「ごめんなさい……。」
カタカタ、と身体が震える。
さっきまで、身体中が熱かったはずなのに。
『待っていて』と。
敦賀さんに言われた瞬間に、ドクドクと心臓が高鳴り、身体中が熱くなったはずなのに。
優しくなりたかった。
素直になりたかった。
全てを話して……許されたかった。
「許される、はずが、ないのに………。」
敦賀さんには、とても大切にしている女性がいる。
敦賀さんはきっと、もうすぐ彼女を迎えに行くのだろう。
そして、彼女に愛を囁き、甘えて、甘えさせて、そして……幸せに、暮らしていくの。
数々の苦難を乗り越えた王子様は、お姫様と幸せになるのが、当たり前なのだから……。
「っ。」
そんな王子様を、己のワガママで呼び出し、愛しい人と会う時間を奪うような悪女は、許されるはずがない。
なんて、醜く汚いことなのだろう。
こんな罪深い私は……
私なんて……
「私なんて……いなくなってしまえば、いいのに……。」
生まれてきたことが罪なのだから。
この聖なる日に、心も身体も全て。
イルミネーションとともに、せめて人々を照らす光となって、消えてしまいたい。
「神様。」
光り輝くイルミネーションの中。
両手を組み、空を見上げる。
「どうか、私を……。連れて行ってください。」
東京の空は、星も見えない。
だけど、この大空には無数の星が煌めいていて。
きっと、天には全てを統べる神がいらっしゃる。
それならば、私の願いを叶えてほしい。
浅はかで、醜い、汚い魂しか持たない私を、煌めく光に変えてください。
―――きっと、光となった私なら。敦賀さんと、敦賀さんが愛した女の子が幸せになるところを、祝福してあげられるから―――