新・多能性幹細胞:東北大チームが発見 「ミューズ」と命名 | 再生医療が描く未来 -iPS細胞とES細胞-

新・多能性幹細胞:東北大チームが発見 「ミューズ」と命名

大人の皮膚や骨髄の中に、さまざまな細胞になる能力を持つ多能性幹細胞があることを、出沢真理・東北大教授らの研究チームが発見した。分離・培養も成功した。胚(はい)性幹細胞(ES細胞)や人工多能性幹細胞(iPS細胞)に続く多能性幹細胞の可能性があるとして、「Muse(ミューズ)細胞」と命名した。既知の2種類に比べ増殖率は劣るが、がん化の恐れは低く、医療への応用が期待されるという。

成果は、19日付の米科学アカデミー紀要に発表した。

研究チームは、ヒトの骨髄や皮膚に含まれる細胞中にごくまれに現れるES細胞に似た細胞に着目。濃縮・培養すると、神経や筋肉、肝臓などの細胞に分化した。

また、無限に増えるES細胞やiPS細胞と違い、2週間ほどで増殖が止まった。さらに、マウスの損傷した皮膚や筋肉、肝臓に投与すると、それぞれの組織の細胞になった。精巣に移植すると、ES細胞では8週間後に腫瘍(しゅよう)ができたが、Muse細胞は半年たっても腫瘍化しなかった。
(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/science/news/20100420ddm002040082000c.html


新・多能性幹細胞:東北大チームが発見 安藤潔・東海大再生医学センター長の話
02年に米ミネソタ大チームが多能性幹細胞をマウスの成体で発見したが、iPS細胞に比べて複雑な方法でどの研究室でも再現できる技術ではなかった。この成果は、比較的簡便な点が新しい。再現可能な技術ならば、再生医療への応用も可能になるだろう。
(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/science/news/20100420ddm002040089000c.html


皮膚や骨髄に「万能細胞」…課題は増やし方
ヒトの皮膚や骨髄に、iPS細胞(新型万能細胞)のように色々な種類の細胞に変化できる能力を持つ細胞が微量に含まれていることを、東北大学の出澤真理教授らが突き止めた。

大量に増やすのは難しいが、この細胞はiPS細胞と異なりがん化しにくく、安全な再生医療に役立つ可能性があるという。20日の米科学アカデミー紀要に発表する。

出澤教授らは、誤って細胞を溶かす酵素を加えても生き残ったヒトの皮膚細胞の中に、iPS細胞とよく似た細胞を発見した。この細胞を拒絶反応の出にくいマウスに移植すると、皮膚や筋肉、肝臓など様々な細胞に変化した。細胞表面には、iPS細胞と同じ目印物質(糖鎖)が付着。これを目印にすると、骨髄の細胞(単核球)約5000個に1個の割合で含まれていることがわかった。ただ培養しても約2週間で増殖は止まってしまう。

(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20100420-OYT1T00010.htm


骨髄や皮膚から多能性幹細胞 再生医療に新たな可能性
体のさまざまな組織の細胞になる能力のある幹細胞を、ヒトの骨髄や皮膚から直接取り出す方法を東北大の出沢真理教授らのチームが京都大と共同で見つけた。幹細胞の表面の分子で識別できるという。再生医療につながる可能性がある。

骨髄の幹細胞には、さまざまな組織の細胞になる能力があることが知られていた。出沢教授らは、ヒトの骨髄と皮膚からとった細胞を、ばらばらにする薬品につけた後、培養液に浮かべた。塊になって増えてくる細胞があり、それをMuse細胞と名付けた。

これをマウスに移植すると、神経、皮膚や筋、肝臓などさまざまな組織の細胞になることが確認できた。Muse細胞には、糖などでできた特定の分子が表面にあり、それを手がかりに骨髄から直接とることもできたという。

「万能細胞」と呼ばれるES(胚(はい)性幹)細胞やiPS(人工多能性幹)細胞は、体のあらゆる組織の細胞になるが、それらと比較して今回の細胞の能力がどれほどかは、今後、調べる。この細胞の体内での働きや、これまで見つかっている骨髄の幹細胞との関係も不明だ。

Muse細胞はiPS細胞のような遺伝子を組み込む操作が必要ないので、がん化の心配が少ない。「将来の幹細胞治療につなげたい」と出沢教授は話している。今週、米科学アカデミー紀要電子版に発表する。
(朝日新聞)
http://www.asahi.com/health/news/OSK201004200001.html


