試合短評 千葉-FC東京(J1第18節) | picture of player

試合短評 千葉-FC東京(J1第18節)

■千葉3-4FC東京
■短評

魅惑のブラジル監督ガーロを解任して崖っぷちのFC東京が、疲れの見える千葉に対して決死のバンザイアタックを敢行した試合。


馬場の1トップ、鈴木規郎の左サイドバック、伊野波の地獄マンマークなど二虎競食の計並の奇策を次々と繰り出した天才司令官・ガーロさんが、理解力に乏しいフロントに謀略の末に解任された。あれは未来の戦術なので、現代人には理解できないだけなのです。後任はユースを見ていた倉又氏。履歴を見ると、大熊、原の両監督のもとでコーチを10年務めたとのこと。オーソドックスな4-4-2という布陣とあわせると、おのずとどういうサッカーをするのか見えてきそうな感じ。対する千葉はいつもと同じ。代表選手4人がそのままスタメン出場。


前半は、千葉ペース。まずCKから阿部がヘッドでどかん、次に坂本の10年に一度の変態ループ(やっと決まってよかったね)で、開始10分間であっという間の2得点。心機一転といきたいFC東京だったが、完全に出鼻をくじかれ、「くそっ、俺はもう暴走族やってないのに、いまだにそんな目で見やがって!」と再びシンナーに手を出してしまいそうになってしまうところを何とかこらえ、ルーカスが個人技で無理やり1点返す。そこからは、千葉がペースを緩めたこともあって、なんとか試合を落ち着けた。事故のような2失点はしたが、この日のFC東京守備の出足は鋭く、ガーロ時代にはなかった前に出てのインターセプトを頻発させ、千葉に形を作らせず。走る千葉に触発されたのか、または呪術師ガーロの呪いから解き放たれたのか、東京は走る、走る。ただし、攻撃については、一体ガーロの下でのポゼッション志向はなんだったのかという、原監督時代を思いこさせる速攻一本のみ。キープやバックパスはなく、とにかく前、前、前。ただ、その時と同じように、遅攻になるとほとんど手立てはなく、キープ力のあるルーカス、川口の単独突破が目立った程度だが、それも決して有効とは言いがたかった。千葉は東京の気迫と自らのミスで首を絞めていたが、中盤に押し戻された勢いをなんとかイーブンにまで持ち込み、そのまま後半へ。


後半は、開始から千葉ペース。しかし、あまり長く続かない。リスクをかけて攻めるのだが、連戦の疲労と暑さからつまらないミスを頻発し、東京のカウンターのいい餌食に。60分頃には梶山の強引なサイドのえぐりから赤嶺が難しい体勢からCFらしいゴラッソを決め、さらには75分には、またも梶山が石川への見事なスルーパスを通して、逆転。「単調」と上述した原もとい倉又サッカーだが、裏を返せば、ツボにはまった場合には強力だということは原時代に証明済み。千葉のように前に出てくるチームに対しては、かなり相性がよかった。もちろん、千葉がつまらないミスをしまくったことが原因の一つではあるのだけれど。東京が逆転した頃には、既に両チームペース配分考えずに走ったためにへろへろ。こりゃあ、このまま終わりかと思ったが、84分に、途中投入された楽山の突破から羽生が右サイドでうまいボールの受け方をして、エリア外から狙い済ましたミドルシュート。これが決まって、3-3の同点。そこからはもうどろどろのずるずる。千葉は勢いで押すかと思われたが、最後の場面でミスが頻発して、つながらず。そしてロスタイム。よくこの時間に上がってきたな、という徳永が右サイドからシュート並の速さのクロスを思いっきり上げて、それを途中投入の阿部が押し込んで、東京は再逆転。たぶん狙いもくそもなくて蹴っただけ。引き分けが妥当な試合だったが、東京はなんとか勝利をもぎ取った。


東京はガーロ時代の四次元殺法を捨て、とりあえず一番新しい記憶である原時代のスピードアタックへ回帰し、とにかく縦へ行く愚直なまでのサッカーを行った。ポゼッションとカウンターのどっちが向いている陣容かと言われれば間違いなく後者なので、当座の策としては悪くないと思う。ただし、単調さが否めないのも事実で、千葉のようなガチンコのサッカーをしてくれる相手ならいいが、あまりリスクをかけない川崎や浦和などの上位陣を相手にしたら、正直、厳しいだろう。実際にあのサッカーでいけるのは中位がいいところだと、過去に自分たちで証明しているのだし。遅攻になった時は両翼からワイドに仕掛けるサッカーになるのだろうが、石川、川口といったところが絶対的な突破力を有しているわけでもなく、そこが封じられた時にどうするのか。また、守備にも課題は多く、さらに監督交代という劇薬が切れたときが怖い。今シーズンは残留が目標でいいとして、そこは来シーズンの課題だろう。ということを、原時代に毎年言っていた気がする。一皮向けた感のある梶山は期待できるが…。


対する千葉は、とにかく疲れていた。らしくないパスミスを連発し、集中力のない時間帯が異常に長い。代表4人を抱えてこの連戦と暑さでは仕方がないのだろうが、それにしてもミスは多すぎた。それでもチャンスを数多く作ったのはさすがだが。特に阿部の出来は悪く、失点シーンでも集中を欠いていた。また、戦略面でも、カウンターするべく手ぐすね引いて待っている相手に無策で特攻というのも千葉らしいと言えば千葉らしいが、もうちょっとなんとかならんか。代えの効かない佐藤が負傷退場した中ではそれを臨むのも酷な話かもしれないが、控えも含めた試合への対応力がないと、優勝は厳しい。


■picture of player 小澤竜己
79分に投入され、85分に交代させられた、若い子。フォワードらしい。らしい、というのも赤嶺と代わったからそう思えただけで、ほんとのところはよくわかりません。昔トルシエ(だっけ?)に柳沢が5分で代えられたことがあったが、こういうのってなんなんでしょ。よっぽど酷いプレーをしたならともかく、そもそもそんなことする時間すら与えられてないし。すると、小澤くんが致命的な何かミスをしていたのかもしれない。たとえば、ユニフォームを着ていなかったり、スパイクがバッタもんだったり、メスが体内に入ったまま縫い合わせてしまったり、ピッチに出て行く瞬間に「殴り殺してやる!」と叫んでいたり、メーター上げるの忘れたままお客さんを乗せてしまったり、と諸説色々あるのだけれど、小澤と書いて「こざわ」と読むことに倉又監督がびっくりしたためだと思います。「おいおい、こざわってなんだよ」。全国の小澤さんすいません。