暗鬼 (文春文庫)/乃南 アサ
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初・乃南先生でした。


一目ぼれした相手と結婚し、嫁ぎ先の大家族と暮らすことになった法子。

家族は法子を歓待し、何の不満もない生活が始まる。

しかし、隣家の心中事件をきっかけにして、法子は家族の中の闇に気付き始める。


普通なはずの環境が徐々に気持ち悪くなり、最高に背筋を寒くして幕を下ろします。

家族は宗教である、という主題が貫かれていて、

本来の非日常が日常となっている状態を見せて読者を驚かせてくれます。


そして主人公・法子の感覚が徐々に「常識」からはずれ

非日常の中に蟻地獄のように引きずり込まれていく姿。

法子の視点は最初読者と同じなのですが、読んでいると絶妙なところで法子が日常=読者と遊離します。


その瞬間が怖い!

洗脳の気持ち悪さに包みこまれます。


この感覚が癖になったら、それは乃南先生に洗脳されたからかも?