今日は贅沢な一日でした。 | 井上政典のブログ

井上政典のブログ

 歴史を通じて未来を見よう。

 歴史ナビゲーターの井上政典がお贈りする祖国日本への提言です。
 
 ご意見は賛成反対を問わずどんどん書いてください。

 ただし、社会人としての基本的なマナーは守ってくださいね。

 今日は長谷川会長のお供で、直方市に行ってきました。

 学生連合の初代と二代目の会長君たちが東京から来たので、私もお相伴しました。

 上野焼(あがのやき)の窯元に連れて行っていただきました。そこで自然と同化した木々の葉の色彩の絶妙な配色を堪能しました。

 岩にはコケの緑が青々と、そして上を見上げれば緑の部分を僅かに残し、黄色、朱色、真紅と絵の神様が天才的な才能を発揮された景色に、眼福(がんぷく)という言葉が脳裏にふと浮かびました。

 目に飛び込んでくるその色は限りなく優しく、優雅で、儚い風景であり、窯元の入れていただいた煎茶をいただくと、馥郁(ふくいく)たる香りと味が鼻腔を刺激し、思わず目をつぶりたくなります。しかし、ふと目を開けるとそこには極楽のような景色が目に飛び込んでくるのです。

 滞在時間が限られているので、窯元との興味あるお話もそこそこに次の場所に移動しました。

 その極楽のような場所から離れ難かったのですが、食事と言われてくいしんぼの私はひょいと車に飛び乗りました。移動すること3分。別な窯元のところに誘導していただきました。

 そこも、佇まいがここが九州の片田舎の直方かと目を疑いました。

 桜の巨木が大地にしっかりと根を張り、枝を精一杯に四方に伸ばしていました。

 ちょっと肌寒い外から建物の中に入ると、ほんわり暖かい空気が私たちを出迎えてくれました。よく見ると、玄関に炭を焚いた火鉢が私たちのくる数時間前から用意されていたのでした。そのおもてなしの心に感動しているまもなく、お茶とお菓子が運ばれてきました。その蓋には、季節の花があしらわれ、これが「こしらえ」というものでした。

 柿やかぼちゃを使ったお菓子を抹茶でいただき、しばしの会話を楽しみました。そして奥の部屋に通されるのです。そこには、窯元らしく釜がオブジェとして飾ってあり、壁には銅製の蔵の窓の銅板が数百年前の歴史を語っていました。

 運ばれてきたお皿を見ると、なんと上野焼の緑の器に鮮やかな黄色の錦糸卵がかけられたちらし寿司がその美しい色の配色とともに、お互いを高め合い、そして強調し合っていました。

 いろんなところで食事をしてきましたが、これほど心がこもり、おもてなしの気持ちを感じた食事は初めてです。食べるのも惜しいほどの美しい、天国で食される食事はこんなものかと私としては長々と3分ほど眺めていました。

 食欲には勝つこともできず、一口食するとこれも絶妙な酢とお米の甘さがしいたけやごぼうと調和して広がりました。彦摩呂なら、「美味しさの雅楽のオーケストラや!」と言ったはずです。

 副菜も見事で、山の恵がふんだんに散りばめらた四品の小鉢を交互に堪能しながら、きのこのお汁をいただきました。おかわりはと言われたので、お汁のおかわりをいただくと、今度はきのこのお汁に春菊がのせられまた違った味を醸し出していました。

 心もお腹もそして目をいっぱいです。日本料理は目で食すという言葉を思い出し、一所懸命に材料を走り回って集めていただいた窯元のご亭主と奥様の心遣いに感動と満腹のひとときでした。

 滞在する時間が限られていたので、車に戻るとハラハラと紅葉が落ちてきて行く秋の儚さと、出会いの縁の深さに感動したひとときでした。

 日本の原点がこの直方という田舎に有りました。

 お仏壇のはせがわが50年以上前に京都の本願寺様の修復を手がけることのできた秘密を垣間見た気持ちです。それはお客様に喜んで欲しいという一心が東証に上場する企業を作ったのだと確信しました。

 人は、教育だけでなく環境が作るものだということを改めて知った一日です。

 またひとつ豊かになりました。