知り合いといろいろ話をしていた夜。
「どうして今の自分がいるのか?」
そんな事を話していた時に
気が付いたら今まで言えなかった事も言えるようになっていた。
それだけ成長した証。

実は、私には「思春期」も「第2反抗期」もない…
それには理由があるから…

本来であるなら「思春期」も「第2反抗期」もある頃、
あの頃は、毎日を過ごす事に必死だった…
ベランダから何気なく眺めた地面に向かって
何度その場から羽搏いたら楽になるのか、
どれだけの苦痛から解放されるのかと
自問自答して、泣いていた事を思い出した。
自分の腕を傷つけ、流れ出る血を見つめては
自分が生きている証を見出している事もあった。
大量の薬を嚙み砕いて、涙した事もあった。

あの時…羽搏かなかったから、今の自分がいる。
傷つけた腕の傷が浅かったから、今の自分がいる。
薬を嚙み砕いても、死に至る事がなかったのは、
それがどれだけ頑張っても、致死量にはなかったからだった。
きっとその時の死神のリストには
私の名前は刻まれていなかったのだろう…

「どうしても逢わなければならない人がいるから」
それが理由なのかもしれない。
昔の私ならば「余計なお世話だ」と言うだろう。
今は「逢うべくして巡り合った人」がいる事、
「必要とされて巡り合った人」、
「私を想っているが為に巡り合った人」、
色々な人と出逢い、色々な別れ方があったけれども、
それは今、こうして此処にいるから出来る事なのだろう。

ふと思い出して、高校の卒業アルバムを開いた。
本当は封印しておきたい思い出が、写真で遺されていた。
たくさんのクラスメイト、同じ部活だった人、
たくさんの事を教えてくれた恩師…
そう言った人が、アルバムに笑顔で写っていた。

毎日の行きと帰りの通学の2時間が、
私にとっての「唯一の自分だけの時間」だった。
学校生活の中では、もちろん喧嘩した相手もいた。
廊下ですれ違うたびに、睨み合いをしていた。
すれ違った後で、いくつも薬を嚙み砕き、
気が付けば保健室のベットの上なんて言うのは日常茶飯事だった。
当時から、病院に通院している事は先生はみんな知っていた。
勿論、薬を飲んでいる事も知っていた。
授業中に寝ていても、先生たちは怒らなかった。
放課後、授業の解らない所を教えてもらいに行っても、
先生達は、授業中に寝ていた事を問い質さずに
解り易く教えてくれた。

保健室の先生は、時々相談相手にもなってくれた。
進路指導の先生は、遅刻をしても怒らなかったけど、
時々は「遅刻しないようにしろよ」と言ってくれた。
校長先生とは、校長室で一緒にお茶を飲む事もあった。
ALTの先生は私の話を聞いて、一緒に泣いてくれた。
「海には、魚がいっぱいいるよ」とたどたどしくも、
一言一言に心を込めて、日本語で言って慰めてくれた。
日本で言う「星の数ほど相手はいる」と同じ事らしい…

専門学校を受験して、合格した時には学校に行っていなかった。
「学校に来なくていいから、受験結果を家で待て」
そう言ってくれたのは進路指導の先生だった。
次の日に、合格通知を持って職員室に行くと、
先生達が一緒に喜んでくれた。
「頑張ったね」の一言が嬉しかった。
そんな人達が、アルバムの中では笑っていた。

喧嘩した相手が気になって、いろいろと調べてみた。
1人は分からなかった。どこにも情報がなかった。
1人は…千葉の大学を出て、色々な活躍をしているらしい。
東北の震災の後、ずっと東北方面で活躍していると言う。
顔は変わっていたけど、面影はあったし、笑い方が一緒だった。
あの頃、どうして喧嘩をしたのか分からないけど、
今はたくさんの人に彼が教えてもらった事を教えているのだろう…
そんな彼の活動を見ていたら、ただ一言しか浮かばなかった。
「頑張って、たくさんの人に笑顔を届けてあげて」と…

もし、高校の同窓会があったとしたら、
どんな顔をしていけばいいのだろう…
なんて言えばいいのだろう…
自分が住んでいた所から、1時間かかる場所にあった高校、
今は住んでいる場所も、名前も変わった。
でも、高校時代の人には、その事を伝えていない。
伝えてしまうと、あの頃を思い出しそうで、
目の前が真っ暗になりそうだから…

毎日眠る時にエンドレスリピートで流す曲は、
そんな私の過去を知っているかのようだ。
そして、次に目覚めた時には、新しい出逢いを、
新しい楽しみを見出してくれるような気がする。
だからこそ、その曲を聴きながら毎日眠りに就くのが日課だ。

今日はこれから、何時もの曲を聴きながら、眠りに就こう…
少しでも眠っておかないと、今患っている病気が悪化するから。

でも…少しだけ起きてて、泣いてもいいですか?
いつも強がってばかりで、平気な顔して冗談言うけど、
今だけは、強がる事も、平気な顔で冗談も言えないです…

実は、何時も聞いている曲は…
時々だけど、無情にも昔を思い出させてくれます。
それは、今、あの頃から齢を重ねて大丈夫なのかもしれないけど…
たまに、ピンと張っていた糸が切れそうになって、
そう言う時になると、余計に何時も聞く曲が、
本当の私を引き出して、本音を言わせる…

ある意味、罪だよ…これは。