毎時1マイクロシーベルトは自治体が行なう除染の基準ではない-文科省の見解 | Relationship座間

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放射能に不安を覚える神奈川県座間市とその近隣のみんなで繋がりましょう

昨年末12月24日の本ブログの記事
「0.67マイクロ ひばりが丘公園 浸透マス さすがに市役所の対応 酷すぎます」
http://ameblo.jp/relationship-zama/entry-11116213249.html
の「コメント」に、
ミニホットスポット対処の求めに対する座間市の回答として「自治体の基準は、国の除染基準の毎時0.23マイクロシーベルトではなく、文科省が定めた高さ1m毎時1マイクロシーベルトである。それに達しなければ測定や除染をしない。その基準より厳しい独自基準で自治体が対処することは、文科省の基準を否定することになる。」であったとの報告がありました。

 
周辺他市の対応と大きくかけ離れた話しであったため、
文部科学省の担当部署(原子力災害対策支援本部)に、
高さ1m毎時1マイクロシーベルトの位置づけや意味について、問い合わせてみました。

 
 -高さ1m毎時1マイクロシーベルトが定められている文書-
 福島県以外の地域における周辺より放射線量の高い箇所への文部科学省の対応について(H23年10月21日 文科省)
 http://radioactivity.mext.go.jp/ja/important_imformation/0006/index.html

 
ちょっと緊張して電話しましたが、応対や説明は丁寧かつ親切で、親近感を感じました。
 

問い合わせの結果、結論から申し上げると、
文科省の示した高さ1m毎時1マイクロシーベルトは、自治体における測定や除染の基準でないことが分かりました。
真意は不明ですが、少なくとも文科省の正しい意図や見解とは異なる説明を座間市は市民にしていたことになります。
 

★   ★   ★   ★   ★

 
-文部科学省の見解-”高さ1m毎時1マイクロシーベルト”について
■位置づけについて・・・
 法的を含め、強制力はない。
 自治体の測定や除染などを定めた基準でもない。
 「文科省が地方公共団体や民間団体等に対して発見報告をお願いしている目安」であり、
 自治体などで対処が困難な時に「文科省に支援を要請する際の目安」に過ぎない。
■自治体が独自基準で対処することについて・・・
 何も問題はない。
 より厳しい基準で自治体が対処することは、文科省の目安を否定することには全くならないし、
 その方が安全面では望ましい。
 地域住民のニーズに応じて、各自治体が独自に基準や対応方法を決めれば良い。
 (具体的な処置方法としては、除染を行う他に、それが困難だったり、森林などで必要性が薄い場合には立入禁止にするなども考えられる)
■目安の数値を決めた過程と算出式について・・・
 数値設定に向けての審議などは何もしていない。
 過去に”福島県の学校における校庭・園庭の土壌の線量低減策に対する財政的支援を
 毎時1マイクロシーベルト以上の場合に行なう”としたことの流れを汲んでいると思う。
 

  《参考》
  福島県内における児童生徒等が学校等において受ける線量低減に向けた当面の対応について(H23年5月27日 文科省)
  http://www.mext.go.jp/a_menu/saigaijohou/syousai/1306590.htm
  (3-3項に財政的支援の話しとして毎時1マイクロシーベルトが登場します)
 

  この際の毎時1マイクロシーベルトの根拠となった計算式は、
  学校にいる間だけの被ばくだけしか考慮されおらず、
  毎時1マイクロシーベルト×(屋外2時間+屋内4.5時間×コンクリート校舎低減係数0.1)×200日+内部被ばく=年間0.534ミリシーベルト
  となるので、学校内では年間1ミリシーベルトを下回るというものでした。 
 

  ちなみに、
  年明けから施行された国が除染する基準である高さ1m毎時0.23マイクロシーベルトは、
  有識者による委員会、パブリックコメント、閣議決定、などを経て決めるという過程が踏まれています。
  計算式は次の環境省報道発表の最下部に記載されている
  「(参考)「放射線量が1時間当たり0.23マイクロシーベルト」の考え方」を参照ください。
  http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=14598
  (但し、これは国が行なう除染の基準。これより厳しい基準で自治体が対処しても全く問題ありません。)
■国が除染する基準の高さ1m毎時0.23マイクロシーベルトのエリアとミニホットスポットを区分する数値基準
 エリアの区分に関する数値基準はない。
 総合的に判断される。
 

