みんないってしまう (角川文庫)/角川書店
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喪失がテーマの掌篇集。
12作の人生が、どこかで落としたもの、なくしたもの、いってしまったものに
気づいたり、思いをはせたりして

ある人は懐かしみ、ある人は悲しみ、ある人は受け入れます。
どこか物悲しいストーリーばかりですが、
その喪失に対してたとえようのない悲しみ、とかそういったものはなく、

水滴が落ちた水面のような一瞬の波紋を思い浮かべます。

それでも今このときは流れているのですから。
そして新しいなにかに出会い続けているのですから。

普段あまり読まないタイプの作品ですが、満足できたと思います。

表題作の「みんないってしまう」が好きです。
最後の一文がとても美しいです。

「ひとつ失くすと、ひとつ貰える。そうやってまた毎日は回っていく。
 幸福も絶望も失っていき、やがて失くしたことすら忘れていく。
 ただ流されていく。思いもよらない美しい岸辺まで。」

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