iPS細胞:肝がん細胞から作成…ハーバード大チーム成功 | 再生医療が描く未来 -iPS細胞とES細胞-

iPS細胞:肝がん細胞から作成…ハーバード大チーム成功

人工多能性幹細胞(iPS細胞)を、肝臓がんの細胞から作ることに森口尚史・米ハーバード大研究員らが世界で初めて成功した。できたiPS細胞から正常な肝臓の細胞も初めて作成した。iPS細胞はさまざまな細胞になるが、その過程でがん化するのが課題になっている。研究チームは得られた細胞の分析から、がん化を防ぐ遺伝子の働きを解明したといい、再生医療の実現に向けた一歩になると注目される。

8日からスペインで始まった国際幹細胞学会で発表する。

チームは肝がん細胞を作る「肝がん幹細胞」を正常な肝臓細胞に戻す方法を模索。市販のヒト肝がん幹細胞に抗がん剤など2種類の化学物質を加えると、2日で見た目や機能が正常の肝臓細胞になった。

またこの肝臓細胞に山中伸弥・京都大教授が発見した4遺伝子のうちの二つと別の2種類の化学物質を加えるとiPS細胞に変化。正常な肝臓細胞に戻すことにも成功した。

そこで、正常な肝臓細胞に分化したiPS細胞を調べたところ、がん抑制遺伝子「p21」の働きが、別のがん抑制遺伝子「p53」よりわずかに活発になっていることを突き止めた。p21を働かさせず、p53だけにして分化させると、すべて肝がん細胞になった。このため、研究チームは両遺伝子の働きのバランスが、iPS細胞のがん化を左右していると結論付けた。

森口研究員は「この成果を、再生医療だけでなくがんの治療にも役立てたい」と話す。

(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/science/news/20090709k0000m040071000c.html





①化合物を用い、精製したヒト肝がん幹細胞を正常な肝細胞様の細胞に分化誘導した。
②この細胞からヒトiPS細胞を樹立することで、がん幹細胞のリプログラミングに成功した。
③このiPS細胞を分化誘導させ、正常な肝細胞を作製した。
④このiPS細胞におけるp21>p53というバランスがガン化マーカーとして使える。

がポイントとして挙げられます。


④が本当なら凄い発見だと思うのですが、単純な疑問として、このような系を使って得られたガン化マーカーが他の種類のiPS細胞(線維芽細胞由来のiPS細胞など)でも使えるのか?この場合のみに限ったものではないのか?ということが浮かびます。
少なくとも線維芽細胞由来のiPS細胞でも同様の知見が得られることを示しているのかが気になります。