サガン・シリーズ第七弾。
サガン・マンネリズムとの飽くなき戦いの様相を呈してきた「サガン・シリーズ読破!」への道。挫けてなるものか!一冊の元値100円そこそこの文庫を1280円にまで跳ね上がらせるほどプレミアのついたお宝本を10冊以上も大人買いしてしまった自分の無謀行為に対して申し訳がたたぬ!意地でも読むぞ!


さて、今回のヒロインは、ジャガーのドアをバタンと閉め、やや大股に進む自分の姿が「おそらく均衡のとれた大人の女のなめらかな足どりであろう」ことを願う45歳のシナリオライター。庭に置きっぱなしでほとんど巨大なオブジェと化しつつあるセカンドカーは、25年式クラシック・ロールス・ロイス。彼女は同居人である不思議な美青年とふたりで、日曜日ごとに、一週間で庭の雑草がはいのぼったロールスの掃除と手入れという無益な仕事に午前中を費やす。決して使用することのないロールスは、ピカピカに磨き上げられ燦然と光り輝く。12時半にはカクテルを飲みながらワックスのかけられたロールスの周囲を回りうっとりと眺め入って満足する。そして次の日曜日にはまた同じ作業を繰り返す。二人は「日曜の朝に荒れ果てた庭にでんと構える25年式ロールスを掃除したことのない人は、人生の大きな喜びのひとつを知らないわけだな…」などとのたまう。ふ・ふ・ふざけんなっパンチ!

フランソワーズ サガン, 朝吹 登水子, Francoise Sagan
優しい関係