皮膚、骨髄に多能性幹細胞 「安全性高い」東北大
人間の皮膚や骨髄の中に、さまざまな細胞に分化する能力を持つ「多能性幹細胞」が存在するとの研究結果を東北大の出沢真理教授らと京都大のチームが20日付米科学アカデミー紀要(電子版)に発表。「Muse細胞」と名付けた。

増殖力は高くないが、出沢教授は「そもそも生体内にある細胞で、遺伝子導入など特別な操作を必要とせず、腫瘍化の危険性は低い」と安全面の利点を強調。胚性幹細胞(ES細胞)や人工多能性幹細胞(iPS細胞)に取って代わるものではないが、再生医療に利用できるとの見方を示した。

出沢教授らは、体の中に多能性幹細胞が存在し、ストレスを受けると活性化すると想定。人間の皮膚の線維芽細胞や骨髄の間葉系細胞を酵素で処理しストレスをかけると、ES細胞に似た細胞の塊ができ、これをMuse細胞とした。一定の大きさまでは成長するが増殖は止まった。

別の方法で培養すると神経(外胚葉系)、筋肉(中胚葉系)、肝臓(内胚葉系)というそれぞれ別系統の細胞に分化。多能性を確認したとしている。

(47NEWS)
http://www.47news.jp/CN/201004/CN2010041901000770.html


新たなヒト幹細胞開発=神経、筋肉、肝臓に変化-東北大と京大
ヒトの皮膚や骨髄から、神経や筋肉、肝臓などの多様な細胞に変わる幹(かん)細胞を効率的に抽出し、増殖させる技術を開発したと、東北大の出沢真理教授や京都大の藤吉好則教授らが19日発表した。「Muse(ミューズ)細胞」と名付けられたこの幹細胞は、マウスへの移植実験では損傷を受けた部分を修復する働きがあり、腫瘍(しゅよう)はできなかったという。論文は米科学アカデミー紀要電子版に掲載される。
山中伸弥京大教授らが皮膚などの細胞に数種類の遺伝子を導入する方法で開発した新型万能細胞「人工多能性幹(iPS)細胞」は、移植後に腫瘍ができる危険性がある。ミューズ細胞の技術が確立され、安全性が十分確認されれば、再生医療を実現する上で、iPS細胞と並ぶ有力手段になると期待される。
ヒトの骨髄に、骨や筋肉などに変わる「間葉系幹細胞」があることは以前から知られ、国内外で再生医療応用に向けた研究が進められている。しかし、増殖させたり、目的の細胞に変えたりすることが容易ではなかった。
出沢教授らは、皮膚や骨髄の細胞にたんぱく質分解酵素を加えて数日間置くと、生き残る細胞があることを発見した。この細胞を培養液に浮かべた状態で培養すると、細胞の固まりを形成。次にゼラチン上で培養すると、神経や筋肉、肝臓など、iPS細胞並みに多様な細胞に変わった。これらの操作を繰り返し、増殖させることもできたという。
(時事ドットコム)
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2010042000049


がん化低い『多能性幹細胞』 Muse細胞
人間の皮膚や骨髄の組織の中に、さまざまな組織に分化する新しい「多能性幹細胞」を見つけたと、東北大の出沢真理教授らの研究チームが発表した。成果は二十日の米科学アカデミー紀要に掲載される。がん化の危険性も低いと考えられ、再生医療などへの応用が期待される。

新たな細胞は、骨髄や皮膚の「間葉系」と呼ばれる組織の中にわずかに含まれ、Muse(ミューズ)細胞と名付けられた。この細胞を培養液の上などで培養すると神経(外胚葉(はいよう)系)、筋肉(中胚葉系)、肝臓(内胚葉系)などの異なる系統の組織細胞に変化した。

人体を形作る三つの系統の細胞に変化するほか、胚性幹細胞(ES細胞)や人工多能性幹細胞(iPS細胞)など、体のすべての組織の細胞になれる多能性幹細胞の特徴とされるタンパク質を持つことが分かった。

この類似から、ミューズ細胞も体のあらゆる細胞に変化する「多能性」を持つ可能性があるという。ただ、ES細胞やiPS細胞のように無限に増える性質は持たない。

マウスにミューズ細胞を移植した実験では腫瘍(しゅよう)ができず、多能性幹細胞で問題となるがん化の面では安全性が高いという。

出沢教授は「ES細胞やiPS細胞と似るが違う側面も多い。安全性が非常に高い可能性があり、利用できる再生医療の分野があるのではないか」と話す。

(東京新聞)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2010042002000058.html


皮膚・骨髄に新万能細胞 再生医療へ活用期待 東北大
人の皮膚や骨髄などの中に、さまざまな組織や臓器に成長する能力を持つ新たな「多能性幹細胞」があることを、東北大大学院医学系研究科の出沢真理教授(再生医学・幹細胞生物学)らの研究グループが19日、明らかにした。もともと体内にある上、遺伝子操作などの必要がなく、自らの細胞を使った新たな再生医療の実現が期待されるという。成果は19日付の米科学アカデミー紀要に発表された。

