今、痙攣性発声障害や過緊張性発声障害の症状がでる人が急増しています。
このような発声障害の原因に、
俗説的なボイストレーニング方法の普及があると思います。
生来の発声運動にない余分な力みを加える習慣を挟み込むことで、徐々に呼気と声帯閉鎖の強度が
過剰になっていくのです。
これは、通常の歌唱系のボイストレーニングスクールや、音声外来の病院などにいる、
発声のプロとしてのボイストレーナーが、
発声について十分な知識と経験を積んでいないことにあります。
例えば、
「お腹に力を入れる」
とか、
「息を乗せるようにたくさん吐く」
等です。
これらの事を良かれと思い込んで一生懸命頑張った方が発声障害に陥る可能性が高まるのです。
元々、赤ちゃんの頃、喃語(なんご)を始めたころから口唇や舌をはじきながら同時に声帯を鳴らすことを学習します。
例えば口唇で「p、p、p、p、p.....」
をしながら
次第に声帯を鳴らして母音「a」に近い声が同時に出せるようになると、
結果「pa.pa,pa....」という単音(音韻)に近づきます。
呼吸運動と発声運動と、構音運動(子音を舌や口唇などで作ること)が完全に一致して、
何の意図的な力みもなく、音韻が形成されるのです。
お腹に力を入れて、息を強く吐き出すように吐きながらやっていると、それだけで反射的に声帯は強く閉まってしまいます。
これが習慣になると
声帯は本来よりも強めに閉まるようになります。
強く閉まるようになった声帯の強度に合わせるように身体はさらに息を強く吐こうとしていきます。
初期のころはこれが功を奏し、高い声、大き目の声が出ているように感じますが、より安定的に持続させようと、力みの操作は過剰になっていきます。
呼吸運動と発声運動との連動制が、完全一致したバランスから崩れていき、
生理的な声帯の動きが失われていくのです。
実は
病院等でやっている音声訓練も実は全く片手落ちです。
水を入れたコップにストローでブクブクと息を吐くことを延々とやらされていませんか?
これは、息をゆっくりと保持させながら吐くことが目的ですが、これに発声運動を同時に行わないことには何の意味もありません。
ゆっくり息を吐くことと声帯を強く閉めすぎない、
この二つのことが並行して行えないのが
発声障害なのですから。
また、
お腹に手を充ててフーフーと息を吐くことも弊害です。
息を強く吐くことなどは、皆さん過剰なくらいにやっているのです。
むしろいかに強く息を吐かないで、声帯も強く閉めすぎないで鳴らせるか、という感覚を取り戻さなくてはならないのです。
発声障害は、「発声の悪習慣」を開放していく作業です。
自分が長い期間、癖でやってきた身体的な力みを手放していくことは容易ではありません。
しかし、これは「脳の難病」などでもなく、
神経の病気でもありません。
大丈夫です、
声帯がまだある限り、発声の悪習慣をただすことで声は回復します。
しかしながら、いったんついた身体の癖は、自分で気づくことも難しく、力を入れているつもりもないのに入ってしまう、というものです。
発声や身体のことが本当に経験と知識の両面でわかっている、
個人個人の癖に即したボイストレーニングが出来るボイストレーナーに任せることをお勧めします。
発声治療室レイクラブhttp://www.reivoitre.jp/では、カウンセリング・体験レッスンを
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