■戦評■J1第12節 川崎-浦和 「チーム・トゥーリオ」 | picture of player

■戦評■J1第12節 川崎-浦和 「チーム・トゥーリオ」

■川崎-浦和
■短評

好調同士の2チームの対戦は、大雨が降っていたということで、割とアバウトな試合になった。

川崎は3-5-2。川崎はGKが川島、3バックが井川、寺田、伊藤。中盤は3ボランチでアンカーに人相悪い新人菊地、その前に谷口、中村Z、右がチンピラ不在で村上、左に山岸。2トップはテセとジュニーニョ。対する浦和は3-4-2-1かな。キーパー都築、3バックが阿部を余らせて堤と堀之内。中盤底にトゥーリオと萌たん、右に山田、左に相馬。1.5列目に高原と梅崎、1トップにはエジエジ。

一般的には、雨の試合はぐだぐだになりやすい。スリッピーなピッチが全体の技術レベルを格段に押し下げ、トラップミス、スリップなどの不確定要素が増大するからだ。なので、致命的なミスを起こしやすいというのを気をつければ、基本的には跳ね返すのがメインになるDFのほうが有利だと思う(DF出身の方は異論があると思うが 笑)。そういう中で攻撃陣が活躍できるのは、技術レベルが高いか、それともフリーランニングからオープンな状況でボールをもらえる能力がある選手。前者はジュニーニョと中村Z。この状況下で特に不自由なくボールを扱っているのは大したもの。川崎は二人のキープからタメを作り出し、オープンに飛び出せる山岸、村上の両サイドへとボールを供給していく。また、菊地の抜擢も今のチームには合っている。ちょっと老け顔の22歳だが、彼がDF前のスペースを埋めることで、谷口、中村Zが自由に飛び出していけて、これを浦和は捕まえ切れない。前半は川崎のペースだった。対する浦和は相変わらずカウンター以外の攻撃がうまくできない。FWにくさびが入らず、全体が押上げできず。高原もエジミウソンもあっと言う間に囲まれてしまい、基点になれない。ロングボールは川崎山脈+菊地、谷口にはたき落とされ、こぼれ球も取ることができない。おかげで両サイドの出番はほとんどなし。萌たんが必死に仕切ろうと頑張っていたが、やはり中村Zと比べると萌え度では勝負にならない。というか、トゥーリオの運動量が少なすぎて、ちょっとかわいそうだ、萌たん。それでも、決定的なチャンスはほとんど川崎に与えず、前半は0-0でなんとか凌ぎ切る。かなり押されてはいたが、阿部のカバーリング能力はやはりすさまじい。

後半も選手交代はなし。なのでそのまま川崎ペース。仕事しろよ、エンゲルス。でもかわいいから許しちゃう。川崎が主導権を握る時間帯がだらだらと17分まで続き、あれ、これはいつもの…と思い始めたところで、トゥーリオが川崎DFラインの前でオシャレヒール。そこで抜け出した高原を井川が倒して、非常に微妙な位置ながらPKゲット。それをこれまで寝てたエジエジが決めて、得点の「ト」の時さえなかった浦和がまさかの先制。これがあるからサッカーは面白い。これで川崎は目が覚めたように攻めの圧力を強める。20分には右サイドから中村Zが飛び出した山岸にピンポイントのサイドチェンジ、山岸はダイレクトで中央に落とし、それを谷口がシュート。防がれたボールを最後に村上が押し込んだが、これは惜しくもオフサイド。得点にはならなかったが、中村のパスに両サイドと谷口が飛び出すという川崎としては理想的な形だった。その攻勢の中、浦和は25分に梅崎→永井第一王子。川崎は30分にテセ、菊地→黒津、大橋。後は浦和守り倒し。クリアがほとんど拾えないなど、危なっかしい守り方だが、それでもどろどろに守り倒させたら、さすがに浦和はJ1随一。中村Zを中心に川崎は丁寧な組み立てをするが、谷口のミドルシュート以外は決定機らしい決定機を作ることができず。そのまま浦和は虎の子の1点を守りきってゲームオーバー。何しに出てきたんだ、大橋。

その良さも悪さも含めて実に今の浦和らしい試合。現状で攻撃の意図的な組み立てはほぼなし。ボランチにトゥーリオ、萌たんなのだから、それもやむを得ないのだが。特に前線のコンビネーションは皆無に近く、エジエジと高原、梅崎の連携は悪い。永井第一王位継承者が入っても、もちろん変わらず。それでもトゥーリオの一発の機転で勝ってしまうのだから、恐れ入る。ポンテの居合い斬りで勝ってた去年とあんまりやることは変わってない。今はトゥーリオがそれやってるだけ。チーム・トゥーリオ。まあ、その選手配置をできたエンゲルスのアイデア勝ちだろうか。ただ、今年はACL予選もないし、適度に選手を入れ替えている。去年のような主力選手の絶望的な勤続疲労もないだろう。ポンテも戻ってくるし。シーズン通して、優勝を争うんじゃないだろうか。

川崎は悪くない試合。あのPKは7:3くらいでFKにするんじゃないの。得点が取れなかったのは、今日はしょうがない。相手が千葉だったら5点は固い。今日は守り倒した浦和を褒めるべき。開幕時と比べるとバランスがよくなったね。フッキショックというよりもマギヌンを放出したことでバランスが崩れていたが、素浪人菊地を入れることで新しい形での安定を手に入れた。谷口、中村Zも躍動して、この形はいいと思うよ。山岸、菊地の新加入組もだいぶフィットしてきたし、後は我那覇が戻ってきてくれれば万全なんじゃないだろうか。怖いのは中村Zの勤続疲労。シーズン前から代表に駆り出され、代表・クラブの出る試合ですべて中心扱い。精神的な疲労も激しいだろう。彼が終盤まで持てば優勝争い、というところだが、去年もそんなこと言ってて結局最後まで働いたな。華奢な体して、意外とたくましいのね、Z・・・。で、森はどうしたの?カツアゲばれた?

■picture of player 山田暢久
今日は本気じゃない日。右サイドに出されて、ふくれてたか。永井もこの日はただひたすらへらへらしてたんで、今日は懐かしの浦和デー。本気である試合のほうが珍しいというプロにあるまじき存在だが、それでやれてるんだからまあいいのか。たぶん、本気出したらスタジアム爆発するんだと思う。それかエンゲルスの髪が生える。ただ、30越えてるのに、アナウンサーから「潜在能力はすごい」って言われるのは、どうなんだろう。係長なのに「やればできる」って言われるようなもんか、うへえ、せつねえ。J1のほしのあきとして今後も頑張っていただきたい。