地震による建築業界の影響と今後 その10
今回でこのシリーズも10回目となりました。
まだまだ建設業界は先を見通せない状況のようです。
その1 では地震直後の動向の予想を書かせていただき、
その2 とその3 とその4 とその5 とその7 ではメーカーの動向を転載させていただきました。
そして業者自体の震災に関わる影響の関連記事を、
その6 とその8 とその9 に抜粋し話をさせていただいてます。
その中で前回 は震災による市場の冷え込みのお話をしました、
今回は工事のキャンセルや工期延期の対策について考えてみたいと思います。
前回に引き続き『リフォーム産業新聞 』の記事を転載させていただきます。
http://www.reform-online.jp/index.php/2010-01-‥
http://www.reform-online.jp/index.php/2010-01-‥
リフォーム市場動向■
**********************************■リフォーム会社に行った緊急アンケート
Q1 契約中の案件のキャンセルを防止するために
どのような説明をするように社員に徹底させていますか?
- 各メーカーの配送状況の書面を持参しての説明(建和・東京都)
- 東日本の震災手当てが優先されるので、工事着手は物がそろうまで待って頂きたい(ケンコーホーム・長崎県)
- 正直な事情説明をし安心できる対策を提案(青木工務店・神奈川県)
- 商品や材料の確実な納期を確認するまでユーザーに待ってもらうよう説明する(住創・島根県)
- 自然災害のためもうしばらくおまちください等の案内(住まいのサポート21・北海道)
- 材料値段が上昇すること、納期(工期)が不明になることを説明(シンセイ建設リファインおおぶ・愛知県)
- 建築会社の仕入力の強弱に関係せずに発生している旨の説明し参考資料を提出(エステートリンク・大阪府)
- 入荷未定商品を変更してもらう。未定とはいわずメドと伝える(マルコシ・広島県)
- 資材は必ず手に入ります、と説明(澤村・滋賀県)
- 納期予定がかなり延びていることを事前に説明(ダイゼン・北海道)
- どこの業者に依頼しても同じだからと説得(カナエル・神奈川県)
- 資材、住機が手当てできれば、今スタートするほうが良い。後日では資材が上昇します(旭・愛知県)
- 「品物は必ず入荷しますので経過をご報告します」と案内(上武・埼玉県)
- 代替品も含め精一杯努めて参りますので、ご理解賜りますようお願い申し上げます(おがわ・兵庫県)
Q2 工事中の案件の工期を延期せざるを得ない場合、
どのような説明を行い了解をえるようにしていますか?
- 材料が入りにくいことについては新聞情報などを活用して説明している(カネタ・福井県)
- 工場、流通に影響が出ているためと伝え、見積書にも記入している(前田組・大阪府)
- 資材の未入荷についてはメーカーからの案内文を利用(オタケ・新潟県)
- 最新の納期見込みや状況などの情報を集めて説明(水谷功・大阪府)
- 代替商品の提案をしてご了解いただく(エル・アップ・東京都)
- あらかじめ書面で通知(青木工務店・大和市)
- メーカー変更か、震災で苦しんでいるメーカーの社員の生活を守るために少し待ってください(オケゲン・愛知県)
- 現状メーカーの出荷状況を報告の上、理解頂く(熊本塗新・熊本県)
- 震災復興方面に資材が流れている現状を説明(澤村・滋賀県)
- 断熱材と設備商品の入荷が悪いので現状報告をして了解してもらう(長崎建設・山口県)
- 納期が未定であることを伝える。ほとんどのお客様からご理解いただいている(アネストワン・愛知県)
- 2~3ヶ月の延期を仕方なく了承してもらう(旭・愛知県)
- 自社の展示品で代替してもらった(マルエイ リビング&リフォーム・岐阜県)
- 事実を細かく説明し、他の選択肢を提案する(ヒライ・愛媛県)
■≪緊急調査≫経営への影響は?
