2007 J1を振り返って 「行く年来る年サガン鳥栖」 part3 | picture of player

2007 J1を振り返って 「行く年来る年サガン鳥栖」 part3

オシム爺さん、退院おめでとー。
では、全く関係なくpart3をゴー!

■広島
■順位 16位
■採点 4.5
■評価
昨年の魅力的なサッカーから大躍進を予想した人も多かったが、あれよあれよという間に降格決定。どどーん。一番の原因は「見切られた」ことか。森崎A、戸田、盛田という本職ゼロのDFラインは対空戦に滅法弱く、対戦チームはそこを突き続けた。そりゃそうだ。そのことによってびびったDFが下がる→両サイド&ボランチがそれに引っ張られる→広大な中盤に柏木ぽつーん→ウェズレイ&佐藤ぽつーん。最初は出来心の借金が雪だるま式に膨れ上がり、遂には返済不可に。才能のある選手をピッチに放置し、修正を一切図ることができなかったペトロビッチ監督の責任は非常に大きい。理想を見ない者に現実は変えられないが、現実が見えない者に理想を追う資格はない。要はバランスなのよね。ペトロビッチ氏はそこを見誤った感じ。ただ、そんなロマンチストが来年も留任というのは非常に不可解。来年の戦場であるJ2はJ1よりもずっと過酷に現実と戦わなければならない。それにはもっと適した監督がいると思うのだが…。また選手の流出も頭が痛い。寿人、青山、柏木、槙野、森崎兄弟、駒野という各年代で代表経験のある選手のうち何人かは抜けるだろう。特に主力中の主力である駒野、柏木、寿人にその可能性が高い。彼らを補填する手段をどう講じるのか。若手に期待するのか、外国人を取ってくるのか。なんか金がなくてただ穴が開いたままになる気がするけどね。その場合には、監督のスタイルも含めて、1年でのJ1復帰は…。
■picture of player 槙野智章
終盤からレギュラーに定着し、ようやくまともな3バックを組めるようになったが、時既に遅し。でも、入れ替え戦でポストに嫌われた最後のオーバーヘッドは、あまりにもサッカーという競技の本質を捉えすぎていたなあ。とは言え、本職はDF。そのハードマークと高さ、意外にクレバーなカバーリングと、DFに必要な要素は全てもっている。そして、馬鹿。もう、ほんとに馬鹿。U-20でのゴールパフォーマンスや、食堂でバンザイして突き指とか、エピソードに事欠かない。脳みそがスポンジ状なんじゃないかと思う。ただ、サッカーやる上でこの手の馬鹿は強い。J2でたくさん試合に出て、もまれてきて下さい。タフな試合であればこそ、君が必要だ。


■千葉
■順位 13位
■採点 5.0
■評価
じじいがいなくなり、主力ががつっと抜けた再スタートの1年。結果は残留で御の字というところか。だが、前半戦はかなり苦戦した。元々、高度な共通理解を必要とするチームスタイルなので、下村、新居、ジョルジェビッチなどの新戦力がフィットするのに(容易に予想できたが)相当な時間を要したことが、まず一因。特に開いた穴が阿部、坂本、ハースという各部門の支柱だったため、その穴埋めには非常に苦労していた。というか、まだ埋まってない。次に、代表への招集が増え、主力がコンディションを保つことが難しかった。特に代表でも人柱役を割り当てられている巻の疲弊は酷く、それは今年のゴール数を見ても明らかだろう。また、羽生、山岸もシーズンを通してコンディション維持に苦労していた。最後にチーム体制変更によるごたごたも原因があるだろう。ストヤノフが叛乱を起こし、またGMが変わったことでハース、クルプニコラコセレビッチに代わる外国人を獲得できず、実質的に主力だった外国人はゼロ。これでは変化をつけられる水野への負担が増大したのもやむを得ないだろう。ただ、そういうチーム状態の中で、なんとかチームを作り上げ、残留というタスクを遂行したアマル監督は、悪い監督ではなかった。アマルにいくつかの若さゆえの過ちがあったにせよ、伊藤、青木、新居、工藤といった若手を我慢強く使い続け、主力級の働きが出来るように仕上げた功績は否定されるべきではないだろう。また、「千葉は攻撃をするんだ」という姿勢を最後まで保ち続けたフィロソフィーも評価されていい。この一年を通して、彼も随分と成長したと思う。その若い監督と共に来年も…という風に行くのが自然だったのだが、残念ながらアマルは解雇。来年のことはよくわからなくなってしまった。実際問題として、彼よりも優秀で千葉のスタイルに合った監督を探すことは簡単ではない。彼にブーイングを浴びせ、解任を望んでいたサポーターたちは、一体どんな代替案を考えていたのだろう。「それはサポーターの仕事じゃない」といわれれば、そうですか、と答えるしかないのだが。ともかく、来年は主力の流出をどれだけ防げるかというのがまず最重要課題。水本、水野、山岸、羽生ときな臭い話が結構出てるが、彼らを繋ぎとめておくのには、明確なビジョンを示す必要があるだろう。今のような社長の行き当たりばったりが横行するようでは、自然と人心も離れてしまう。外国人&日本人の補強、どういう監督を呼んでどういうサッカーをするのかというプランを示さなければならない。それができなければ、また「繰り返す」だけだ。
■picture of player 巻誠一郎
今年は明確な人柱年。代表で埋め立てられ、チームでも潰れ、ひたすらフィジカルコンタクトに費やした一年だった。結果、ゴール数も少なく、大半の時間をプロレスやってました。そりゃさすがに超合金製でも故障するってば。でもちょっとその酷使っぷりが嬉しそうなのは気のせいか。ドマゾめ。ただ、点を取れなかったのは、チーム事情のせいだろう。代表では(巻にしては)それなりに取ってたし。来年はもうちょっと自己犠牲マゾ気質を抑えて、もっと貪欲にいっていいと思う。結局、千葉の魂は君なんだから。


