初・皆川博子先生でした。

 

不思議な感覚のミステリーを含む短編集。

最初に掲載された

ある精神病院で絵画療法を受けた青年をめぐる悲劇

「火焔樹の下で」が面白かった。

書簡やあらゆる人の視点で書かれ、「藪の中」のような雰囲気。

最後の悲劇にはなんとも苦い後味を感じます。

ですが意外な真相が現れるのはわくわくしました。

女の情念が怖い。

 

ほか表題作「鳥少年」

一つの狂気に背筋が寒くなります。

でも納得もいかない。

自らを暴行した少年の一人に対し

ヘタに受け入れて、見捨てたと主人公はいいましたが

そんな責任を感じる義理がどこにあると。

 

ほかに怖かったのは「魔鏡」「密室遊戯」でした。

全16編。ショートショートに近い長さですね。

 

それぞれに個性的な狂気や毒があり、

長編に挑戦したくなりました。