多能性幹細胞は一般に万能細胞とも呼ばれる。これまで胚(はい)性幹細胞(ES細胞)、新型万能細胞(iPS細胞)が知られている。研究グループが発見した細胞は第3の多能性幹細胞で「Muse(ミューズ)細胞」と名付けられた。
研究グループは、皮膚由来のヒト線維芽細胞や骨髄由来の骨髄間葉系細胞に長時間、低酸素や栄養がないなどのストレス条件を与えて細胞を濃縮。これを浮遊培養したところ、人のES細胞とよく似た細胞の塊が形成された。
最初はES細胞やiPS細胞と同じように時間に比例して増殖するが、10~14日ほどで成長は停止。無限に増えることはない。大きさは50~150マイクロメートル(1マイクロメートルは1000分の1ミリ)ほどになる。特別な処理を加えると、5代先まで自己複製できることも確かめた。
さらにゼラチンで培養すると、神経や平滑筋、肝臓などへ分化できることも確認。免疫不全のマウスの精巣に細胞を移植したところ、ES細胞の場合は8週で何倍にも肥大したのに対し、Muse細胞は半年たってもほとんど大きさは変わらない上、神経や肝臓などの細胞に分化していた。
ES細胞やiPS細胞の作製には遺伝子操作などの人工的な操作が必要で、過剰に増えて腫瘍(しゅよう)化するなどの課題があった。Muse細胞にはこれらの問題はないという。
すべての細胞に分化するかどうかは、これからの研究になる。出沢教授は「ES細胞やiPS細胞に取って代わるものではないが、生体内にあるという性質を利用すれば今後、自己細胞治療などさまざまな利用方法が出てくるだろう」と話している。
出沢教授は京都大大学院医学研究科准教授などを経て、2008年から現職。

<あり得る研究結果/幹細胞に詳しい須田年生慶応大教授の話>
体の中には多方向に分化する細胞があるという報告は過去にもあり、今回の研究結果もあり得ることだと思う。ほかの研究者も再現することができて広く普及すれば、(新型万能細胞の)iPS細胞に近づくかもしれない。しかし過去の研究でも、作製効率が低く培養が難しいなどの課題があり、進展しなかった。あまりにも培養技術が難しければ普及しない危惧(きぐ)がある。

[幹細胞]多種類の細胞になる能力を持つ細胞で、傷ついた臓器や組織を治療する再生医療に役立つと期待されている。受精卵から作る胚(はい)性幹細胞(ES細胞)と、山中伸弥京都大教授が開発、皮膚の細胞に遺伝子を導入するなどして作る人工多能性幹細胞(iPS細胞)は、さまざまな細胞になる能力が特に高く「万能細胞」とも言われるが、受精卵を壊す倫理問題や、がん化の恐れなどの課題がある。間葉系幹細胞や造血幹細胞など大人の体にもある体性幹細胞は、万能細胞のような課題は少ないが、できる細胞の種類や増殖力に限界があるとみられている。
(河北新報)
http://www.kahoku.co.jp/news/2010/04/20100420t15016.htm


東北・京大チーム、新たな多能性幹細胞「Muse」を発見-再生医療への利用期待
東北大の出沢真理教授らと京都大の藤吉好則教授らは19日、人間の皮膚や骨髄から神経や筋肉、肝臓などさまざまな細胞に分化する能力を持つ「多能性幹細胞」を発見し、「Muse(ミューズ)細胞」と名付けたと発表した。同日付けの米科学アカデミー紀要に発表した。

Muse細胞は既存の多能性幹細胞の胚(はい)性幹細胞(ES細胞)や人工多能性幹細胞(iPS細胞)に比べ増殖率は低いが、腫瘍化の危険性は低く、再生医療に利用できる可能性があるという。

出澤教授らは、細胞を溶かすたんぱく質分解酵素を加えても生き残ったヒトの皮膚細胞の中に、iPS細胞と似た細胞を発見した。この細胞をゼラチン上で培養すると、神経や筋肉、肝臓など多様な細胞に分化した。この細胞をマウスの損傷した皮膚や筋肉、肝臓に投与すると、それぞれの組織の細胞に分化した。精巣に移植すると、ES細胞を移植した場合は8週間後に腫瘍ができたが、Muse細胞の場合は半年たっても腫瘍化しなかった。ただ、無限に増えるES細胞と異なり、2週間で培養がとまった。
(IBTimes)
http://jp.ibtimes.com/article/biznews/100420/54123.html


