- キチガイ地獄/作者不明
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不穏なタイトルの不穏な小説、今回も青空文庫より。
ある精神病院の一室と思われる場所。
一人の男が院長に退院を申し出ていた。
記憶が戻ったのだ、私は正常なのだ…。
彼の口から、不可思議な過去が語られ始める。
ある日川から流れてきた男は記憶を失っていた。しかしとある記者の計らいで大財閥に身を置くことに。
その財閥の令嬢に見初められた彼は、自分も知らぬ稀有な能力を発揮し、
傾いていた財政を復活、そして子どもにも恵まれる。
だが子どもが生まれてまもなく妻が自殺。
恐るべき秘密が遺書にしたためられており…。
数十ページほどの短編ながら、謎と恐怖、どんでん返しにとと楽しめました!!
今や禁止用語なタイトルですが、気狂い(きぐるい)の一人称のこの小説、
タイトルにぴったり。まさにキチガイの地獄です。
語っている内容がどこまで真実なのか。
いや、最後に本人が「気づいたこと」すら真実なのか…。
出してくれェェエエェーーーー!!というラストの叫びは
本当は、誰の、叫び だったのか。
疑い始めると真の恐怖がここに。
でも彼が聞いたとおりに「幸せになっている」と信じたいです…。
頭の吹っ飛ぶ小説です。流石夢野先生。
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