△月××日 日記最後の日
あまりの事実に驚愕の連続だったけれど、芸能界というものの恐ろしさを改めて知る機会になったわ。(…え?「副音声が読みたい」ですって!?…なんて恐ろしいことを言うの!!そんなことして、人間不信になられても私、責任もてないんだから!!だから、絶対にあなた達には見せないわ!!)
結局甘酸っぱい恋物語と私が無縁であったことは充分に分かった事だし、この日記で得たものは多かったと思う。
…それにしても、京子さんってどちらかというと業界の中では『大人しい』女性だと思っていたんだけれど…というか、ぶっちゃけて言ってしまうとよく言うと素朴、悪く言うと地味なその辺にいる10代の女の子だと思っていたんだけれど。あの女優魂といい、交友範囲の広さといい、好かれてしまう人間の灰汁の強さといい……。とても普通の人ではないことがよくよく分かったわ!!
やっぱり『京子』という不死蝶は奥が深い。知れば知るほど興味深いわね。
でも。これ以上ラブミー部(特に京子さん)の恋愛事情を観察したり足を突っ込んだりはしないことにする。…命がいくつあっても足りない気がするし、『我関せず』で過ごした方が自分のためだと気がついたの!!
冷たい女だと思われてもいいわ。だって、私は昔、この業界で苦渋を味わった人間だもの。吸いも甘いも知った人間は、危険に近付かないものなのよ。
と、いうわけで。とっても残念だけれど、この日記も今日で最後にするわ。またいつ氷の女王や魔王、魔王の手下に読まれるか分からないしね。
この業界で、仮初めの平穏でもいい。日々を慎ましく過ごして、無事に生き残るの。そのための手段を選ばないことを、改めて私はここに誓うわ。
皆もラブ日記をつけようと思うなら気をつけてね?ラブのつもりが人間の暗黒面を見てしまうことにもなり得るから。…そして、人間不信に陥る可能性だってあるんだから…。
愛の反対は無関心っていう人もいるけれど。それが激しい憎悪でも間違いではないと思う今日この頃。
この日記で得た教訓は。
『臭いものに蓋をする』
『君子危うきに近寄らず』
……この二つの言葉に限るわ。