皮膚組織に未知の細胞を発見
ヒトの体の表面を覆う皮膚の中に、神経や筋肉などさまざまな組織に変化する力を持った未知の細胞が存在するという研究報告を、東北大学などのグループが発表しました。病気などで失われた体の一部を作り出す「再生医療」の実現に近づく成果として注目されています。

この研究を行ったのは、東北大学の出澤真理教授と京都大学のグループです。研究グループでは、ヒトの皮膚の細胞に特殊な酵素をかけると、ほとんどの細胞が死ぬにもかかわらず、一部に成長を続ける細胞があることに注目し、詳しく調べました。その結果、この細胞は、あらゆる組織や臓器になるとされるiPS細胞と同じ遺伝子を複数持っていたほか、マウスに移植すると神経や筋肉、それに肝臓の細胞など、体のさまざまな細胞に変化することがわかったということです。この細胞は、ヒトの皮膚のほか骨髄からも見つかり、研究グループでは、さまざまな組織や細胞になるという意味から「Muse(みゅーず)細胞」と名付けました。事故や病気で失われた体の一部を人工的に作り出す再生医療の研究では、京都大学の山中伸弥教授のグループが開発したiPS細胞が中心となっていますが、特殊な遺伝子を組み込むなどの操作が必要なうえ、細胞ががん化しやすいことが実用化の大きな課題となっています。「Muse細胞」は、iPS細胞より増殖する力は弱いものの、マウスに移植してもがん化することはなかったということで、研究グループでは、もともとヒトの体の中にあるもので、安全性も高いと期待されるとしています。東北大学の出澤教授は「この細胞がどれくらいの能力を持っているのか、ほんとうに安全なのかなど、まだ研究が必要な部分は多いが、がんになりにくいというのは大きい。安全性という点では再生医療の実現に近づけたと思う」と話しています。今回の発見について、再生医療に詳しい慶応大学医学部の岡野栄之教授は「Muse細胞が体のさまざまな組織になる力はどのくらい強いものなのか、検証が必要だが、再生医療の実現に向けた大きな成果だ」と話しています。岡野教授のチームは、iPS細胞から神経を作り出す技術を開発し、せき髄損傷で動けなくなったマウスを再び歩けるようにすることに成功していますが、iPS細胞の実用化には、がん化をどう防ぐのか課題も多いといいます。岡野教授は「さまざまな組織に変化する細胞が骨髄に含まれている可能性は以前から指摘されていたが、今回、骨髄で確認しただけではなく、皮膚からも見つかったのは非常に興味深い成果だ」と話しています。そしてMuse細胞が体のさまざまな細胞や組織に変化する力はどのくらい強いのか、今後さらに検証が必要だとしながらも「iPS細胞のように遺伝子を組み込む必要がなく、がんになりにくいということで、安全性の面では有利だ。体の中にあるので、体内でそのまま変化させる方法がわかれば、人体再生の技術にもつながるかもしれない」と今後の可能性を指摘しました。その一方で課題については、iPS細胞と比べて増殖力が弱いので、必要な細胞が大量に作れるかどうかが鍵になると話しています。

(NHKニュース)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20100420/t10013948231000.html


新たなヒト幹細胞を開発
ヒトの皮膚などから神経や筋肉、肝臓などの多様な細胞に変わる幹細胞を取り出して繁殖させる技術を開発したと、東北大学の出沢真理教授らの研究チームが発表しました。『ミューズ細胞』と名づけられたこの幹細胞は、京都大学の山中伸弥教授らが開発した新型万能細胞のiPS細胞と違い、移植後に腫瘍ができる危険性が低く、安全性が確立されれば再生医療の有力な手段になると期待されます。
(テレビ東京)
http://www.tv-tokyo.co.jp/nms/tokyo_news/post_1548.html





再生医療の一つの選択肢となるかもしれませんね。


ただ、さもESやiPSと同等であるような書き方をしている新聞があるのには??です。

多能性とは言っても、pluripotentではなくmultipotentです。

あまり多能性幹細胞とか万能細胞という言葉を安易に使うべきではないと思います。

マウスで同じ細胞が採れて、キメラ形成能を確認してからでしょう。

まぁ再生医療には関係ありませんが。


このような報告は以前から多々あるものの、“再現性”や“増殖効率”に問題があり、なかなか広まりませんでした。

この細胞はどうなのでしょうか。。