の言葉』を唱え出した。
もしかして、敦賀さんも食べたいのかしら…?
「えっと…、
あのぉ、敦賀さんも食べますか…?」
実際は敦賀さんから頂いたキャンディだけれど…。
おずおずと敦賀さんにキャンディポットを差し出す。
「うん、俺はこっちが欲しいかな」
敦賀さんの手は私の差し出したキャンディポットを通りすぎて私の腕をつかむと、そのまま引き寄せるように腕を引いた。
「つ、敦賀さん!?」
「こっちをくれる?」
敦賀さんはそう言うと、私の唇を人差し指の先でツンと指差し、顔を近づけた。
「ちょ…!
敦賀さぁぁぁぁん!?
イチゴ味ならまだありますからぁぁぁぁ!!」
唇が触れあうギリギリのところ。
そのすんでのところで私は自分の口をガードするように手で覆った。
私の手の上からキャンディポットが落ち、床に転がる。
「なっ、何をしようとしてたんですか…!」
「ん?"おもてなし"してもらおうと思って。
"おもてなし"、してくれないの?」
「だ、だから、キャンディ差し出したじゃないですか!!」
「うん。でも違う"おもてなし"を受けたかったんだよね」
「私の食べてるイチゴ味なら、まだ同じものが中に入ってましたから!
だからイチゴ味が欲しかったからって、私に"イタズラ"するのはやめてくださいぃ!!」
私の発言に、敦賀さんは一旦キョトンとした顔になり、それからクスクスと笑いだした。
「………何が可笑しいんですか?」
少しムッとした声で質問する。
「いや、ごめん。
最上さんの勘違いが可笑しくて…」
「勘違い?」
「俺が欲しかったのは、口の中のキャンディじゃなくて最上さんだよ」
敦賀さんは私の頬を、さっき唇にしたように人差し指でツンと指差した。
私の思考が、固まる。
「…………は…?」
敦賀さんは話を続ける。
「うん、ここまで言ったらもうわかってくれるよね?
俺が欲しいのは最上さんだから、"おもてなし"してくれる?
もちろん今日はハロウィンだから、くれなきゃ"イタズラ"することになるんだけど」
どっちがいい?と聞く敦賀さんは、とても楽しそうで。
私は、その楽しそうな表情を見れた喜びと、突然の敦賀さんの発言への驚愕と、後から気付いた逃げ場のない困惑とで、しばらくそこで何も言えなかったのだった。
おわり
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一日3行ペースで、こんな時期外れなことに…!((((;゜Д゜)))
もう時期外れもいいとこなので、続きませんwww