■FC東京
■順位 12位
■採点 5.0
■評価
大補強 意気揚々と 指定席。と、575であらわすとこんな感じでした。終わり。というわけにはいかないので、ちゃんと書きます。今年は補強の失敗が全てだった。原監督の下で育った若手が中堅に差し掛かる年齢で、後はそこに上積みをしたいという単純な足し算のはずだったのだが、ことごとくそれがうまくいかなかった。まず福西は最後までピッチを漂い、ワンチョペはトーテムポールとしてベンチで大活躍、エバウドにいたっては影も形もなく、結局終盤のスタメンは前・原時代から戸田が抜けただけという状態で、一体この2年はなんだったのかと遠い目をするしかない。それに合わせるように、サッカーの内容もシーズンを通して低調。最大の原因は茂庭の怪我か。彼がいないことで今野をセンターバックに下げざるを得ず、その空いた中盤を埋める人材が皆無。元々イケイケのチームでバランスを取る選手が今野くらいしかいないので、がりがりのプレスをかけにいくと、中盤センターは常時入居者募集中の状態。まあ、福西・梶山の二人で誰が走るんだって話だよね。終盤になって今野・梶山がセンターに座ってからは、ようやく安定し始めた。また、攻撃も褒められる部分は少ない。平山は使い物にならず、展開が遅いためにサイドも手詰まりになることが多い。チャンスになっていたのは、ルーカスの頑張りと個人技によるものがほとんどで、一体この2年は(以下略)。こういう状態では、彼自身の責任に帰する部分が少ないにせよ、原監督の退任はやむを得ないだろう。後任は城福さん。U-17ではコレクティブで常識的なサッカーの上に才能を乗っけるというまともな方法を取っていたので、原さんよりは秩序のあるチームになることが予想される。問題は人材。今野の流出が予想され、それに代わる選手の獲得が急務。また、攻撃もカウンター以外に活路が見出せない現状を打開するために、創造性のある外国人の獲得が急務だろう。DFラインも層はぺらっぺらなので補強をしたいのは山々なのだが、そこまで手が回るかどうか。
■picture of player ルーカス
「ブラジル人には2種類いる。」「2種類?」「真面目なブラジル人と不真面目なブラジル人だ。」「なるほど。」でも真面目なブラジル人はほとんどいない。」「なんでだ?」「不真面目なブラジル人に殺されちまうからだ。」「HAHAHAHAHA!」というブラックジョークはさておき、ルーカスは真面目で殺されてないブラジル人です。フィニッシュの能力に一抹の疑問符はつくものの、唯一タメの作れる選手として前線で獅子奮迅。また、真面目なブラジル人の称号にふさわしく、前線からの守備も非常に勤勉にこなし、穴の多いDF陣を助けている。なんかいい意味でも悪い意味でも、すごく日本に適応しているブラジル人。少なくとも西澤とかよりはよっぽど日本人らしいストライカー。FC東京サポはもっと彼を愛すればいいと思う。「キング」とは言わないまでも、「大将」ぐらいの称号をあげようよ。ほら、ねじり鉢巻とか似合いそうな顔してるし。


■川崎
■順位 5位
■採点 6.0
■評価
本人たちがどう思ってるのか知らんが、戦力を考えると悪くない年だった。ACL、リーグ、ナビスコとどれも中途半端な結果になってしまったが(まだ天皇杯はあるか)、戦力を考えるとそれもやむなし。中村Zがアジアカップで調子を崩し、我那覇は注射で違う世界へ飛んでいってしまったが、それぞれ大橋、河村、養父、鄭大世などがうまくカバーしていた。戦術的にも、ほぼ固定だった3バックを崩して4バックに挑戦したりとチームを固形化させないように努力している。来年以降も関塚体制は続投。正直言えば、主力の年齢などを考えると、チームのピークは去年と今年だったと思う。来年もそうがたっと落ちるとは思わないが、手綱の握り方を間違えると「えー、何これ、ほとんど緩衝材じゃなぁーい?」とお歳暮@デパ地下並のスカスカなシーズンを送ることになるかもしれない。ただ、主力の圧倒的な能力がありながらも、久木野、養父なども徐々に出場機会を増やしているので、それほど心配はしていないが。来季の目標も優勝争いになるだろう。そのためには主力の残留が第一。それにプラスアルファで若手の活用と外国人の補強。左サイドのフランシスマールは靭帯ぶっちぎっただけで、幻のウイングのまま帰国してしまったので、それに代わる外国人が欲しい。個人的にはDFから球出しのできる人間がいるといいと思うのだが。ただ、予算規模が大きくないので、それほど思い切った補強もできないという事情も。ともあれ、中村Zが安定した力を発揮し続ければ、それほど大崩れはないでしょう。そんなに心配してません。
■picture of player 中村憲剛
2007年の代表の顔の一つだったことは間違いがない。アジアカップも含めて、彼がタクトを振るうことで遠藤が心置きなく前に出ることができた。またクラブでも夏にカラカラになってた以外は圧倒的な存在感を示し、違いを見せ付けた。彼のプレーを生で見ると、その前を向く技術には舌を巻く。中盤下がり目の位置で敵を背負いながらボールを受け、ワンタッチで振り向ける場所にボールを置くテクニックは間違いなく日本一。なので、そこから繰り出される早いタイミングの前線へのパスも独占市場で日本一。誰も真似できません。超地味だけど、すごい。これってトリビアになりませんか?(なりません)