正直さ素直さ ~時計詐欺から学んだこと~ | モノづくりベンチャー起業家の挑戦

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今朝の事、うちの従業員Sくんがぼそっと・・・

 

Sくん:あ、面白い話があって・・・

 

 

一同:なになに??

 

 

Sくん:実は時計詐欺に遭いました。

 

 

ご存知の方も多いかもしれませんが、時計詐欺を簡単に説明しますね。

 

 

 

道を歩いてると、割と高級そうな車が目の前に止まります。

 

 

 

運転してるのは20代半ばから後半くらいのちょっと良さげのスーツとかをきた感じの若干チャラ風な男で、ウィンドウをあけて、

 

 

男:あ!ちょっとすみません!自分は高級時計やアクセサリーの卸会社に勤めている者なんですけど、実は今回卸損ねて発注書と数字が合わない商品が出ちゃってて、これ会社に持って帰ると怒られちゃって、質屋に持っていこうにも・・・

 


と、このあたりで名刺を出したりします。名刺にはさも立派風に見える会社名と肩書きが書かれています。


男:ほら、こういうちゃんと専門業者として登録されてる会社なのでこういうことバレると免許とりあげられちゃうわけなの。なのでこの時計もらってくれませんかねぇ?


話しかけられた側が少し乗り気なそぶりをみせると、


男:それでこれ売りにだすと10万円くらいはするものなんですけど、これからちょっと飲みにいこうと思っていて飲み代くらいはもらうことできませんかね?いや、ホントにモノはいいものなんで。

 


こういう手口で数万円程度のお金をまきあげようとする詐欺です。

 

かなり古くからある詐欺らしく知っている人もいるかもしれませんね。

 


Sくんは会社の帰りに近所の路地で声をかけられたそうです。

 

 

 

一同:それでどうしたの?

 

 

 

 

Sくん:11000円払っちゃいました・・・。

 

 

 

 

 

 


・・・・・・・・Sくんは素直ないい子なんです(+o+)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

手に入れた時計は2個セットの時計らしく、家に帰ってなんとなく不安に思いネットで調べて自分が騙されたと気付いたそうです。

 

 

 

 

 

 

 

その足で警察署に行ってことの顛末を伝えたら、

 

 


警察官:あ~~はいはい、あの昔からあるやつね。じゃあ調書とるから座ってくださいねー。


Sくん:いや、被害届は出さなくていいです。これって捕まえるの不可能に近いですよね?

 

警察官:う~ん・・・・、確かに車の特徴とか一切わからないんじゃ・・・正直難しいかもしれないねぇ・・・。

 

 

Sくん:それならいいです。ただこういう事があったのは事実なので、この辺で他に被害者が出ないように注意喚起だけしてもらえれば・・・。

 

 

 

 

 

何度でも言います。

 

 

 

 

 

 

 

Sくんは真面目で素直ないい子なんです(ToT)

 

 

 

 

みんなで、

 

 

なんでそんなのにお金払うのー!?

 

 

ばかだね~~汗 

 

 

もう思いっきり人間不信ですよ・・・(泣)

 

 

 

なんてやりとりをして散々盛り上がっていたのですが、僕は思う訳です。

 

 


Sくん悪いことしてないじゃん。

ただ素直に人の言うことを信じたら騙されて、職場の人からはあきれられて、、、正直者は馬鹿をみるっていうのが当たり前の世の中なら、それはそんな世の中の方が間違ってるんじゃないかと。

 


思い切り落ち込んで、もう誰も信じられないすよ・・・なんて言ってるSくんに声をかけました。

 


Sくん・・・・それ実は俺もひっかかったことあるよ。


一同唖然!!


これは本当です。

というか正確に言うと金銭的には未遂に終わったのですが。。。

 

 

それは10年以上前、20歳前後の社会を知らない僕はポスティングのバイトをしている最中に全く同じ状況に遭遇しました。

 

 

 

やったねラッキー!

