【しょっぱいバースデー】
2月はステキバースデーお話がきっと世間様のブログでは溢れかえると思うので。変わり種を少々♪もうすぐハピバな敦賀様に、愛を込めて……
~日記シリーズ 椹武憲 番外編~
2月2日(月) 22:30頃 LEM事務所 4階会議室にて
「……おい、社。」
「なんですか、椹さん……。」
「そっち、どうだ?」
「どうだも何も……。こちらの予定は分刻みなんです、時間なんて捻出できるわけないじゃないですか……。」
「だ、だよな……。いや、しかし、最上さんだって結構スケジュールが詰まってきているんだ。あ、ほら、見てくれよ!!今度の特別ドラマの打ち合わせが入っているんだ。準主役級なんだぞ!!??しかも、今回はイジメ役じゃないし!!それにな、今度、あの加藤さんと一緒にバラエティ番組のMCを担当することになってな!!いやぁ、随分前の番組で加藤さんにかなり気に入られたみたいなんだよ、あの娘は!!すごいよな、あんな大御所に気に入られるなんて、さすがはLMEの爆弾娘…「椹さん!!今はそれどころじゃないでしょう!?」」
「うっ、そ、そうだったな……。それにしても、蓮は誕生日でも忙しい男だなぁ……。」
「毎年のことですがね。でも、文句ひとつ言わずによくやってくれています。」
「その辺は素晴らしい。芸能人の鑑。いや~、人間として尊敬する。俺なら文句のひとつも言いたくなる。」
「そうですよ、文句は言わないんです。……。でもね、無言での圧力が半端ないんです……。」
「…………。」
「だからこそ、俺達はこうして二人で予定を確認しているんじゃないですか……?そうですよね、椹さん?」
「その通り。…あ、社。ここなんてどうだ?ここならほら、10分くらいなら時間がとれるぞ。」
「ダメです、椹さん。あいつ、極秘任務を社長から仰せつかったキョーコちゃんと、ほぼ一日中くっついていられるような時間もらってから、もう会って話すくらいじゃ満足しなくなっているんです。」
「!!??何だ、その極秘任務って!!俺、聞いていないぞ!!」
「……聞かないほうがいいことって、たくさんあると思います。ちなみに俺も、詳しく話は聞いていないのですが……。」
「そ、そうなのか……?」
「でも、犯罪に触れない程度の接触は達成したみたいです。」
「は、犯罪に触れたい程度の接触ってどのあたりまでだ!!??」
「ちなみにその接触を受けたキョーコちゃんは、石のように固まり、真っ青になっていました。」
「なんだと!!??」
「まるでもう、半分食われちゃっている草食動物みたいでしたよ。」
「半分食われちゃったのか!!??半分ってどこまでだ!!??」
「……どこまででしょうね……。…想像、してみます?ふふふっ……(心底疲れた表情)」
「(ギクリッ)いや、やめておく!!想像したら、蓮が魔王とか魔王とか、魔王としか思えなくなるから!!俺、きっと一気に老けこむ!!」
「……椹さん、もうここは諦めて、夜中にラブミー部の仕事としてキョーコちゃんを蓮の家に派遣するというのはどうですか?」
「ダメだ、ダメだ!!それだけは、あっちゃならん!!お前だって、若いんだから分かるだろう!!??」
「……どうしようもなく欲しいと思う女性が、自分の誕生日に、自分の家の中で、無邪気に笑ってお祝いをしてくれる……。」
「据え膳食わぬは何とやら、という状況だろうが。最上さんがどう思っているかなんて配慮できるほど大人か?お前の担当俳優は。ん?」
「……今、キョーコちゃんに関しては、頭のネジが2、3本抜けているような状況ですからね。玄関先でキョーコちゃんが待っていたら、どエロいキスをしかけそうな気がして仕方がありません。」
「!!??恐ろしい想像するな!!そんなんじゃ、目と目が合った瞬間に捕食されるじゃないか!!据え膳になる前にぺロリだ、ぺロリ!!」
「それくらい溜まっているんじゃないですかねぇ…。あいつ、キョーコちゃんへの片想い歴、長いですし。実際の年月を言ったらですね、恋心を自覚したのが平成17年ですから…。」
「長い!!長いわ、あの男は!!煮え切らないにもほどがあるわ、バカ野郎~~~!!」
「…………。…椹さん。」
「ハァハァハァ……(疲労困憊)。ん?なんだ、社?」
「……俺達、来年もこんなことしていたら、どうしましょうか……?」
「…………。」
「…………。」
「…………。」
「………あ、椹さん。この4時から5時の仕事、キョーコちゃん、なんとかなりません?」
「………おぉ、そうだな、これをちょっとずらせば、こうしてこうやって……。あ、いけそうだな。一時間は確保できるか。一時間あれば蓮の欲求不満は収まりそうか?」
「お祝いの言葉を目の前で言ってもらって、プレゼントをもらって、最高の笑顔をもらった後、ちょっとセクハラしたら気が済むと思います。……今年は、まだ。」
「……そ、そうか。まぁ、今年をとりあえず無事に乗り越えられることだけを考えよう。」
「「あはははは…あはははははは……(乾いた笑い)」」
蓮誕まであと少し。しょっぱい想いをした超有名俳優のマネージャーと、タレントセクションの主任の、とある一日。