J1お金と成績の分析 「知恵か?金か?」 | picture of player

J1お金と成績の分析 「知恵か?金か?」

最近、レアル・マドリーの動向がすごい。次々とバカ補強をしている上にまだ獲るそうだ。しかし、一人に120億ってのはすごいね。IMFの試算によると、水戸ちゃん200チーム分だそうな。

しかし、わたくし、ここで疑問を持ったわけで。サッカーはお金をかければ強くなるのか?ということ。確かに、お金をかければ強くなっているような印象があるのだが、いかんせん世界にはマンチェスター・○ティやニューカッスルユナイテ○ドというバカチームも存在するわけだし、必ずしもそうではないような気もする。では、本当のところどうなのか?という疑問を、今回J1で検証してみようという趣旨である。さらに個人的な理由を言えば、急に暇になったのである。

では、早速調査手法のお話。対象は2006年2007年のJ1である。なぜなら、Jリーグできちんと財務状況を公開しているのが、この2年だけだから。2005年から各チーム別に情報は公開されてるのだが、肝心の選手等人件費がN/A(ノーアンサー?)になっていて、非公開になっているところが多い。また、2008年もいまだに出てない。本当はもっと対象を広くしたいんだが、こういった諸事情があるわけで、決してわたくしの怠慢とかそういうわけではない。あくまでJFAの怠慢であり、わたくしに責任の所在はありませぬ。だから、ボーナス減らさないでください。

上記の表のうち、「選手・チームスタッフ人件費」(以下、人件費)だけを今回は見ている。これが具体的に何を含むのか説明はないし、会計に疎い自分ではわからないのだが、ともかくこれをいわゆる「人にかかるお金」と見ても差し支えないだろう。まあ、某千葉ロッテマリーンズのように高給で占い師のばばあを経営に参画させてる可能性もなきにしもあらずだが、そこは置いておく。この人件費がどれだけチーム成績と関係を持っているかを調べていく。具体的に言えば、順位、勝点、得点、失点などとの関係性である。この関係性が高ければ、「お金=成績」という世知辛い事実がわかり、「お金なんてなくても愛があればいいじゃん!だいじょうぶ、先っぽだけだから!」という必殺の口説き文句も実効性を失ってしまうのDA!

で、次に分析の内容。ここでは、主に「相関」という数値を用いている。この相関とは、二つの関数がどれだけ類似しているか、というのを示すものである。一方の値の傾向がもう一方の値と傾向が同じ場合、相関関数は高くなり、逆に関係がない場合には0に近付いていく。また、真逆の場合(一方が低ければ、一方が高くなる)は、負の相関を示すことになる。とまあ、こんなことを書いてもわからないですな(笑)。とにかく、この値が1に近ければ近いほど、二つの値は高い類似傾向を持ち、-1に近ければ近いほど負の類似性を持っている、ということだけ覚えて欲しい(*)。いいかー、ここテスト出るからなー。

長々と前置きをしたが、では、実際に表を見てみよう。どどどーん。

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上が2006年、下が2007年である。順位、勝点、得点、失点、得失点差、そして、人件費(単位は百万円)と、その額の順位を並べている。ぱっと見ると、一番高いのは浦和である。その額、約24億。ただ、これもポルトガルのすちゃらか外人の5分の1ということを考えると、J1の規模が欧州と隔絶したものだということがわかる。また、もう一つの傾向として、上位と下位がそれほど離れていない、ということも言える。2007年の横浜FCなど、手弁当で第二次戦争に参加したような稀なチームもあるが、まあそういう例外チームが数チームだけで、他は拮抗しているだろう。

また、ざっと見ると、2006年、2007年ともに上位に金額の高いチームがきていることがわかる。また、2006年の福岡、2007年の横浜、甲府など、金額が低いチームは下位にいることもわかる。ただ、それも印象であり、順位とお金の関係性を数量的に見行かなければならない。では、先ほど勉強した相関はどうなっているのだろうか?下の表が、その値である。

