後れ馳せながら、ハロウィンネタをwww
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「Trick or Treat!」
キラキラした星の飾りや、オレンジ色のジャック・オ・ランタン。
お祭り好きな社長によって、この時期の事務所内はハロウィン一色だった。
お伽噺が大好きな私は、ハロウィンとは少し異なる認識で、カボチャ繋がりの「シンデレラ」のカボチャの馬車や魔法使いを思い浮かべて、少しだけ気分が上がっていた。
知り合いを見ては、スキップしながら駆け寄り、「Trick or Treat!」と声をかける。
モー子さんには「浮かれすぎよ」と呆れられ、椹さんには何故か「呪わないでくれ!」と、デスクに置いてあったお菓子をいただき、松島さんには「最上さんは、元気だなぁ…」と疲れたような返事を返された。
でも、みんなどこか笑みを浮かべていて。
みんなが楽しく笑顔になるこの魔法の言葉を、益々たくさんの人に届けたくなった。
軽く鼻唄混じりで廊下を行くと。
―――あ、敦賀さん!
社さんと話ながら前を歩く敦賀さんの姿を見つけた。
気付かれないように後ろからこっそり近づく。
こっそり、こっそり…。
「Trick or Treat!!」
「ぅわあぁぁ!!…っ、キョーコちゃん!?」
脅かすように声をあげた私に驚いたのは、社さんだけだった。
「おはよう、最上さん」
「おはようございます、敦賀さん、社さん。
今日はハロウィンですよ!
"Trick or Treat!"」
魔法の言葉を発する私に、敦賀さんがキュラキュラと微笑み返事をくれる。
「"Trick or Treat"か…。
あいにくお菓子は持っていないから、イタズラしてくれる?」
「へぁっ…!?」
突然の、予想もしなかった返事に、変な声をあげてしまった。
「蓮~。キョーコちゃんからかうのも程々にしろよ~!
俺がさっき買った、のど飴の袋あっただろ」
社さんが横から助け船を出してくれたのだけれど…。
「何を言っているんですか社さん、のど飴はもう無いですよ」
敦賀さんはそう言うと、空であることを証明するため、そののど飴の袋をグッと握り締めた。
袋のなかで、パキパキッと飴玉の割れる音がした気がした。
「社さん、変なこと言わないでくださいね?」
敦賀さんがキュラキュラとした笑顔を社さんに向けると、社さんは真っ青な顔でコクコクと頷いた。
ど…どういうこと…?
敦賀さんは、そこまでして私にお菓子をくれるのがいやだったのかしら…?
不思議に思っていると、敦賀さんがこちらに顔を向けて私に話し出した。
「最上さん」
「は…はい…!」
「"Treat"ってことは、お菓子じゃなくても、要は"おもてなし"をしたら良いんだよね?
今夜仕事が終わってから"おもてなし"したいんだけど、マンションに来てくれるかな?」
「は、はぁ…」
「ね、約束」
とっさに約束してしまったけれど、良かったのかしら?
キュラキュラな笑顔に、なんだか私の方が魔法にかかった気分。
魔法の効き目は、今夜わかる…?
「Treat」へつづく
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続きは週末中にupしたい。←希望