アカデミー賞主演女優賞受賞の作品。
母からのオススメで見てみました。

ジャックは五歳の誕生日を迎えた。
ママと二人、小さな部屋が彼の世界。
テレビで見るものはすべてニセモノ。ホンモノはママと僕、ベッドやキッチン、シンクやクローゼット。
天窓から見えるのは空だけ。

誕生日を迎えた僕にママは言った。
部屋の外には世界があると。


監禁された部屋しか知らない子供の視点で、
拉致監禁という残酷な状況を見せる。
暗鬱な設定が母子の優しい関係でとても和らげられ、そのぶん状況の残酷さがじわじわと感じられます。
小さな部屋で運動し筋肉を衰えさせないようにする序盤のシーンから、
母であるジョイの強さが見えて、ここですでに涙ぐみそうでした。
息子のジャックを精一杯育て、そうする事で自己を保ち、折れそうな精神を支え。
そして中盤で脱出。初めて外で空を見るジャックの表情は素晴らしいです。

しかしこの映画のすごいのはこの先です。
無事脱出した母子でしたが、ジョイは失われた時間に押しつぶされそうになり、
ジャックは母子だけだった世界が突然広くなることに戸惑い。
でも、そんな母を助けてくれたのは、「プラスチックのように柔軟」な我が子で。

一度折れてしまったジョイのためにジャックがした事、そして出た言葉。
世界に踏み出した瞬間、とも言えます。思い出すだけで「このシーン」は泣けます。

ラストシーンは本当のお別れ。
それは母子だけの世界とのお別れであり、事件からのお別れでした。
ジャックの繰り返す「さよなら」が心にしみてしみて。

最後には声出して泣いてました。

母子の未来に健やかな幸福がありますように。


子役のジェイコブ・トレンブレイ君の演技が神がかってました。
母役のブリー・ラーソンの極限で見せる普通の母性がまた素晴らしい。アカデミー賞受賞にふさわしいものでした。


よかった…。・°・(ノД`)・°・