愛知■安江工務店
資材確保に奔走
名古屋市の安江工務店、安江博幸社長は「売り上げの持ち越しはあるが、契約数はあまりかわらない」と話す。同社では震災後、設備、建材を入りやすい地元のメーカー品に変えるなどの対策を進めるほか、合板などをストックし工事できる体制を整えた。また、この機会に内装を入手しにくくなったクロスではなく、自社のオリジナルしっくいの提案に力をいれるといった動きをとっている。
神奈川■フレッシュハウス
受注金額を下げて契約
「工期の問題で今月の売上が1億4000万円ほど落ちましたが、思っていたよりも影響は少なかったです」。佐野士朗社長はより大きな売上の減少を懸念していたが、影響は軽度でおさまったと話す。同社は3月が決算月であり44億8000万円という年間予算を達成するためにも今月の売上目標を6億円強に設定。最終的には5億円近くまで達成できた。資材対策は工期が遅れる案件については可能な範囲の工事だけを先に契約。300万円の受注金額を100万円などに落とし、残りの工事は先延ばしにすることで対応した。また、メーカーを切り替えも一部行い、工期の遅れを防止した。
東京■ホームテック
大型改修減も太陽光が急増
都内に5拠点のショールームを持つホームテックの石原直之取締役は「3月というのは毎年引き合いが良い月ですが、2~3割落ちている。商品の入荷も遅れているため請負額の2~3割は遅延するかもしれない」と話す。特に大型リフォームはほとんどなくなった。ただ一方で、3月の震災前の10日間でゼロ件だった太陽光の問い合わせが地震のあとに6件ほどあった。「補助金もない時期でそれだけ問い合わせがあるということは今後ももしかしたら問い合わせが増えていくのかもしれません」(同氏)。
北海道■土屋ホームトピア
耐震・断熱提案が契約に
被災地の仙台や福島にも支店を持つ土屋ホームトピア(札幌市)は3月の売上は前年度同月とあまり変わらないという。同社では震災前から耐震や断熱リフォームといった住まいの性能を向上する提案を実施していたが、震災後はお客さんから「こんな時期だからこそ安心を得るために工事をしたい」との要望が多く、東京や札幌といった大きな震災被害がなかった地域で受注が増加した。
石川■ 喜多ハウジング
商品入荷遅れも受注は変化なし
商品の入荷遅れなどはあるものの「受注ベースで売上は全く変わりません。キャンセルもないです」と西谷清社長は話す。3月決算の同社は昨年度対比で115%の売上を達成している。昨年から住まいの性能を高める耐震や断熱リフォームに注力していた。
埼玉■OKUTA
チラシ内容を大型から補修工事に
OKUTAは3月の売上は計画停電による業務停止などの影響もあり、計画値から約2割減少した。ただ、被害が少なかった東京や埼玉の案件は予定通り進行しており、想像よりも影響は少なかったという。震災後は「安心点検コール」と称し1万世帯を超える有料OB会員に順次連絡。被害状況をヒアリングした上で、緊急を要する工事が必要な場合順次対応を行っている。また被害状況から判断し、屋根、外壁、外構(ブロック)、耐震といったリフォームメニューを作って提案を開始した。会員以外にも今後は補修工事を提案するため、今月から一部のエリアを除いた営業エリアで折り込みチラシを実施。そこでは通常同社の強みとしていたデザインリフォームから一時内容を変更し、補修関連の工事を主に打ち出した提案を行う方針だ。
福岡■グリーンライフ産業
資材のある外回りに注力
「グランド工房」ブランドでリフォーム、エクステリア、ガーデンを手掛けるグリーンライフ産業は震災後1~2週間はイベントへの来場者数が減少。新規引き合いが1~2割落ちこんだ。対策として水まわりなどに比べて資材の確保がしやすい外回りリフォームに比重をかけはじめた。そのため受注もそれほど落ちていない。
兵庫■コープ住宅
仕入れ担当に決済権与える
生協会員向けのリフォームを手掛けるコープ住宅は3月中のイベント集客が半減。進行していた工事案件については入荷していた材料を使いなんとか工期通りおさめられたが、今月以降は物不足で「注文は取れるが工事は進まない状況になりそう」(田中剛史取締役営業部部長)。急遽、資材担当部門には通常上司の決済が必要である仕組みを変え現場の判断でスピーディに仕入ができるように変えた。
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各業者とも施主さんへの説明をかなり重要視しているようですね。
そして担当者に金額決定権を持たせたり値引きしたりと、
金額による割安感や安心感を優先させてるようです。
さらに売り込み資材を安定入荷するものに変えたり、
震災の影響を加味した商材の売り込みにスイッチし、
当面の受注減に歯止めをかけてるといったところでしょうか?
次回は今手に入る資材や代替えできる商材の話をしようと思います。
(その11 に続く)
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