理研神戸の網膜治療など8件 文科省が後押し | 再生医療が描く未来 -iPS細胞とES細胞-

理研神戸の網膜治療など8件 文科省が後押し

文部科学省は、損傷した細胞などを修復する「再生医療」の実用化を加速させる事業に、早期の臨床研究を目指す8件の研究を採択した。このうち目の病気、加齢黄斑変性の治療で、人工多能性幹細胞(iPS細胞)から作った網膜色素上皮細胞の移植を目指すのは、理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(神戸市中央区)の高橋政代チームリーダーらによる研究。さらに、これらの研究を支援し、進み具合を管理する代表機関として、先端医療振興財団(同)が選ばれた。
再生医療は、病気や事故で失われた臓器や身体の機能を、細胞や生体組織の移植によって再生する医療。
事業名は「再生医療の実現化ハイウェイ」。文科省だけでなく、厚生労働省も連携し、研究を長期支援する。6~7月に研究を公募し、9月に43件から8件を選んだ。2011年度の1件当たりの支援額は原則3億円以内で、最長10~15年間程度の研究期間を想定しているが、状況によって計画の見直しや中止もあり得るという。
8件のうち、3年目までに臨床研究の開始を目指すものとして、さまざまな細胞になる能力があるiPS細胞の利用では唯一、高橋チームリーダーらの研究を採択。12年度に厚労省に臨床研究を申請、13年度に実施することを計画しており、iPS細胞の使用では世界初の臨床研究となる可能性がある。
このほか、滑膜幹細胞による膝半月板再生(代表機関=東京医科歯科大)など、体内に存在し、ある程度役割が絞られている「体性幹細胞」を使った3件も、3年目までに臨床研究の開始を目指す研究とされた。
また、7年目までに臨床研究の開始を目指すものとして、iPS細胞を使った角膜再生(同=大阪大)など4件が選ばれた。
これらを支援する代表研究者で、先端医療振興財団再生医療研究開発部門の松山晃文・部門長補佐によると、各研究機関の情報を共有しながら、実用化のための時間や費用の削減を目指す。来年3月には関係者らを東京に集め、一般向けに進み具合や臨床研究の目標年次などを発表する予定。松山部門長補佐は「再生医療の実用化への動きを国民に分かりやすく示しながら、スピードを速めたい」と話す。
(神戸新聞)
http://www.kobe-np.co.jp/news/iryou/0004674014.shtml



順調に進むことを願っています。