かけがえのない日々~開かれる扉(2)~ | ななちのブログ

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このブログは、スキップビート好きの非公式2次小説作成SS中心です。作品については、あくまで個人の趣味で作成しています。
馬車馬のごとく働く社会人ですので、更新スピードは亀ですが、よろしければお読みください☆

「………………。」



 キョーコは、パジャマの胸元を抑える手が真っ白になるほど力強く握りしめる。



―――キョーコが来ている服は、美しいドレスではない。



 どちらかといえば、不格好なパジャマ姿だ。



―――キョーコは決して、誰よりも美しいわけではない。



 周囲を見回せば、蓮に似合う美女が、山といることは分かっている。蓮の美しさの前では、キョーコなど霞んで見えない存在になってしまうだろう。



 ―――キョーコは誰からも愛されているわけではない。



 むしろ、憎まれて突き落とされることまである始末。そもそも万人に愛されるほどの心の豊かさを持ち合わせていると、キョーコ自身が思ってはいない。





……初めは誰よりもボロボロの服を着ていて不幸でも、最後は誰よりも美しくなって、誰からも愛されながら、王子と幸せに暮らす「お姫様」のお話が大好きだった……



 そして…いつか。



―――いつか、私も「お姫様」みたいになりたい―――



 それが、キョーコの夢だった。



 でも、現実は決して、夢のようにはいかなくて。



 美しいドレスを身に纏えることもなく、誰よりも美しくもなれず、全ての人から愛されることはできなかった。



「……それでも……。」



 醜く、ほの暗ささえ感じるような想いを。

相手の幸福を祈ることができない、最低最悪の感情を持ち合わせていても。



 それでも、キョーコの前に、王子様は現れた。

 そして、その王子様は、強引にキョーコを奪っていくことはなく。

扉一枚隔てた向こう側で、キョーコが来るのを待ってくれている。



「……………。」



 キョーコは、大きく息を吸い込むと、今度こそ扉の取っ手を掴み。

 その重厚な扉を、開いた。









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