又吉直樹『火花』を読んでみた! | 例年60%越え。高成婚率の秘訣は?!恵比寿の結婚相談所 夫婦セラピストが語る

例年60%越え。高成婚率の秘訣は?!恵比寿の結婚相談所 夫婦セラピストが語る

東京・恵比寿で結婚相談所を開き婚活セラピーを行っている湯田佐恵子&博和です。驚異の成婚率の理由は、自分の中に結婚できる状態を作っていくこと。一度体験にいらしてみてくださいね!

火花

by Don

「臆病でも、勘違いでも、
救いようのない馬鹿でもいい、
全力で挑める者だけが
漫才師になれるのだ。」

「それがわかっただけでもよかった。
この長い月日をかけた無謀な挑戦によって、
僕は自分の人生を得たのだと思う。」

オーラスにある文章。
主人公の僕(徳永)の感慨、
作者又吉さんが
この小説に挑むことで得られた
栄誉と重なります。

この辺りの文章は、
モノに憑かれたかのように
文学の神様に憑かれた?)
素晴らしい。

ここを書きたくて、
すべてが準備されたような。

花火に始まり、花火に終わる小説。

太宰が生きた無頼派、
安吾や織田作、檀一雄も…
(新戯作派とも呼ぶ)

現代の無頼派は、お笑い芸人だった!

主人公の僕が、
漫才の師匠と慕う
神谷さんと繰り広げる世界は、
昔の“文士”の世界を彷彿とさせる。

というより、
又吉が現代に蘇えらせたというべきか。

太宰は一方的に師匠の井伏鱒二を困らせた。
『火花』では逆転している。
終始、僕を悩ませるのは師匠の神谷さん。

神谷の圧倒的な話芸そのものが
もっと具体的に描かれても良かった。

弟子の僕・徳永(コンビ名がスパークス!)
が神谷の芸を模倣し、
その延長上で、
理想とする漫才、美学、
芸人道が追究される。

最後の舞台で師を超えてゆくシーンが秀逸。

僕(徳永)
「あえて反対のことを言うと宣言した上で、
思っていることと逆のことを全力で言うと、
明確に想いが伝わるんちゃうかなと思うねん」

相方
「お前は、最後まで、何をややこしいこと言うとんねん」


「まあ、やったらわかるわ。行くぞ」

ここはスピード感があって実に恰好いい!

「理屈っぽさと感情が爆発するとこ、
矛盾しそうな二つの要素が
同居するんが
スパークスの漫才やな」
(神谷のセリフ)

ここは又吉さんのホンネ(漫才の理想)と読み取っていい。

クライマックスの後の一見、
無くもがな?なエピローグは、
こう閉じられる。

「生きている限り、
バッドエンドはない。
僕達はまだ途中だ。
これから続きをやるのだ。」

ハッピーエンドではなかったが、
バッドエンドでもない!
そこに意味があるのだろう。

フィクションという非日常を、
日常につなげること。
唐十郎や寺山修司の舞台が、そのまま現実の世界へとつながっていたように。

神谷の人物像の描写は
最初と最後と、
さり気なく、実に巧みに(又吉流に)
計算されていて、
すんでのところで見逃しそうになった。

最後の無頼派・神谷に共感できるか?

独特の拘りやその生き様に、

最後の意想外な「変身」の
面白さが伝わり切るかどうか?

で、この小説への評価(好き嫌い)は
分かれると思う。


お笑いに興味が持てない人には、
なんで?
で、それで?てな感じかも。

そこが危惧するところ。


苦労人 又吉さんは、
リアリストではあるのだが、
なかなかのファンタジスタと見た。



蛇足ながら、
作者・又吉直樹=E(エニアグラム)タイプ6の人(忠実な人)
を想定しながら読んでみた。

同時にもちろん9(平和を求める人)の可能性も。

6を想定するのはうがち過ぎかも。
むしろシンプルに9と考えた方が
読後感はしっくりくる。

主人公は、
自分が深く信じる個人(師匠)や、
お笑いというムーブメントに対して
息苦しくなるくらい献身的!

6は理想化、神格化し(あの人は「神」だ)、
9は一体化、同一化する。
(その人が自分の中に住み着く感じ)

困ったことに
これらの区別がはっきりわかるほど
歴然と描かれているわけではなく、

この辺の分析、見極めが難しい。


E9のストレスの方向が6なので、
6の傾向が主人公に現われていても
おかしくはない。

※ストレスの方向
=ストレス時に、
無意識に出てくる性格。
ルーティン化された仕事や、
日常でこなしている役割では、

誰でもその性格パターンが現われる。


『火花』の世界観は、
むしろ、相反するものが、
渾然一体と、
混沌(!)のうちに
描かれていると見た方が自然だ。

9は物事の本質を
見極めようとする表現が好きだ。

人生とはなにか?とか、
死とはなにか?とか、
茫漠とした問い、
正解のない答えを
必死に探そうとする。

混沌を描くのも好き。

(結果的に混沌を描いてしまうのだが)

6の生き方はもっと器用で、
人間関係の機微や、
日常の中の気持ち、感情を
丁寧に丁寧に表現する傾向にある。

面白かったのは、
登場する女性が善人で、
理想化されて描かれているところ。

神谷の二人の女、

真樹さんも、由貴さんも
生身の女ではないような。

師匠が好きな相手は無条件に善い人?

そういえば、この小説に
悪人は一人も出てこないような。
E9の特徴ではある。

又吉さんはやはり、
恐れの強い、安全・安心を
求めてる人じゃないよね?

E9の私流の愛称「トリックスター」
が又吉さんには似合う!

案外、そっちの方向性じゃないかな?

又吉さんがこれから進む方向は。

※トリックスター=
神話や物語に出てくる
道化と文化英雄を併せもつ
独特なキャラクターのこと。


追記:
主人公徳永のモノローグは、
又吉自身の叫びにも思える。

「僕は徹底的な異端にはなりきれない。
その反対に器用にも立ち回れない。

その不器用さを誇ることも出来ない。
嘘を吐くことは男児としてみっともないからだ。

知っている。
そんな陳腐な自尊心こそみっともない
などという平凡な言葉は何度も聞いてきた。
でも、無理なのだ」

さて、
これはEタイプ6の人、
あるいは9の人、
どちらの叫びなのか。



エニアグラム(性格学)は
タイプ当てが目的ではありません。

究極的になにを求めているのか?
自分本来の動機はなにか?
どんなとらわれ(=無意識に繰り返してしまう人生のパターン)
があるのか?


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