鳥少年 (創元推理文庫) 950円 Amazon |
初・皆川博子先生でした。
不思議な感覚のミステリーを含む短編集。
最初に掲載された
ある精神病院で絵画療法を受けた青年をめぐる悲劇
「火焔樹の下で」が面白かった。
書簡やあらゆる人の視点で書かれ、「藪の中」のような雰囲気。
最後の悲劇にはなんとも苦い後味を感じます。
ですが意外な真相が現れるのはわくわくしました。
女の情念が怖い。
ほか表題作「鳥少年」
一つの狂気に背筋が寒くなります。
でも納得もいかない。
自らを暴行した少年の一人に対し
ヘタに受け入れて、見捨てたと主人公はいいましたが
そんな責任を感じる義理がどこにあると。
ほかに怖かったのは「魔鏡」「密室遊戯」でした。
全16編。ショートショートに近い長さですね。
それぞれに個性的な狂気や毒があり、
長編に挑戦したくなりました。