ブリガドーン現象学 | 山本清風のリハビログ

 首許にひやりとした感触が置かれた次の瞬間、ぶつり。世界は消えた。
 非、世界と呼ぶべきものに筆を尽くせば、白。或いは黒の、その両方といっていい。それが矛盾であることは百も承知で、尚も続けるならば過去であり未来なのであり自分であり他人なのである。意識は無意識で色即是空しかしながら空即是色であるとは言うまでもなく、空の色でありながら色の空であるという状態、それが私、という事物のとある一断面を切り出してみれば規定できそうな私の、唐突に置かれた状態なのであった。
 とまれ過去即ち未来、未来即ち過去なのだから円環に於いてこれは以前から置かれていた状態であり、断面と同様、縮尺の問題でしかない。私、と仮に定められた何かが信濃町で鳩を追いかけている状態、それから大量に遺棄されたタイ料理の上で鳩を追いかけている状態、そしてこの状態で鳩を追いかけている状態。これらの差異は背後関係、もっといえば背景程度の違いしか存在せず、私という何かが鳩を追いかけているという最も大切な本質についてはなんら揺らいではいない。
 ただ、その状態を私、と規定された存在、とでも呼ぶべきもの以外の存在、的なめいたそれらしきものを規定してみた時、認識するに至っては、問題っぽいものが表出する。可能性がある。私が女子中学生である場合と精神科医である場合と透明人間である場合。そして、追いかけられている鳩が中年男性である場合とタイ米である場合と概念である場合。更に言えば年齢であるとか生体反応二次元三次元夢、それら機微に於いて表記揺れが生じた際、他者的な存在風の認識然としたものは相似性を逸脱化する。
 名前をつけてあげよう。似たもので代替してあげよう。違うものとの差異から逆算してあげよう。心をあげよう、魂と呼べるようなものを。肉体をあげよう、人間と呼べるような代物を。役割をあげよう、たとえばそう小説の途中ですがこの続きは、明日11/23(水祝)東京流通センターで開催される文学フリマ、配置番号G-13「空想少年はテキストデータの夢を見るか」にて委託販売される製品版『ヌマージュ』にてお楽しみ下さい。平素よりユーザーの皆様にはご迷惑おかけして申し訳ございません。サービス向上に努めて参りますので今後ともブログサービス「LOVELOG」をよろしくお願いいたします。

 

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