心臓病患者の心筋細胞を再生、移植治療へ 京都府立医大 | 再生医療が描く未来 -iPS細胞とES細胞-

心臓病患者の心筋細胞を再生、移植治療へ 京都府立医大

人の心筋の幹細胞を心筋梗塞(こうそく)のブタの心臓に移植し、機能を回復させることに、京都府立医科大などのチームが成功した。弱った心筋を再生させる効果が期待できるという。この成果をもとに来春にも、国立循環器病センターと、重い心臓病患者を対象に臨床研究を始める。心臓移植に代わる治療の選択肢になる可能性があるという。

心筋の中にある幹細胞は、心筋や脂肪、骨などに変化する能力をもつ。チームは、心臓手術の際に採取した心筋から幹細胞を取り出して増殖させた。この幹細胞を、心筋梗塞のブタ約100匹の心臓に注射した。この際、特殊なゼラチン状のシートを張り、移植した幹細胞が患部に長くとどまるように工夫した。

この結果、移植4カ月後、細胞の約4割が患部にとどまり、心臓の働きが約3割改善したという。不整脈なども起きなかった。この成果は12月2日発行の米国心臓病学会誌に掲載される。

チームは来春にも、重い心臓病の患者に冠動脈バイパス手術を行う際、患者自身の幹細胞を培養し、この治療を行う。2年間で6人に行う計画で、それぞれの倫理委員会の承認を得ており、厚生労働省の審査委員会にも申請する。

京都府立医科大の松原弘明教授は「心筋になる幹細胞を特殊なシートと一緒に移植することで、細胞の生存率が飛躍的に向上した。安全性をさらに確認し治療法として確立したい」と話す。
(朝日新聞)
http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200811280065.html


自分の細胞で心筋再生 京都医大が臨床研究へ
京都府立医大は28日、重い心不全を起こした患者自らの幹細胞を使い、心筋を再生させて機能回復を図る臨床試験を、来年春に実施すると発表した。

循環器内科の松原弘明教授が、ブタを使った治療実験で有効性と安全性を確認。既に学内の倫理審査委員会が人での計画を承認した。厚生労働省の審査委員会に12月に申請する。

松原教授によると、患者の心臓組織の一部から高い分化能力を持つ幹細胞を採取。体外で培養して増やし、心筋が弱った場所の周辺に注射する。増殖を促す薬剤を含んだゼラチン膜も張り、心筋への分化を促す。

人為的に心筋梗塞を引き起こしたブタの実験では、注射した幹細胞の40%が患部に残り、治療前に比べ心機能が12%回復したという。

松原教授は「重い心不全患者は国内に約20万人いる。心臓移植が必要な患者さんを1人でも多く救いたい」と話した。
(47NEWS)
http://www.47news.jp/CN/200811/CN2008112801000832.html


世界初の心筋再生医療
京都府立医大 国に計画申請へ

京都府立医科大の医学倫理審査委員会は28日までに、重い心不全の患者自身の心臓の細胞を用いた世界初の心筋再生医療計画を承認した。来年春に府立医大病院で実施を目指し、近く厚生労働省の審査委員会に計画実施を申請する。

計画を進めているのは、松原弘明教授(循環器内科)ら。

心筋梗塞(こうそく)など重度の心不全の患者が対象で、患者から検査のために採取した心臓組織を用いる。組織から松原教授が開発した技術を用いて多様な増殖能力がある幹細胞を選んで採取、500万個程度まで幹細胞を増やして、機能不全となった心筋組織に移植(注射)して機能回復を図る。

人為的に心筋梗塞を起こしたブタの実験で、心臓(左心室)の動きが約12%改善した。骨髄細胞などの移植では2-3%程度にとどまっており、「格段の改善率」(松原教授)という。

国立循環器病センターでも同様の計画が承認されており、厚労省に申請する予定。

松原教授は「冠動脈のバイパス手術とあわせて再生医療を実施することで、機能回復の飛躍的な向上が期待できる。重度の心不全の患者は国内に約20万人おり、多くの人に新しい治療を届けたい」と話している。
(京都新聞)
http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2008112800106&genre=G1&area=K00





以前紹介した

幹細胞を移植し心筋再生 京大、ブタの実験に成功

の臨床応用のニュースですね。