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順位、勝点、得点、失点、得失点差について、それぞれお金との相関を出している。この中で順位、失点は少なければ少ないほどいいので、負の相関となっている。まず2006年。中々の相関を示している。一般的に、0.5<0.7がかなり強い相関、0.7<が強い相関を示していることになる。そのため、2006年については、お金とチーム成績は「かなり強い相関」を示している、といえる。得点に関してだけ0.5を下回っているが、順位では0.58、得失点差では0.6を超えている。まずまずの数字だろう。次に2007年である。これは前年よりもさらに高い相関を示している。順位において0.7を超えているので、「強い相関」と言って差し支えないだろう。また、この年は失点に関してかなりの相関を示している。お金をかけることが、失点数を減少させるという側面を見せている。

以上の数字から、2006年、2007年ともに、「お金をかければ、ある程度チームは強くなる」という傾向が見出せる。当たり前と言えば当たり前だが、数字を持って実証できたのはよかった。実際に、金額的に上位のチームが下位に沈むことはまれであり、降格チームのほとんどが人件費の少ないチームである。また、お金をある程度かけたチームが降格することは稀であり、人件費はそのための「保険」になるのかもしれない。

ただし、例外はある。次の表を見て欲しい。

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これはお金の順位から実際の順位を引いた数字である。この数字がプラスであればあるほど、かけたお金以上のチーム成績をあげているということになる。2006年、2007年共に、目立つのは清水である。両年とも実際の順位が人件費順位の10ポイント以上であり、非常に効率がいい。フロント、監督が優秀な証拠だろう。この頃の清水は長谷川健太監督の2年目、3年目にあたる。監督の目がねに叶った若手の藤本、青山、兵働、枝村などがレギュラーに定着し始め、若手主体の生きのいいチームだった。当然コストパフォーマンスはいい。清水は「キングオブやり繰り上手」と言えるだろう。でも、やり繰り上手のキングってなんかアイデア主婦みたい。また、2006年の大分も素晴らしいコストパフォーマンスと言えるだろう。まさに、「お金はないけど強くして欲しい!」という夢見がちな少女たちと野太い声のおっさんたちには朗報。

だが、逆の例外もある。これはみなさま期待通りの名古屋が典型例だろう。2006年が-5、2007年が-7、と期待に違わぬ逆噴射っぷり。昨年はピクシーの元で躍進したが、この頃は迷走を極めていたと言える。また、FC東京もこの2年は酷かった。2006年はガーロマジックで全員フリーズ。2007年はワンチョペ兄さんに大金を持っていかれてるのが痛い。エバウドとかもいたなあ、そういえば。笑

総合的に見れば、確かに、お金をかければ強くなれる。それはデータが実証している。たとえば2007年に優勝した鹿島は決して人件費でぶっちぎりのトップというわけではないし、清水のようなマネー以上のクオリティを発揮しているチームもある。一人飛び抜けている浦和も決してすさまじいというわけでもない。イタリアのミラノの2チーム、プレミアのチェルシー、マンチェスターU、リヴァプール、ドイツのバイエルン、スペインの2大馬鹿など、一極集中のチームを考えると、ごくごく常識的な飛び抜け方と言えるだろう。

結論としてはこうである。J1は「お金をかければ強くなるが、創意工夫で上位に食い込むことも可能」なリーグである。それはサッカーを見る側からすれば、非常にエキサイティングな状況である。毎年決まったチームが優勝するわけでもないので、興味を引くことができる。プロスポーツ興行という側面から見ても、それは歓迎すべき状況だろう。そして、これが一番。金だけで勝っちゃったら、つまらないよね。

J1はいまだ健全だ。そう言えるだろう。ただ、ここ2年の傾向である。実際、2007年には相関も上がっている。この後、どうなるのか。願わくば、この健全な状態で推移して欲しいものだが…。では、またデータが出たら、2008年もやってみたいと思う。

最後に、各年の優秀チームとぼんくらチームを晒し上げ。上の表の値が大きいチームが優秀。逆にすげえマイナスなのがぼんくらチームです!

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名古屋・・・。



*統計に詳しいわけではないので、母数が足りてるとか足りてないとか、そういう話はよくわかっていません。見逃してください。