ファロス灯台の跡に建てられたカーイトゥべーイの要塞は、
アレキサンドリア東湾の先端にぽつんと浮かぶ。

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カイロから西へと伸びるデザートハイウェイをひた走る。
珍しく強い追い風が吹き平坦な道を時速30kmで進んだ。

カイロでのんびりしすぎた僕は体力も落ちており、
疲れが取れず二日ほど何もせず体を休めた。

エジプトの最北部で地中海に面した港町は、
海風のせいかカイロのような埃っぽさはなく、
落ち着いた印象すら感じる美しい町だ。

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街の象徴であるアレキサンドリア図書館は、
紀元前300年ごろプトレマイオス1世が開いたとされ、
ヘレニズム時代には世界最大の図書館であった。

短編ミステリーで有名な阿刀田高さんの小説でも
アレキサンドリア図書館を題材にした作品があり、
以前から阿刀田さんの小説が好きな僕は、
是非一度ここを訪れてみたいと思っていた。

現在も巨大な図書館は綺麗に建て替えられているが、
博物館やプラネタリウムも併設され多くの人が利用している。
内部は地上部と地下あわせて11階で構成されており、
図書スペースは開放感のある階段状の吹き抜けで、
柔らかな光が射し非常に居心地が良い空間を演出している。

博物館には古代アレキサンドリア図書館の床に使われた、
色鮮やかで繊細なモザイクや古地図などが展示されていた。

久々に喧騒から脱した空間に身をおくと、
自然と気持ちが安らいで来るのを感じる。

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アレキサンドリアでの滞在は一週間程を予定しており、
その間に抱えているデザインワークを仕上げて、
次なるヨーロッパ編へと準備を進めようと思うのだが、
ここへ来て新たな問題が発生した。

エジプトからギリシャまでは船で渡る予定でいたものの、
現在フェリーの運航予定が全く無いらしいのだ。
アレキサンドリアかポートサイドから四月下旬頃に船が運行する
という情報があったのだが、実際はどの旅行会社に問い合わせ
てもしばらくは運行予定がなく、あっても20日後以降との事だった。

値段も聞いていた値段の倍以上するらしく、
現実的にかなり厳しい状況になった。

宿のスタッフは親身に相談に乗ってくれて、
あれこれと調べてもらったのだが、空路を使ったとしても
自転車を運ぶのは困難で航空券以上の金額がかかる。

悩んだ挙句に「バスでイスタンブールまで戻ろうと思う。」
と、言うと「それはかなり大変だけど良い案がある。」と、
また彼はどこかへ電話をかけて相談してくれた。

しばらくして彼が笑いながら僕に話しかけてきたのだが、
なんとアレキサンドリアからシリアまで直行のバスがあり、
それを使うとかなり安くダイレクトに行けるとの事だった。

ここからシリアまで直行のバスって何時間かかるのだろう?
とは思ったのだが、走ってきた事を考えると余りある時間だ。

毎週土曜日と火曜日にバスは運行しているらしく、
かなりの強行スケジュールで陸路を進むのだが、
僕は来週の火曜日に出るバスで出発しようと思う。

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イスタンブールの春はもう暖かいのだろうか?
憧れだったスタンブールの記憶は常に曇り空で、
毎日冷たい雨と雪が降り続いていた。

イスタンブールで年を越した後、ヨーロッパへ向かう予定があまりの
寒さから逃げるように南下し、アレキサンドリアまで辿り着いた。
イスタンブールから無理矢理真冬にヨーロッパへと入っていたら、
今頃もうユーラシアを横断し、一時帰国していただろうと思う。

今思うと妙に思い入れの多かった中東編だったように感じる。
長い寄り道にはなったのだが、この寄り道は僕の人生において
かけがえの無い貴重な経験を与えてくれたのは確かだ。

巨大な図書館は非常に繊細に整理しなくてはならず、
元あった場所から30cm離れると失くなったも同然らしい。

僕は4ヶ月ぶりにイスタンブールへと戻り、
再びユーラシア横断へと戻るのだった。

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アレキサンドリアで活動する青年海外協力隊員と出会い、
食事をご馳走になったり色々とお話を聞かせてもらいました。
同年代の彼等は現地で今日も活動しています。