時は唐代。人間と妖怪が共存していた桃源の時代は過ぎ去り、世は混沌としていた。
その世界で頭角を現し、人々を恐怖の底に沈めた妖の軍団がいた。
その名が……
モ―魔王軍団!!
「モ~~ッ!!だから何なのよ、この変な名前~~~~!!」
「別に軍団じゃないわよね?そもそも軍団っていう規模の人数がいないじゃない。」
気分の問題ですね。
「……もういいわよ。どうせ適当な企画なんでしょ、モ~~……。怒鳴るだけムダよね。」
「そうそう、体力のムダよ、琴南さん。」
モ―魔王軍団は、三蔵一行に比べてソークールです。
「モ~~~子さぁあぁぁぁ~~~ん!!天宮さぁあああ~~~~ん!!!!」
「あ、京子さん。ただいま~~~!!」
「うえ~~~~~ん!!」
「あんた、まだ泣いていたの?」
「だってぇ!!だって、だって、だって~~~~~~~~!!」
「あんたね、言っとくけど。あぁいうむっつりスケベな男はね、そういう恥じらいを示されると途端に本性顕わにするタイプなのよ!?」
「へぇ??????」
おっと、モ―魔王様。一体誰のお話をしているんでしょう??
「あんたが恥ずかしがれば恥ずかしがるだけ、それを最高のスパイスにして、あんたを頭から食ってやろうか、胸から食ってやろうかとその良すぎる頭脳を最高レベルにまで駆使してぺろりと食べようとするはずだから、とっとと泣きやみなさい!!」
「も、ももも、モ―子さん、そんなケダモノが出てくるの!?このお話に!!」
「そうよ。私には害がないけど、あんたにはものすごく有害だから、ちゃんと対処しておきなさいよ。」
「うぇ~~~!!??」
「ちなみに私は助けないわ。それが処世術というものなの。だから、あんた一人で頑張りなさいよ。」
「そんな、モー子さ~~~ん!!」
モ―魔王は妻にも厳しいお方です。愛する妻だからこそ、試練を与える。……これぞ、究極の愛ですね☆
「愛じゃないわよ。ただでさえ夫婦の役なんかやってるって知れたら、あの先輩俳優に何されるか……。私、絶対にキョーコとは絡まないから!!」
愛する妻を自分から突き放し、1人戦地に赴こうとするモ―魔王。
これぞ、魔王の中の魔王!!
「うるさいわよ、外野!!」
…はい、すみません。
「ダイジョウブよ、マミー!!」
おっと、モ―魔王の不機嫌オーラと、羅刹キョの泣き声が響く中、突然美しいがカタコトの日本語が響いてきました!!
「マミーのことは、ワタシがまもってあげるカラ!!」
完璧な文法。…でもちょっと訛りが気になる日本語。たどたどしい感じがいいですね。
さて、突然現れたこの人物は一体……?
「えっと…あの、あなたは……。」
そう、この人物は……
モ―魔王と羅刹キョの間に生まれし、究極の王子、紅孩ジュリ!!
「……私と、あんたの子ども、みたいね。」
「……私と、モー子さんの…子ども。」
「まかせて、マミー。ぜったいにこれからくるワルモノ、やっつけてあげるカラネ!!」
カタコト日本語でウィンクかましてきた絶世の美女。…いやいや、美男……?
「モー子さん……。」
「何よ。」
「紅孩ジュリさん、スタイルめちゃくちゃいいわね……。」
「そうよ、あれだけ堂々としていたら、全然恥ずかしくないでしょうが。あれだけ露出しているのに。」
「そうね。私の水着に毛が生えた衣装なんて、全然問題がない気がしてきたわ!!」
「本当ね。彼女のビキニ姿を前にしたら、別にそんなの、気にしなくてもよくなったわね。よかった、よかった。」
何がよかったか分かりませんが、愛息子の出現により、羅刹キョ様、落ち着きを取り戻したようです。これぞ、家族の愛の力ですね!!