山中ファクターはマウスES細胞において発生関連シグナリングネットワークの制御に重要である

こんな論文が中国科学院のJiuhong Kangらのグループにより発表されました。

Cell Res. 2008 Nov 25.
Yamanaka factors critically regulate the developmental signaling network in mouse embryonic stem cells.
Liu X, Huang J, Chen T, Wang Y, Xin S, Li J, Pei G, Kang J.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19030024?ordinalpos=2&itool=EntrezSystem2.PEntrez.Pubmed.Pubmed_ResultsPanel.Pubmed_DefaultReportPanel.Pubmed_RVDocSum

山中先生らのグループが発見した、Oct3/4, Sox2, Klf4, c-Mycの４リプログラミング因子は、「山中ファクター」と広く呼ばれていますが、論文の題名に使われているのは初めて見ました。

内容はというと、まだちゃんと読んでいませんが、山中ファクターのES細胞における機能を調べた論文で、ChIP on chipで４因子の標的遺伝子を調べています。

多分、世界中でiPS細胞樹立中における山中ファクターの機能や標的遺伝子が研究されていると思いますが、その前にESではどういう風に関連してんねんということは誰しもが考えることでしょう。

誰かが絶対やらなあかん仕事ですね。

以前、ハーバード大学のStuart H. Orkinらのグループにより、ES細胞において山中ファクターを含む複数因子（Oct4, Sox2, Klf4, c-Myc, Nanog, Dax1, Rex1, Zpf281, Nac1）を発現させ、ChIP on chipしたデータ

Cell. 2008 Mar 21;132(6):1049-61.
An extended transcriptional network for pluripotency of embryonic stem cells.
Kim J, Chu J, Shen X, Wang J, Orkin SH.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18358816?ordinalpos=14&itool=EntrezSystem2.PEntrez.Pubmed.Pubmed_ResultsPanel.Pubmed_DefaultReportPanel.Pubmed_RVDocSum

や、シンガポールゲノム研究所のChia-Lin Wei、Huck-Hui Ngらのグループによる、ESにおけるNnanog, Oct4, STAT3, Smad1, Sox2, Zfx, c-Myc, Klf4, Esrrb, Tcfp2l1, E2f1, CTCF, p300, Suz12のChIP-Seqデータ

Cell. 2008 Jun 13;133(6):1106-17.
Integration of external signaling pathways with the core transcriptional network in embryonic stem cells.
Chen X, Xu H, Yuan P, Fang F, Huss M, Vega VB, Wong E, Orlov YL, Zhang W, Jiang J, Loh YH, Yeo HC, Yeo ZX, Narang V, Govindarajan KR, Leong B, Shahab A, Ruan Y, Bourque G, Sung WK, Clarke ND, Wei CL, Ng HH.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18555785?ordinalpos=1&itool=EntrezSystem2.PEntrez.Pubmed.Pubmed_ResultsPanel.Pubmed_DefaultReportPanel.Pubmed_RVDocSum

が発表されています。

これらと比較して、どのように違う結果が出たのかが気になるところです。

分かりきったことだけじゃなく、何かおもしろいことが書いてあれば詳細アップします。

ただ、こういった仕事は、データが山のように出てしまって混乱しやすく、考察する人の頭がよっぽど切れないとなかなかおもしろいことは導けないものです。。