sei様罠リク~バランスが大事です(3-3)~ | ななちのブログ

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このブログは、スキップビート好きの非公式2次小説作成SS中心です。作品については、あくまで個人の趣味で作成しています。
馬車馬のごとく働く社会人ですので、更新スピードは亀ですが、よろしければお読みください☆

黒髪のツインテールの女の子は昔、お姫様になることにとても憧れていた。そして、その少女は10年たっても、そのメルヘンチックな思考を失くすことなく、お姫様や妖精に憧れをもっている。

 

今だって彼女は「素敵な王子様のお姫様になりたい」と願っているはずなのに…。

 そして俺は、先日やっとの想いで告白をし、彼女の王子様になれたと信じていたのに…。



「とにかく、私では敦賀さんのお相手が務まりませんので、不肖最上キョーコ、敦賀さんにお似合いの女性を必ずや、探し出してみせます!!」



キラキラと瞳を輝かせ、「待っていてくださいねっ!!」と言った後、俺との話はすんだとばかりにラブミー部室を退出していく愛しい人。



 俺は、握り拳を作ると、それを壁に叩きつけた。



「……冗談じゃない……!!」



 『ダァンッ!!』と派手な音がし、室内全体が揺れた。



 拳が鋭い衝撃で痛んだが、それ以上に痛む部分が身体の奥底にある。



 あの子は自分を『呪われたどピンク繋ぎの女』と言ったが、ラブミー部員の彼女をそう呼ぶ人間はもうこの世に存在しない。

 時に穏やかに、時に美しく、時に妖しく微笑む彼女の色香に当てられた男は、日本だけではなく、世界にも及んでいる。そのことを知らないのは当の本人のみだ。世界中の男が最上さんを求め、彼女の心を手に入れようと躍起になっている。



 あの子の良さは、俺だけが知っていたらいいと思っていた頃が、遠い昔のように感じるほどに彼女の人気は飛躍的に増しているのに。

 

 ……いや、それ以前に。



「俺が、君なしで生きられると思っているのか……?」



 もはや俺は最上さんなしには息もできない。彼女が目の前からいなくなるということは俺の死にも近いことだ。

 それをあの子は知らない。…俺がどれだけあの子を愛し、あの子だけを貪欲に求めているのか、理解していないんだ。



「…………。」



 これから、どうしたらいいのだろう。どうすれば、彼女を手に入れられるのか……。あの子を怖がらせることなく、この手の中に収め、ニ度と離さないように繋ぎとめるにはどうしたらいいのだろう……。



 黒い感情が心の奥底から溢れ出て来る。あの子を優しく追い詰めて、あの子の意志に見せかけて、この腕の中に閉じ込めてしまう方法を考えなくてはならない。



 俺はその後、社さんが呼びに来て、「ヒィッ!?」と異常なほどの悲鳴をあげ、蒼白の表情を見せるまでの間、彼女の全てを奪いつくすための算段を企てていたのだった。










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