遺伝子3種類で「インスリン」細胞を作り出す | 再生医療が描く未来 -iPS細胞とES細胞-

遺伝子3種類で「インスリン」細胞を作り出す

膵臓(すいぞう)に3種類の遺伝子を入れるだけで、血糖値を下げるインスリンを分泌するベータ細胞を作り出すことに、米ハーバード大のダグラス・メルトン教授らのグループがマウスの実験で成功した。

11日、当地で始まった国際幹細胞研究学会で発表した。様々な組織の細胞に変化する胚(はい)性幹細胞(ES細胞)や新型万能細胞(iPS細胞)を使わずに簡単につくることができ、ベータ細胞が破壊され、インスリンを作れない1型糖尿病の治療への応用が期待される。

メルトン教授らは、遺伝子操作でベータ細胞を作れないようにしたマウスの膵臓に、ウイルスを運び役にして膵臓に関連した遺伝子を注入。1100種類を試し、受精卵から膵臓ができる過程で働いている3遺伝子がベータ細胞を効率よく作るのに欠かせないことを突き止めた。

この3遺伝子を入れた2割のマウスで、膵臓の95%を占める外分泌細胞の一部が、ベータ細胞と極めて似た細胞に変わった。インスリンが分泌され、血糖値が下がるのも確認された。直接、ベータ細胞の状態に変わったとみられる。

1型糖尿病患者は、インスリンを注射するしか血糖値を調節できないため、ベータ細胞をES細胞やiPS細胞などから作製する研究が世界中で行われている。メルトン教授は、「狙った細胞を体内の狙った場所に作れることが分かった。とてもミラクル。神経や肝臓細胞などにも応用できるのでは」と話している。
(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20080612-OYT8T00497.htm


米大、インスリン製造細胞を他細胞から作製 マウス血糖値低下
米ハーバード大学のダグラス・メルトン教授らはマウスを使った実験で、膵臓(すいぞう)の大部分を占め様々な酵素を出している細胞を、インスリンを製造する「ベータ(β)細胞」に変えることに成功した。マウスの血糖値が下がることも確認した。

特定の組織に分化した細胞を別の種類の細胞に直接生まれ変わらせた画期的成果で、糖尿病治療の研究に役立つ。フィラデルフィアで11日に始まった国際幹細胞研究学会で発表した。

これまで、分化後の細胞を別の細胞に変えるには、成長の時計の針を戻す「初期化」をしたあと、改めて分化させる方法が研究されていた。新型万能細胞「iPS細胞」も皮膚細胞などを初期化したものだ。メルトン教授らの研究はこの作業を経ずに「エクソクリン細胞」と呼ばれる細胞を性質が異なるベータ細胞に変えた。
(日本経済新聞)
http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20080612AT1G1200Q12062008.html




ISSCR(国際幹細胞学会)が現在開かれています。

めちゃくちゃ行きたかったんですが、今回は回避しました。。


こういった遺伝子治療は再生医療の一種と言えますので紹介させていただきました。

それにしても1100種類ってすごいですね。。

執念を感じます。


専門じゃないのでよく分かりませんが、分化転換させたのか、ちょっと未分化な状態に戻して分化させたのか、未分化な前駆細胞を分化させたのか、どれなんでしょう??

これらの記事を見る限りでは分化転換なんですかね?

胚葉を超えた分化転換であればすごいことだと思います。


あと、レトロで入れてるんだったら、変なところに遺伝子が挿入されて細胞がガン化する可能性もあるのかな。

体外で遺伝子打ち込むわけじゃないから選抜できないだろうし。。

※追記※

レトロウイルスではなくアデノウイルスで遺伝子導入しているらしいので問題ないみたいですね。