逃れられない想いsideキョーコ(2‐3) | ななちのブログ

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このブログは、スキップビート好きの非公式2次小説作成SS中心です。作品については、あくまで個人の趣味で作成しています。
馬車馬のごとく働く社会人ですので、更新スピードは亀ですが、よろしければお読みください☆

「あぁ、そうだ。その前に君、『日本アカデミー賞』の最優秀主演女優賞のこと、どう思う?」

「『日本アカデミー賞』…ですか?」



『日本アカデミー賞』の『最優秀主演女優賞』。天宮さんから聞いたことがある。その賞を受賞した人は、容姿はもちろんのこと、実力も兼ね備えた人々ばかりだと言っていた。…あの天宮さんが毒も吐かずに絶賛する女優さんばかりなんだから、歴代の受賞者はきっと素晴らしい人々のはずよね。確かに彼女の口からでてきた女優さんはテレビをあまり見ない私だって知っている人ばかりだったし。



「そうですね、実力のある、選ばれた人だけが受けられる賞だと思います。」

「もし、君がその賞を受けられたら、君は自分の実力を認める?」



 アカデミー賞の最優秀主演女優賞を受ける、私……。…想像が全くつかないんだけれど、そんな賞を得られる日がきたら、きっと自分自身を認めることもできるだろうな。



「そうですね。そんな栄誉ある賞がもらえる日がきたら。」

「……そう。」



 想像もつかないことだから、何とも実感のあるものとして考えられないけれど…。きっと、後10年もしたら少しは考えられるのかな?



「じゃあ、その賞を得られた時に、今度こそ俺を受け入れて?」

「ふぇ!?」

「栄誉ある賞をもらえた君は、俺の隣に相応しい女優さんだろ?」



 にっこり、と笑ってみせた敦賀さん。…あなた、一体何十年待つ気ですか!?



「もちろん、俺も大人しく待つつもりはないよ?賞なんか関係なく、君を口説くつもりだ。…でも、強情な君は中々首を縦に振らないだろうし…。だから、ゴールを決めよう。」



 一瞬、やっぱりからかわれているのかと疑いかけた私に、敦賀さんが悪戯好きの少年のような笑みを浮かべて宣言する。



「…おっしゃる通り、私は強情ですよ?だから、きっとあなたを何十年もお待たせするかもしれません。」

「望むところだ。…俺の愛を見くびられたら困るな。」



 互いに挑戦的な視線を向け合う。…きっといつか、私達は互いを高め合って、そして頂の上で、手を取り合うことができるのだろう。その前に、私が敦賀さんに絡めとられる可能性もあるけれど。



「それじゃあ、条件。その1。お付き合いが始まったら、すぐに俺の家に住むこと。」

「ど、同居…ですか。」

「何言っているの。愛し合っている男女の場合は『同棲』。…同居なんて絶対しないから。そんなもの、耐えられるわけがないだろ?」



 ??ど、どういう違いなのかしら?…まぁ、後何十年か先の話なら…別にいいわよね?



「わかりました。」

「うん。じゃあその2。お付き合いから一週間後には婚約しよう。」

「!?ふぇ!?」

「本当は結婚したいんだけれど…まぁそれもいきなりすぎるから。婚約で許しておいてあげるし、結婚は1年先まで待ってあげる。もちろん、君が待てないっていうんなら、すぐにでも結婚する準備を整えてみせるよ。」

「!!結構です!!」

「あ、そう?じゃあこの条件もOKだね?」

「えぇっ!?あの、ちが「…あぁ、早く君を『マイラブ(俺の奥さん)』って呼べる日が来ないかな……。」」

「っ~~~~!!!!」



 うっとりと微笑みながら私の抗議の言葉を完全に封じてしまう敦賀さん。…あまりの台詞に、私も結局は訂正をすることができなかった。

 …うん、でもまぁ何十年も先なら…結婚適齢期かなり過ぎているくらいだし…いいか。



「それと、これは現在の話。クリスマスと、バレンタインデーと俺の誕生日だけれど。どれもプレゼントはいらないから。」

「へぇ!?」

「その日は、君の唇をちょうだい?」



 敦賀さんは、私の唇に右手の親指を押し付けてくる。「んっ」と声が漏れ出て、羞恥に赤くなった私を、敦賀さんは艶やかな微笑を浮かべながら見つめ、魅力的な唇を開く。



「キスが付き合っている男女しかできないものなんだっていうなら。…クリスマスとバレンタインと、俺の誕生日だけは、俺の恋人になって、君の唇をちょうだい。」



 「他にはなにもいらない」と言った彼のあまりにも切ない視線に…。こくん、と肯くことしかできなかった。「ありがとう」と言って、抱きしめてくれた彼は、最後にこう言った。



「でもね、覚えていて?俺はいつだって君を求めているよ。…それこそ、半年先を待てないくらいなんだ。」



 あまりにも切実な響きの声に、胸が詰まって……。私は、やけにリアルに期間が定められていたことに気付かなかった。

 そして私は、私を閉じ込める檻を着々と準備する敦賀さんに全く気付かずに…彼からの甘く、時に強引なアプローチから必死に逃げることしか考えられない日々を送ることになる。











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