サマンサ様からのリクエスト~VSつるが(5-4)~ | ななちのブログ

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このブログは、スキップビート好きの非公式2次小説作成SS中心です。作品については、あくまで個人の趣味で作成しています。
馬車馬のごとく働く社会人ですので、更新スピードは亀ですが、よろしければお読みください☆

「!?ど、どういうことですか!?キョーコを説得してくれるんじゃ…!!」

「黙れ、ケダモノめ!!」



 抗議の言葉をぶつけようとしたら、一喝されてしまった。……ヒズリ氏の瞳は語っている。「お前は敵だ!!」と……。



「いいかい?キョーコ。親や友人といった近しい人々からのプレゼントは安心して受け取っていい。私を含め、無償の愛でお前を包む人間は安全だ。…だがな、そこの男のように、お前を頭から喰ってしまおうとするような輩は、与えた物の見返りを求めていたり、束縛するための道具として物を贈ったりするわけだ。だから、充分に注意するんだぞ?」



 ヒズリ氏の意見はかなりの偏りがある。…あるのだが、全くそういう気持ちがないか?と言われるとそうでもないのが事実だから、俺は何度か反論を試みたが結局言葉が出なかった。



「あ、あの…。でも、私…。敦賀さんが、私のためにって考えてくれるのは嬉しいんです。」



 さすがの俺も打ちのめされて、ヘコヘコになりかける。だが、そんな傷だらけの俺に、天使は優しく俺の心を包み込んでくれる。



「私は、敦賀さんと一緒にいられたらそれでいいんです。そもそも、世の女性の方々からしたら、『敦賀蓮』が傍にいてくれるだなんて、こんな贅沢なことはありません。だから、お忙しい敦賀さんが、お仕事の合間に少しでも私のことを考えてくださって、一緒にいる時間を作ってくださるというのなら…。私は与えられすぎているくらいなんですよ?」



 にこりと幸せそうに笑い、「これ以上の我儘はありません」と言う彼女の言葉に納得はできない。けれど、俺といることを、俺が彼女を想うことを何より大事にしてくれることだけは伝わってきたから、俺も彼女に笑顔を向けた。



「ですので、プレゼントはもう結構です。」

「うん…。じゃあ、俺の誕生日とか、君の誕生日とか…ちゃんとしたお祝いができる時だけは許してね?」

「?なんで敦賀さんの誕生日も入っているんですか?その日は私がお祝いをする日でしょ?」

「だって、君からもらう一番のプレゼントは、俺がしたことで向けてくれる君の可愛い笑顔だからね。」



 キューティーハニースマイルは俺の理性を完全排除しきってしまう恐ろしい彼女の武器だ。切ない片想いをしていた頃から強烈に俺の欲望を刺激したその笑顔は、最近では女性らしい艶さえ含むようになり、本当に殺傷能力の高い凶器と化している。…でも、これが中毒性を含んでいるらしくて。可愛らしさに身もだえ、死ぬほどの苦しみを味あわされるとわかっていても、見たくて仕方がなくなる代物なんだよな…。おかげさまでいくら理性が壊れても何の問題も起こらない関係になれたことだし。これからは毎日だって見たい表情だ。



「つっ、敦賀さん!!そういう、キザったらしいことを言わないでくださいってば!!」

「え?本心なのになんで?」

「!!もう!!なんでそんなに視力が悪いんですか!?」



 「私にそんな恥ずかしいことを言うのは敦賀さんくらいですよ!!」と真っ赤になりながら怒鳴る彼女も愛らしい。まぁ結局、何をやっている彼女も可愛いっていうことなんだよな。



「あ~…なんだかバカらしくなってきたな…。もういい!!嫌いなところは充分だ!!」



 ぷんぷん怒っている少女を、愛しさ全開に見つめていた俺に、彼女を未だに腕に囲う男は鬱陶しそうに手を振りながら終了を示す。

…いい加減、彼女を離してくれないだろうか?



「そうですか。俺としてはまだ言おうと思えば言えますが?」

「結局キョーコが可愛すぎて困っているという話にしかならんだろう?まぁ、罪つくりなほど可愛いのは確かだからな。」

「そうですね。俺としては困っているだけでこの可愛らしさを失くして欲しいとは全く思っていませんが。まぁ、もう少し自覚はして欲しいですけれど。」

「!?お、お二人とも本当にやめてください~!!」



 恥ずかしくて死にそうです~~!!と、全身真っ赤にしながら訴える愛しい君。…なんで俺の腕ではなく、そんな中年男の腕の中にいるのか……。



「さぁ。これで俺達の愛の程が分かったでしょう?そろそろキョーコを離してくれませんか?」

「いいや!!私はまだ君をキョーコの特別な相手だと認めん!!」



 俺が両手を広げ、中年男から愛らしい乙女を得ようとした瞬間。…少女を囲うその腕の力が強められた。



「……一体、俺の何がお気に召さないんですかね……。」

「ふん。言っておくが君がいくら怒ろうが、全く怖くはないからな。というより、親の評価が下がるという現実がどういうことかを、君は早々に理解するべきだと思うね。」



 バチバチ、と俺達の前に火花が散る。…ここまで曝け出した今。紳士ヅラを晒すことこそが滑稽というものだ。目の前にいるのは娘バカの親バカ全開親父。…対するこちらは、恋人バカの現在この世の春を謳歌する男。

このバカ親が、業界の中で俺より遥か高みに立つ男だということは分かっている。まだまだ彼には及ばないことなど、誰かに確認するまでもないことだ。



…だが。彼女のこととなると、絶対に負けるわけにはいかない…!!



「キョーコを『優しくて、芯が強いところ』だけを好きと抜かす君に、こんな可愛らしくていい子をやれるわけがないだろう!!」



 カッと目を向いて怒鳴った親バカ男。…ほう…ここまで来て、まだそんな単なるお茶の間向けのコメントを信じるのか、この男……!!



「俺の愛がそんなもののわけがないでしょう?…彼女の好きなところなんて、語りだしたら3日3晩費やすことも可能です!!」

「ほほ~~う!!じゃあやってみろや、この若造が~~!!」



 売り言葉に買い言葉。だが、売られた喧嘩は買ってこそ漢というものだ!!俺は、大きく息を吸い込むと、この胸の内にある彼女への想いをぶちまけた。






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