時は唐代。人間と妖怪が共存していた桃源の時代は過ぎ去り、世は混沌としていた。
そんな時代を憂いた1人の高僧と、彼を守る3人の妖。
彼らはこの世の乱れを正しき道へと戻すために経典を求め、天竺を目指した。
そんな彼らの前に立ちはだかったのは……
「うぅぅぅ~~~ら~~~~~~~~!!!!!!!!」
「ぅぅぅうわぁぁぁぁぁぁぁ~~~~~~~…………」
牛魔王の愛妻にして、一児の母、羅刹キョ!!
芭蕉扇を手に持った羅刹キョの専制攻撃が悟空をはじめとする三蔵一行を迎え撃つ!!
そして、その一撃を受け、天高く舞い上がったのは……。
「……わ~~~……。よく飛んだわね。」
「すごいわね。三蔵一行の中からピンポイントで奴だけブッ飛ばすなんて。さすがはあの子っていうか、何と言うか……。」
三蔵一行のニ番弟子、尚八戒!!
天高く飛んでいくブタの姿を見送りながら、銀閣とモ―魔王は日本茶をすすっております。
「それにしても、よく飛ぶわねェ。あれ、どこまで飛ぶのかしら?」
「さぁ。でも、綺麗に飛んだわね。発射準備していたような美しさじゃなかった?」
「確かに。空気抵抗を感じさせない、見事な発射だったわ。」
「京子さんとものすごく息があっていたと思うんだけど。」
「……そうね。そういうところを気に入らない人から、ものすごい冷気を感じるけれど…。」
「私、空飛ぶ豚、初めて見ました。」
私もアニメでしか見たことがありません。しかも、彼は飛行機に乗っていた気がしています。
でも、『ただの豚』じゃない存在が空を飛べることを今、彼は証明してくれました!!
飛ばない豚ってただの豚ですもんね!!
「…………バカね。」
「えぇ、バカですね。」
……はい、すみません、出来心です。ちょっと言ってみたかっただけです。
「……はぁ、全く。あの子は相変わらず不破君相手だと我を忘れて……。」
さて、こちらは蓮悟空。大事な仲間を吹き飛ばされて、怒り心頭のようです。
「自分が一体、誰のものなのか、そろそろちゃんと理解してもらわないといけないな……。」
一体、何の話をしているのでしょうか?誰のものってそんなのモ―魔王のものに…「外野、うるさいよ?(キュラレスト)」
いやいや、でも間違っていません。羅刹キョはモ―魔王の……
「そんなもの関係ない!!ほら、この『花とゆめ17号』を見ろ!!この愛らしい最上さんを見ても、お前はまだ最上さんが琴南さんのものだというつもりか!!」
……いや、えっと……。
「…全く、それならそれで俺に正直に話してくれたら、こっちだってイロイロ考えがあるっていうのに……。あの子はどうして難しく考えるのかな。黙って俺に堕ちてくれればいいものを。ブツブツ……。」
……これ以上、彼の話を聞いていると、本誌ファンの皆様方から石を投げられそうな気がしてきました。
「あっははは~~!!愉快痛快とはこのことね!!ショータローなんか、日本の裏側にでも天界の塵芥にでもなってしまえばいいのよ~~~~!!」
一方の羅刹キョ。
恐ろしいブラックヒーローが傍で不穏な空気を漂わせているとは思っていない彼女は気分爽快なようです。
「さて、それじゃあそろそろ赤ずきんちゃんの所に行きますか。」
ちょっと待ってください。その例え方は某霊能術師まがいのミュージシャンに…「あの変態と一緒にしないでくれる?」
……何というか。ナレーターである私の扱い、前回頃からものすごく雑です。
「全く、そもそも何なんだ、あの衣装は。襲ってくれと言っているようなものだろう!?もうここまできたら、神のいたずらでも何でもない。お望み通り、俺しか考えられないようにしてやるからな……。」
ククククッと笑ってみせる蓮悟空の姿は、モ―魔王なんて目ではないほどの魔王っぷりです。『大魔王』という言葉はきっと彼のために存在しているんですね。
「言っとくけど。ナレーターのナレーションも、最近ものすごく雑だからね。モ~~……。」
そういう事は言いっこなしですよ。