(sideキョーコ)
こ、これは一体、どういうことなのかしら!?
「敦賀さん!!これは…一体、どういうことですか!?」
「どういうこと、とおっしゃられても。見ての通りだと思いますが?」
私と敦賀さんを囲むのは、マイクを持つ記者とカメラマン達。
目を開けていると、フラッシュのたかれる光がまぶしくて世界が真っ白になる。
なんで、なんでこんなに報道陣がいるのかしら!?
あ、そうか。だってここには、ハリウッドスターのご夫妻がいらっしゃるんだものね。
いやいや、それは納得だけれど!!私と敦賀さんの置かれている立場は一体なんなのかしら!?
「あ、あの、敦賀さん……?」
「見ての通り、とおっしゃられますと。その腕の中の女性は、敦賀さんの特別な女性と考えても!?」
「えぇ。俺が唯一愛している、とても大切で可愛い女性です。」
「!?ひっ、ひぇえぇ!?」
群がる報道陣から守るかのように腕に抱いてくださっている敦賀さん。でも、その敦賀さんから神々しい微笑みを受ける。
きっ、危険だわ!!この浄化の光は、カメラのフラッシュなんて比じゃないキラキラ具合!!目なんか開けてられない~~~!!
と、思っていたら。
私の唇に、暖かく、少し湿った、でもふんわりとしたものが触れていく。
「@:?!¥!!??~~~!!??」
一瞬の後にザワリ、と騒ぎ始める周囲。
っ、いえ、私、そんなに経験をしているわけじゃないわよ!?だから、どうか分かんないわよ!?でも、でもでもでも!!も、もしかして、私っ、今………!!
「あ、ごめん。目を瞑っていたから、キスしてほしいのかと思ったけれど。違った?」
「!!??ち、違いますぅ~~~~!!」
信じらんない、信じらんない!!乙女の唇を何だと思っているのよ~~~!!!!
「ん?大丈夫だよ。一生責任取るつもりだから。」
「!?せ、せせせ、責任!?責任ってなんですか!?」
「え?もちろん、結婚して一生幸せにするってことにきまっているじゃないか。」
「はぁ~~~~~~!!??な、ななな、何をバカなことおっしゃってくれているんですか!!」
キュラリと微笑んでとんでもな爆弾言動を投下しまくる彼に、パニック状態になる。
これ以上、この人の口を開けさせておくわけにはいかない!!
それを瞬時に理解した私は、彼の唇に自分の両手を押しつけた。
「あ、あははっ!!あ、あの…敦賀さん、ちょっとお酒を飲み過ぎられまして…。頭がおかしくなっていらっしゃるんです。」
私は、私たちを取り囲む報道陣に向けて、精一杯の笑顔を浮かべて伝えた。
そもそも、何でここで『敦賀蓮』の変装をするのよ~~~!!先生と女神の部屋にいた時のまま、『クオン・ヒズリ』でいてくださったら、こんなことにはならなかったのに~~~~!!
「あのっ!!あなたは一体どなたですか!!??」
「お名前は!?」
「芸能界の方なんですか!?」
「それとも大手企業の社長令嬢!?」
「ひぇぇっ!!」
彼の唇を封じると、今度は相当引き攣った笑顔を浮かべているはずの私に、報道陣が詰め寄って来る。
何なの!?何なの!!??一体、どうなっているの~~~!!??