ねここ様からのリクエスト~愛ある家族の大嵐(4-2)~ | ななちのブログ

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このブログは、スキップビート好きの非公式2次小説作成SS中心です。作品については、あくまで個人の趣味で作成しています。
馬車馬のごとく働く社会人ですので、更新スピードは亀ですが、よろしければお読みください☆

「……敦賀君。」

「……はい。」

「君は、キョーコとは一体、どういう関係なんだい?」

「っ!!」



 どんなに怒鳴り散らしても、眉ひとつ動かさず、余裕の表情で蓮を見つめる男は、ゆっくりと事実確認を開始した。



「……か、彼女とは……。」

「うん。何だ?キョーコとはどういう関係だ?」

「……じ、事務所の、その……。」



 正直、口に出して言いたくない。こういう事実を、自分の口で言うだなんて、屈辱以外の何ものでもないのだ。



「……先輩、後輩、です。」



 この関係性は、彼女がLMEという事務所の扉を無遠慮に叩きまくり、放りだしても執念深くしがみついていた頃から変わらない。

 最初の嫌悪が、好意に。それらを超えて(社的には常軌を逸している)愛情に代わっても。



 なぜか、それ以上の関係にならずに今まで続く、蓮とキョーコの関係性である。



「敦賀君。私はね?」

「……はい。」



 自分で言って、自分で傷つく。

 思いの他、大ダメージを受けた蓮は、先ほどまでの勢いを失くして、腰かけていたソファの背もたれに身体を預ける。



「一応、京都を故郷とする奥ゆかしき日本人としての感覚を持ち合わせているつもりなんだ。」

「………。そうですか。」



 実家では、ベタベタ、イチャイチャと息子の前でも隠すことなく夫婦で万年新婚生活のようなスキンシップをとっていた人間が何を言うかと心の中で思いながらも口に出しては言わない。



 ……敦賀蓮は、そんな事実を知らないし、知っていてはおかしいのだから……



「身持ちが堅いということは、現在の日本ではすでに美徳とされていないのかもしれんな。だが、ある程度は仕方がないとはいえ、何事も奔放であってはいかんと私は思う。…娘の父になって、その想いは一層強まった。」

「……はぁ。」



 突然語り始めたク―に対して、蓮は生返事をするしかない。

 クオンであった頃、女の影がクオンにあったとしても、何一つ言わなかった父親だ。言わんとしている感覚が全く理解できない。

 というより、『奥ゆかしい』という意味が理解できないし、『身持ちが堅い』という日本語自体、よく知らない。今時の台本にそんな単語は出てこない。



 後できちんと調べてみようと考える蓮に、ク―はにっこりと微笑んでみせる。



「……だからね、敦賀君。単なる先輩後輩の間柄である君とキョーコが、こんな状況になっていることが全く理解できないし、許すべきことではないと思っている。」

「…………。えっ。」



 にっこり、にこにこと、とてつもなく良い笑顔を浮かべるク―は、懐から数枚のはがきサイズよりももう一回り小さな厚紙を取り出すと、それを蓮に突き付けた。

 突き付けられたものをちらりと見ると……。



「………………。」

「その写真。どう見ても君がキョーコにムリヤリ迫っている写真にしか見えないのだが。何か弁解はあるか?」

「………………。」

「その次の写真の膝抱っこ。それは何か意味があるのかな?…純情乙女の尻を膝に抱えて嬉々としている君は、どう考えてもちょっとおかしい気がするんだがね。どうだい?」

「………………。」

「その次の写真の、膝枕も。キョーコの膝を借りる必要、どこかにあるか?しかも、キョーコの方を向きながら、腰に腕を巻きつけるとか。一体君は、何をしたいんだい?」

「………………。」



 何がしたいも何も。

 答えは一つに決まっている。



 ただ、愛しい女の子と、ベタベタ、イチャイチャしていたいのだ。



 嫌がっている声が可愛いし。

最初は拒否しているのに、それでも最終的にはメチャクチャな理論を振りかざした蓮に、言いくるめられてしまうところも可愛らしいし。

 柔らかくて温かい肌がどこかしら触れていると気持ちよくて。

 甘い香りを胸いっぱいに吸い込むと、抱え込んでいたストレスも吹き飛んでいく。

 ……同時に、邪な欲望が芽生えてしまうわけだが……それも致し方なし。



「はぁ~~~…私は信じられないよ。日本の男女関係というのは、これほどまでにただれてしまったのかと思うと。」

「だっ、だから、俺と最上さんは決して、ただれた関係ではありません!!さっきも申しあげたとおり、(敦賀蓮としては唇への)キスも、それ以上のこともしていませんので「それで許されると思ったら大間違いだね、敦賀君。」」



 本当のことは言えない空気のため、蓮は何とか弁解にしては苦しい言葉を紡ぎ続ける。

 だが、それらをク―・ヒズリは一刀両断してみせた。



「膝抱っこ、膝枕……どちらもムリヤリ上司が部下に命令しようものなら、セクハラとしかみなされない。それは理解できるかな?敦賀君。」

「グッ、はっ、はい……。」

「それを踏まえて。先輩としてキョーコに要求するこれらの内容は、どのように見てとれる?そこのマネージャー君。」

「………………。………申し訳ございませんでした~~~~~!!!!」



 突然話を振られた社は、脳内でこれまでの敦賀蓮と最上キョーコの接触場面を思い浮かべていた。

 蓮としては、ただ愛しい少女を愛でているだけの態度なのだろうが……。



 蓮の言葉で全身を真っ赤にし、本気で困ったような声で叫んだり、涙目で無言の助けを求めてきたり……。というより、何度か本気で「社さんっ!!助けて下さい~~~!!」と電話越しに訴えられたことがある身としては………。



 その場で土下座する以外に、取るべき対応があっただろうか?








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