かけがえのない日々~堕ちる先(2)~ | ななちのブログ

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このブログは、スキップビート好きの非公式2次小説作成SS中心です。作品については、あくまで個人の趣味で作成しています。
馬車馬のごとく働く社会人ですので、更新スピードは亀ですが、よろしければお読みください☆

「っ!!」



 重力に従い、堕ちていく。

 その先で。



 強烈な衝撃が、キョーコの身体に与えられるはずだった。



「蓮っ!!」

「最上様!!」



 ぐっと瞼を閉じ、歯を食いしばって迎えた激突。

 だが、その痛みは思った以上に軽いものだった。

 

 ふわりと落ちつく香りがキョーコの嗅覚を支配し。

少しの衝突の後にキョーコに与えられたのは、大きな何かに包まれる感覚だけ。



「………?」

「大丈夫かっ!?蓮!!キョーコちゃん!!」

「私はあちらを追います。社様、こちらをお任せします。」

「はいっ!!お願いします!!」



 そろりと瞳を開けた先は、真っ暗な世界だった。

 しかし、聴覚に入ってくるのは、切羽詰まった声とはいえ、社とセバスのものだ。



「蓮っ!!キョーコちゃん!!」

「わ、私は大丈夫です、社さん。」

「そうっ!!……よ、よかった…………。」



 「はぁ~~~~~……。」と、深く長い安堵の溜息を吐く青年の声を聞きながら、キョーコは身体を覆い尽くす真っ黒な存在の正体に当りをつけた。



 抜け出したくなくなる香り。

 キョーコの全てを覆いつくしてしまう大きな身体。



 それらを持つ男に、今、キョーコは抱きしめられているのだ。



 それは、きっとキョーコにとって、この世で最も安心する場所。



 だが、その主は。



「おい、蓮?キョーコちゃん、大丈夫だぞ?」

「…………敦賀さん…………。」



 全身を包みこまれているからこそ、キョーコは気付いた。



「敦賀さん?……私は大丈夫ですよ?」

「おい、蓮?」



 真っ暗な世界の中、全身を包む大きく力強い存在。

 普段は太陽のような輝かしいオーラを持つ青年が、今、怯える小さな少年のように全身を小刻みに震わせていた。

 不安に揺れるその想いが、全身の小さな震えと共にキョーコにも伝わってくる。



「敦賀さん。本当に大丈夫ですから。」



 キョーコの右耳が触れる場所から、『ドクン』『ドクン』と強く響く命の鼓動が聞こえる。その耳を打つ存在に、キョーコは囁きかけた。



「あなたが、守ってくださったんですよ?」



 他の誰でもない、敦賀蓮が。


















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