六の宮の姫君 (創元推理文庫)/東京創元社
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大学の卒業を間近にひかえた「私」は、バイト先の出版社のつながりから、
文壇の大御所と出会う機会を得る。
卒論で芥川龍之介をテーマにしていた「私」は
その席で先生が芥川龍之介に実際に出会った時のことを聞く。
「六の宮の姫君、あれは玉突きだよ。いや、キャッチボールかな…。」
その言葉の芥川の真意を「私」は突き止めに行く。

「円紫さんと私」シリーズ第4巻。
今回は明治大正の文学者たちの心の謎にせまりました。
こんな本の読み方を私はしたことがありません。
恥ずかしくなるけど、透き通るような純粋な文章表現への想いに
感動せずにはいられませんでした。

芥川龍之介とある作家の当時の関係や、文壇での立場、人生、
ぜんぶ含めてとてもささやかで、でも確かに存在した喧嘩のようなやりとり。
その裏で、ずっと存在していたのはきっと最後の書簡。

小説の形をとった論文のようでもあり。
でも確かに小説の温かみがありました。

シリーズ1作ごとに雰囲気は変わらず、テーマを大幅に変えてきます。
北村先生すごいわ。

【円紫さんと私シリーズ 過去感想】
 秋の花 




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