見せかけの妙技。 | 零細企業の闘魂日記

【人類の起源は「猿人類」と「豚」のハイブリッドであるという斬新すぎる新説が登場!】

http://irorio.jp/sakiyama/20130706/67818/
『かつてガリレオ・ガリレイが地動説を唱え(これは真実だったと証明されたが)、人類の度肝を抜いたように、人類の歴史を覆すような爆弾発言をする遺伝学者がいる。ユージン・マッカーシー博士によると、ヒトの起源はチンパンジーと豚の交雑だというのが最善の解釈だとされる、揺るぎのない解剖学的証拠があるのだという。』
 
ヒトが生まれるには、“掛け合わさる方向”が重要だとされ、ブタの雄とチンパンジーの雌の間に生まれたと考えられている。生まれた子供が猿人類の母親に育てられるという理由から、その“方向”が理に適っているのだそう。そして何世代も度重なった猿人類との戻し交配により、ヌクレオチド配列データの比較ではブタ遺伝子は表面上ひた隠しにされているというのがマッカーシー博士の主張だ。』
 
『マッカーシー博士が提示する膨大な資料の中には、ここではお伝えしきれない解剖学的比較データがある。骨の構造、皮膚、腎臓構造、皮膚メラニン細胞の存在、黒色腫、霊長類陰茎骨、脂質と細胞膜、声帯構造、喉頭嚢、心房の左右対称、頭蓋脈管構造…などなど、まさに何から何までだ。彼によると、チンパンジーと人間の違いを探せば探すほど、その違いは人間とブタの類似点となってくる。また、ゴリラとチンパンジーを比較すると、ゴリラには森猪の特徴が浮かび上がってくるのだとか。』
 
『遺伝学者としてのマッカーシー博士のリサーチは、実際に読んでみると思わず納得してしまいそうな説得力がある。しかしこれは新説としてプレスリリースされたものの、研究内容が論文になったわけでも、実験によってこの説に裏付けがあるわけでもない。しかしこれを提唱するのは、「近年の生物学者は遺伝子に過度に依存し過ぎている」と述べるハイブリット専門の遺伝学者。』


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面白かったので、長々と引用した。
なるほどブタが祖先だから、私などちょっと油断するとブタのように肥えてしまうわけだ。納得(笑)。この珍説を唱えるマッカーシー博士とやらは、身近にブタとチンパンジーが合体したような人物を見ているうち、テキトーに思いついたのだろう。

ブタは一万年ほど昔、人間によってイノシシから家畜化されたものだと思ってきたが、マッカーシー博士によると、人間よりもブタのほうが先に出現したらしい。とすると、イスラム教徒やユダヤ教徒はちょっと困ったことになるな。人類の男は皆、女癖の悪い猪八戒か。いよいよ道理にかなっている!
 
さて、真面目に答えよう。
ブタと人間が器官や形質上、似ていたとしてもそれは収斂進化(Convergence)にすぎない。
収斂進化とは、簡単に言えば「他人のそら似」で、起源の異なる生物種が生命を維持するために問題を便宜上解決し(‘便宜主義’という)、その結果、同じような形態を持つことを言う。
 
たとえば、クジラは哺乳類だが泳ぐという点で魚類に似ているし、コウモリは飛ぶために翼を持ちその形態においては鳥類に似ている。しかし、根本的に哺乳類は哺乳類、魚類は魚類、鳥類は鳥類としての特徴は変わっていない。
 
意外な例を紹介すると「カニの王者」とも呼ばれるタラバガニ。
ところがタラバガニは分類学上エビ目(十脚類)ヤドカリ下目(異尾類)に属していて、カニ下目(短尾類)ではない。

  

カニ下目ではなくヤドカリ下目に分類されているのには理由がある。ヤドカリとタラバガニは成体でこそまったく異なる形態だが、幼生期ではそっくりである。

 

よく知られている形質として、他のカニでははっきりと歩脚が5対見られるが、タラバガニの歩脚のうち1対は極端に短いこと、メスのタラバガニの腹部は一般のカニとは異なり左右対称形になっていないことが挙げられる。

 
さてタラバガニはカニなのか、ヤドカリなのか?

この議論は長らく続いたが、リボソームRNAを解析してタラバガニを含めたヤドカリのグループの分子系統樹を推定した結果、驚くことに、タラバガニがヤドカリの一つ、ホンヤドカリのグループから比較的最近進化したことが判明した。つまりタラバガニはヤドカリの一系統で、形態がカニのグループに酷似しているのは収斂進化の結果に過ぎないことが明らかとなったのである。余談だが、カニは一般的に横方向に移動するがタラバガニは縦方向にも移動できる。
 
 
【「生活苦しい」6割、昨年調査で微減…所得増で】
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20130705-OYT1T00197.htm
生活が苦しいと感じている世帯が、過去最高だった2011年より12年はわずかに減ったことが4日、厚生労働省が発表した国民生活基礎調査でわかった。』

『同省は「所得が上がったことなどが影響した」と分析している。』
 
『ただ、6割を超える世帯が依然、苦しいと感じている。』
 
『生活意識について、「大変苦しい」と答えたのは28.6%、「やや苦しい」も31.8%で、合計すると前年比1.1ポイント減の60.4%となった。』
 
『子どもがいる世帯では苦しさを訴えた割合がより高く、「大変」が31.3%、「やや」は34.0%で、合計は同4.1ポイント減の65.3%となった。』
 
『調査は昨年7月、福島を除く46都道府県の9252世帯を対象に実施し、7323世帯の回答を集計した。』
 
官僚は本当にノー天気でよろしいなぁ。
結果が60%を超えるデータで1.1ポイント減ぐらいでは何も議論できない。
ここでは子供がいるかどうかで「生活の苦しさ」の振れ幅が大きいことが分かる。
つまり子供がいると生活の苦しさが増すということだ。

「子供=児童」とは言えないが、グラフで見ると昭和61年以降、年々、児童のいる世帯が減少している。 

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下記の表でも一世帯人員が減少を続けていることが明らかだ。
【I 世帯数と世帯人員数の状況】
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa10/1-4.html
 
この調査における1.1ポイント減は、単に誤差の範囲かもしれないし、一世帯人員が減って少し生活が楽になったのかも知れない。またそのいずれでもないかも知れない。そのほかのプラス・マイナス要因もあるだろう。要するに、繰り言になるがこの程度の増減では何も言えないのである。直感で分かる話だが統計学的に示しておく。

 

・有効回答数=7323世帯

・「生活が苦しい」=60.4%

・信頼度=95%

 

信頼度95%での標本誤差を計算すると±1.12ポイントである。1.1ポイントは誤差の範囲であることがお分かりいただけるだろう。
 

(ただし、可能性としては、子供がいる世帯で4.1ポイント減という、明らかに誤差ではない数値が出ているので、これが全体のサンプルに微妙な影響を与えているようにも私は思えるのである)。
 
誤差の数字に対して厚労省がなにを根拠に「所得が上がったことなどが影響した」などと分析しているのか知らないが、我が家に関してはまったく所得は上がらず、相変わらず「大変苦しい」。

 

※参院選を控えてマスコミが「政党支持率」などさまざまな数字を発表するだろうが、「誤差」の概念を持っておくことが重要である。