 

 

とノリノリで時計をもらおうとした僕でしたが、財布の中には500円しかありませんでした。。。

 

 

犯人の男は、500円じゃちょっと、本当に良いモノなんで銀行に行ってお金おろしたりできませんか?

 

 

等とねばってきました。でもその当時僕は本当に貧乏で銀行に行っても1000円くらいしか貯金がなかったんです。

 

 

銀行にも1000円くらいしかないと言っても信じてもらえず、時計の質の良さをしつこく説明する男。

 

 

自分のお金の無さを必死に説明し、なんとか1500円で時計をくれ、だってもともとタダのものなんですよね?と一生懸命に説得する僕。

 

 

 


今考えるとなんともあほらしい図なんですが最後は、

 

 

 

 

わかりました。確かにこんな少しの金額でもらうのは申し訳ないので他の人をあたってください。お時間とらせてすみませんでした。

 

 

 


と、若すぎた僕は最後まで犯人を信じ切ったままその場は終わりました。

 


で、家に帰って彼女にそのことを伝えてようやくそれが詐欺だという事を知りました。


あの時僕の財布に11000円入っていたら間違いなく払っていたと思います。

 


なのでSくんの気持ちはよくわかります。彼は28歳なので僕よりもピュア指数は高めです。

 

 

 

ただ今回の件から学ぶべきことは人を信じるとろくな事がないってことではないと思うんです。

 

 

 

こういうことがあると、やっぱり正直者は馬鹿をみる世の中だという結果に結びつけがちのような気がするんですが、恥ずべきは正直で素直な自分ではなくて、「欲を出してしまった自分」だと思うのです。

 

 

ただそんな程度の欲は彼を馬鹿にする人達だって、誰だって持ち合わせてる程度の欲ですよね。

 

 

だから欲の面では彼を責める資格のある人はいるのでしょうか。

 

 

何より、彼は世間知らずでバカなのかもしれないけど彼のそういうところが僕は好きです。

 

 

彼は学生時代に僕のやっていたバンドのローディーをやってくれていたんですが、就職してバンドを去っていきました。

 

 

それから何年も経っていますが、僕は彼の素直さ、真面目で正直なところに共鳴して自分の会社に誘いました。

 

 


気付いていないかもしれないけど、正直に素直に生きてることで受けてる恩恵は絶対にたくさんあるから、こんなくだらない事件がきっかけで自分の良さをなくそうとはするなよってことだけは伝えました。

 


こんな世知辛い世の中でこんなにもピュアに育った自分の素直さにむしろ誇りを持てと。

 

 

そして、明日その時計を会社に持ってくるように言いました。

 

 


その時計はむしろネタとしても貴重なものに思えてきたし、彼の正直さの象徴ということで大事にしたいという気持ちが芽生えてきたからです。

 

どうせ10数年前に自分も騙された訳だし、しかも今回ちょうど2個セットらしいから一個譲って欲しいと頼みました。

 

 

 

 

2000円で!

 

 

 

 

さすがに半額の5500円は払えない。ごめんなさい(笑)

 

 

Sくんはお金はもらえませんって言ったけど、ただでもらうのは俺の気がすまないからもらってくれと半ば強引に払うことなりました。

 

 

 

俺たちはどうやら今の汚れ気味な世の中では人に騙されやすい。だから慎重に生きよう。

 

 

でも、素直な心を持ち正直に誠実に生きることは人として正しいことだと信じて忘れないように心がけよう。

その時計はピュアな心の象徴だ。

俺達はこの時計をつけたままのしあがろう。俺達が正しかったってことを証明してやろうぜ。

 

 

マイナス要素しかないような詐欺事件でしたが、なんだかおもしろい結束が生まれた気がした瞬間でした。

 

 

 

なんとも危なっかしいコンビが運営する株式会社リアライズが今後どんな顛末を辿っていくのか、楽しみにしていて下さいね。

 

 

 

来月からもがんばります!

 
2019年7月追記:


社長ツイッター元気に更新中です。”どうせ無理”を世の中から無くすをモットーに自分の経験から良い仕事良い人生を送るためのコツを呟いています。ぜひ仲良くして下さい。