★   ★   ★   ★   ★
  
会話の中で、文科省の方が繰り返しおっしゃっていたのが「住民のニーズに応じて」自治体が対応というフレーズ。
「住民ニーズ」に応じて自治体の対応は異なってくるという意味で、盛んに使われていました。
 
すなわち、「住民ニーズ」に応じて基準を定めるのが自治体の正しい対応ということです。
 
測定の高さにしろ、放射線量にしろ、市の基準に反映させるため、遠慮などせずに、
市に対してミニホットスポット対処の「住民ニーズ」をどんどんぶつけていきましょう!
 
  
以下、参考までに、県内の他市町村の基準を列挙します。
(2011年1月5日調査時点。順不同。間違いなどがございましたら、ご指摘ください。)
■高さ1cm毎時0.19マイクロシーベルト
  伊勢原市、南足柄市
■高さ1cm毎時0.23マイクロシーベルト
  茅ヶ崎市(1月より厳格化:それまでは高さ1m毎時1・05マイクロシーベルト)
■高さ5cm毎時0.19マイクロシーベルト
  川崎市、厚木市、大和市、愛川町、中井町、
  藤沢市(12月より厳格化:それまでは高さ5cm毎時0.23マイクロシーベルト)
■高さ5cm毎時0.23マイクロシーベルト
  相模原市、海老名市、綾瀬市、平塚市、逗子市、三浦市
■高さ10cm毎時0.19マイクロシーベルト
  鎌倉市、箱根町
■高さ1cm毎時0.59マイクロシーベルト または 高さ50cm毎時0.23マイクロシーベルト
  寒川町
■高さ1cm毎時0.59マイクロシーベルト または 高さ1m毎時0.23マイクロシーベルト
  横浜市、横須賀市
■場所によって異なる基準を設定
 ・大磯町:高さ1cm毎時0.23マイクロシーベルト(子どもたちが長時間過ごす生活空間)
       高さ1cm毎時0.59マイクロシーベルト(局所的に放射線量が高いと考えられる箇所)
 ・小田原市:高さ5cm毎時0.19マイクロシーベルト(子どもが座り、ある程度の時間いる場所(校庭・園庭・砂場など))
         高さ50cm毎時0.19マイクロシーベルト(子どもがその場に短時間しかいない場所(雨どいや側溝など))
■基準不明瞭
 ・清川村:(高さ数cm程度?)毎時0.19マイクロシーベルト
 ・秦野市:高さ5㎝(放射線量不明)
 ・開成町:高さ5cm(放射線量不明)
 ・湯河原町:高さ5cm(放射線量不明)
■不明
  葉山町、二宮町、大井町、松田町、山北町、真鶴町

 
自治体によって随分と異なることが分かるかと思います。
しかし、少なくとも、高さ1m毎時1マイクロシーベルトを基準にしている市町村は見つけられませんでした。
 
文章:高木公房
 
▼2012年1月7日追記▼
 

座間市でも、平成23年11月14日(月)、16日(水)、17日(木)に
ミニホットスポットの有無を探索するための測定をしていました。
 

『市民からの要望の多い幼児や児童生徒への影響を考慮して(*2)』ということで、
『放射線量(空間線量率)が高いと懸念されるポイントの地表から1cmの高さ(*2)』で測定し、
『座間市放射能除染対策実施要領で定めた毎時0.23マイクロシーベルト(*2)』で危険性を評価しています。
 

この基準ならば座間市も測定や除染の求めに応じてくれるのでは?と思います。
基準を緩和する理由はないでしょうから。
 

*2 座間市ホームページ「市内公共施設における環境(ポイント)放射線量の測定結果」
  http://www.city.zama.kanagawa.jp/www/contents/1321836357216/index.html


文章:高木公房