連絡先 ≪本門仏立講 蓮行寺≫
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やわらかい心
御 教 歌
何ごとも 気に入らぬこと 尚多し
これがうきよと 観念をせよ
自分の思い通りにならないのが、この世の理だと思い知ることの大切さをお示しの御教歌です。
ことわざに「浮き沈みは世の習い」とありますように、人の一生は幾度も浮き沈みがあるもので、何時も安穏に過ごせるものではありません。
楽しい日もあれば、辛く苦しい日々もあり、それが無常での生活ですから、自分の思い通りにならないことが多いものです。
御指南に
「人の心の同じからざることは其の面(おもて)のごとしといひ て、たでくふ虫も好き好きとやら、われにもきづいあれば人にもへんくつあり。
世の中の人のわが気に入らぬはもとより、我心さへわれがでもおもふやうにもな らぬ浮世に候(そうら)へば、われをもうらみず人をもうらみず、心をやすらかにくよくよおもはずに御養生なさるべく候。」
「人の心が同じでないことは、夫々の顔立ちが違うように、蓼(た で)くう虫も好き好きとか、自分にもわがままな所もあれば、人にも頑固者がいるものである。
世間に自分の気にいらぬ人のあるのはもとより、自分の心さえ自 分で思うようにならぬ浮世であるから、人をもうらまず、心をやすらかに、くよくよ思わず養生をしていくことが大事なことである。」
このようにお示しです。
例えば、自分の心の形を三角としますと、三角の形をした者同士だったら気も合い楽しくやれるのですが、相手の心が四角だったり丸だったら、合わないというより合わせようとしない自分がいたりします。
それは、心そのものが氷のように凍ってしまい、三角の器には四角・丸といった違った型のものは嵌らないのです。
心を水のように柔らかくしていけば、三角や四角・丸の器で水を汲んでも、自在に形を変えることが出来るように、人間関係においても円満になっていくものです。
そのように、固い心を水のような柔らかい心に磨いていくことの大切さをお示しの御教歌です。
物の見方
御 教 歌
さかさまに ものを見るゆゑ よき事を
わろしとおもふ 人あはれなり
時に物事を逆さに見てしまい、善と悪を履き違えてしまうのがお互いの心であることをお示しの御教歌です。
「凡夫顛倒(ぼんぶてんどう)」という言葉があり、
「顛倒(てんどう)の凡夫損と思ふことは徳也、徳と思ふことは損也。」
「我々凡夫は、損と思うことが徳であったり、徳だと思ったことが損であったりすること。」
このような教えがある位ですから、私達の物の見方・捉え方ほどいい加減で当てにならないものです。
では、何故逆さまに物を見てしまうのか?
それは煩悩欲のためだと。
本来「心の鏡」は、物がはっきり映し出されるものですが、煩悩欲という霞(かすみ)が掛かっているため正しく照らし出されないのです。
煩悩欲とは、我が心を「煩(わずら)わし悩ませる欲」のことをいいます。
この煩悩欲に執着してしまうと、「心の鏡」に霞が掛かり、正しい物の判断が出来にくくなるようです。
生活向上のための欲は大事ですが、何が何でも欲しいという心が強くなっていくところに、道を間違う危険性もあります。
ですから、欲はホドホドに・・・ということを心掛けての生活をしていき、「心の鏡」を曇らすことがないようにしていきたいものです。
執着心
御 教 歌
わが病 惜しや欲しやの 苦しみも
法の教えに いえにけるかな
病の中で一番の病は執着心であるが、仏の教え通り行じていくことにより癒えるものである。
このようにお示しの御教歌です。
仏教では、人がかかる一切の病に「四百四病 」あると云います。
その病の中でも一番の病が貪欲であり執着心です。
欲に執着する病は、時に人を傷つけ、時に落とし入れてまでも己の欲を満足させようとする厄介なものです。
自分が欲しい!と思ったものは、何が何でも手に入れる。入れるまでは決して諦めることなく執拗に追い掛け回します。
そして、手に入れたものにしがみ付き、決して手放そうとしません。
そこに「求不得苦(ぐふとっく)」という苦しみも生じてきます。
このように煩悩欲に執着していくと、結局自分を苦しめていくことになり、その欲に執着する心こそが一番の病であることを教えてあります。
その一番の病を癒していくには、仏の教え通り行じていくことが根本となります。
そのために、仏の教えが現在でも流れているのです。
御指南に
「たとひ心におしやと思ふとも棄捨(きしゃ)したるは、欲に勝ちたる也。」
「たとえ心に惜しい、勿体いと思おうとも捨ててかかれば、欲に打ち勝つことになるのである。」
このように教えていただいてますから、欲に執着する心こそが一番の病であり、その病は仏道に於いて癒やされていくことをお示しです。