sei様とのコラボ~愛しき娘のいる場所は(7)~ | ななちのブログ

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このブログは、スキップビート好きの非公式2次小説作成SS中心です。作品については、あくまで個人の趣味で作成しています。
馬車馬のごとく働く社会人ですので、更新スピードは亀ですが、よろしければお読みください☆

「お、今日はキョーコちゃんのお手製かぁ。」

「やったな、リーダー!!」

「ば、バカ!!声がでかいよ、2人とも!!」



 王太子の宮殿を守る警護兵3人組の背後で、年長者たる2人の男は苦笑いを浮かべていた。



「若いねぇ、3人とも。」

「俺らも言うほど歳を取ってないと思うけれどな。ヒカルなんて、あれで殿下と同年齢だぞ。」

「え、そうなのか?…若く見えるねぇ、3人とも。」

「お前、若いくせにオッサンくさいよな、本当に。」

「ウシオはその下品な髭さえ剃ったら、かなりの童顔になると俺はふんでいるぞ。」

「…………。そういうことは言わないのが漢ってもんだろが。」

「あ、自覚はしていたのか。」



 ザワザワとした食堂の中には、王太子たるクオンの親衛隊を始め、貴族出身の宮仕えをしている者達がひしめき合っている。

 その中で、給仕をする女性達は実によく働いていた。



「おはようございます、セイジ様。ウシオ様。」

「おぉ、おはよう、キョーコちゃん。」

「おはよう。…君は朝っぱらからよく働くねぇ……。」



 そんな女性達の中には、もちろん、キョーコの姿もある。



「今日は君が作った朝食なんだってね?」

「はい!!よくご存知ですね!!」

「あぁ、『キョーコ情報』を的確にキャッチする人間を知っているからね。」

「?私の情報?」

「そうそう。…ま、そのうち君にちゃんと伝えると思うから。それまでは放っておいてあげて。害はない奴らだからさ。」



 キョーコの登場に、セイジとウシオの斜め前の列で食事をしていた3人組がちらりと視線を向けてきた。

 セイジと目が合うと、慌てて視線を逸らした3人組の様子に、呆れたような笑いを浮かべた後、セイジはキョーコが作ったというスープを口にした。



「……。キョーコちゃんは西方の生まれ?」

「?はい、そうですよ。なぜですか?」

「味付けが『あちら側』の味だからね。」

「あ、もしかして……お口に合いませんか?」

「いや、美味しいよ。久しぶりに西方のおいしいスープを口にできて嬉しい。」



 にこりと笑うセイジの表情に、嘘はないようだった。そのことにほっとしたような笑顔を浮かべ、キョーコは一礼するとその場を去って行く。



「西方か……。」

「おや、さすが副隊長殿。気になった?」

「そりゃあな。そもそも、あの殿下に『深窓の姫君』というのは何だか似合わん。」



 穏やかで紳士的な笑顔を浮かべた彼らの主君。

 だが、いつもその身の内に、激しい焔を燃やしている事を、セイジもウシオも知っている。



「しかし……。この推測が事実だとしたら。何だか妙な事になってしまっているね?」

「そうだな。……もしかして、我らが殿下は、阿呆なのか?」

「あははっ、そうかもしれない。あ、でも、アホというよりかは…マヌケ、かな?」



 ヒズリ国の、王太子殿下に仕える親衛隊長と、副隊長。

 その二人は、彼らの主たる人物に、辛辣な言葉を吐いた。



「キョーコちゃんが何者なのか、がぜん気になってきたねぇ。」

「……単独行動は、規則違反だぞ。」



 西方の味付けのおいしいスープを口にしながら、セイジはニヤリと笑ってみせる。



「おや、ウシオ殿とは思えぬ発言だな。単独行動と規則違反は君のオハコだろう?」

「そうだ。だから、お前は単独行動をしちゃならん。…複数行動なら、規則の違反も見逃してやる。」

「あははっ、そうくるわけか。分かったよ、一緒に調べよう。」



 ライ麦のパンをちぎりながら食べるウシオが平然と言ってみせる。



「王太子殿下の御世となることが確定した今、俺達は割と暇だからなぁ。」

「退屈しのぎには丁度いいか。」



 王太子付きの部隊の責任者とも思えない発言をした二人は、今後の『複数行動』における方針について話し合った後、それぞれの行動に移り始めたのだった。


















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